ロス・オトロスの魅力溢れるバロック・ギターの音色
DHMレーベルの10枚組BOX
「地中海音楽エディション」に
収録されている一枚です。
スペインのギター音楽集なのですが、
作曲家はルネサンス後期から
バロック初期にかけて
活躍した人物たちであり、
これも古楽の分野の音盤なのです。
演奏はヒレ・パールが中心となっている
アンサンブル「ロス・オトロス」です。
身も心もスペインへ
飛んでいってしまうような
素敵な音楽が展開します。
ティント
~17世紀スペインのバロック音楽
ロス・オトロス
ムルシア:
クンベー
コル:
フォーリアによるディファレンシアス
コルベッタ:
シンフォニーア
ノターリ:
パッセッジャータ
コルベッタ:
プレリュード
アルマンド
サラバンド
パッサカリア
メヌエット
ムルシア:
ラ・ホタ
カプスベルガー
アルペッジャータ
トッカータ
ヴォルタ
バッロ
ガリアルダ
コレンテ
カポーナ
カプスベルガー
カナーリオ
コラショーネ
ヴィッラ・ディ・スパーニャ
セルマ
ある日シュザンヌは
ムルシア:
ハカラス
ロス・オトロス
ヒレ・パール(gamb,他)
リー・サンタナ(g,他)
スティーヴン・プレイヤーズ(g,他)
録音:2002年
聞いたことのある作曲家は
カプスベルガーだけです。
全23曲中半数の11曲が
カプスベルガー作品です。
どれもこれも「ギター音楽」としか
私には理解できませんでした。
しかししみじみと心に響く音楽が
紡がれていくのです。
そのジョヴァンニ・カプスペルガー
(Giovanni Kapsperger)ですが、
イタリア初期バロック音楽の
作曲家です(1580-1651)。
リュートやテオルボ、キタローネの
ヴィルトゥオーソとして
名を遺しました。
華麗な演奏ゆえに
上流階級の尊敬を集め、
1610年からローマで活動すると、
とりわけ教皇庁の宮廷で
人気を集めました。
次に多く収録されている
(3曲目、5~9曲目の6曲)
フランチェスコ・コルベッタ
(Francesco Corbetta)
(1615-1681)は、
イタリアのギターの巨匠であり、
教師、そして作曲家でした。
1曲目、10曲目、23曲目と
3曲収録されている
サンティアゴ・デ・ムルシア
(Santiago de Murcia) は、
18世紀への変わり目に生きていた
(1685-1732)スペインの
ギタリスト兼作曲家です。
多作な作曲家であったようです。
あとは1曲のみが収録されている
作曲家たちです。
2曲目の
アントニオ・マルティン・イ・コル
(Antonio Martin y Coll)
(生年不詳、1734年没)は、
スペインの作曲家兼オルガン奏者です。
修道院で育ち、最終的に
フランシスコ会の修道士として
活躍したといわれています。
4曲目のアンジェロ・ノターリ
(Angelo Notari)(1566-1664)は、
イタリアの作曲家です。
英国における初期バロック音楽の普及に
大きく貢献した、と資料にありました。
22曲目の
バルトロメオ・デ・セルマ・イ・サラベルデ
(Bartolomeo de Selma y Salaverde)
(1595年頃-1640)は、
スペインの作曲家兼
ファゴット奏者です。
器楽曲だけでなく、
声楽曲の手稿譜が
残存しているようです。
作曲家の簡単な紹介に
終わってしまいましたが、
収められた音楽はみな素敵です。
この一枚を聴いて、
古のスペインの風に
吹かれてみようではありませんか。
やはり、音盤は愉し、です。
〔本番の収録作曲家のまとめ〕
アンジェロ・ノターリ
1566-1664
ジョヴァンニ・カプスペルガー
1580-1651
バルトロメオ・デ・セルマ・イ・サラベルデ
1595c-1640
フランチェスコ・コルベッタ
1615-1681
サンティアゴ・デ・ムルシア
1685-1732
アントニオ・マルティン・イ・コル
生年不詳-1734
〔ロス・オトロス〕
ロス・オトロスは、独特のスタイルで
バロック・ルネサンス・中世音楽を
即興演奏することを得意とする
アンサンブルです。
メンバーはガンバ奏者のヒレ・パール、
リュート奏者のリー・サンタナ、
バロック・ギターとパーカッションの
スティーヴン・プレイヤーの三人。
時代と国に合わせて楽器を持ち替え、
スタイルを変えて和音やメロディー、
リズムとダンスを組み合わせ、
曲固有の表現を大切にしながら
自在な即興演奏を繰り広げていきます。
次のような音盤を私も持っています。
〔バロック・ギターの音盤について〕
ギター音楽の音盤は
数多くリリースされているのですが、
バロック期のギター音楽の音盤は
決して多くないようです。
また出てもすぐ
廃盤となっているようです。
以下の音盤などいかがでしょうか。
私もこれから
探索してみたいと思っています。
(2023.5.14)
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