レザデューによるモーツァルト室内楽集

聴いて愉しい古楽器演奏団体レザデュー

「DHM-BOX」
収録されている音盤には、
古典派以後のものもあります。
もちろん古楽器演奏であり、
古楽テイストの
強く滲み出ているものばかりです。
BOX第2集に収録されている、
このモーツァルトの室内楽は、
中でも聴き応えのある2枚です。
演奏は、古楽器団体・
ムジカ・アンティクワ・ケルンから
脱退し、独自のアンサンブルを結成した
「レザデュー」です。

DHM-BOX 2

BOX2 Disc35
「モーツァルト:弦楽五重奏曲集」

BOX2 Disc35

モーツァルト:
 弦楽五重奏曲第1番変ロ長調K.174
 弦楽五重奏曲第2番ハ短調K.406

レザデュー
 マリー・ウティガー(vn)
 ウルズラ・ブンディース(vn)
 ハーヨ・ベス(va)
 カールハインツ・シュテープ(va)
 ニコラス・セロ(vc)
録音:1990年

BOX2 Disc33
「モーツァルト:フルート四重奏曲集」

BOX2 Disc33

モーツァルト:
 フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
 フルート四重奏曲第4番イ長調K.298
 オーボエ四重奏曲
  ヘ長調K.370(368b)
 フルート四重奏曲第2番
  ト長調K.285a
 フルート四重奏曲第3番
  ハ長調K.285b(Anh.171)

レザデュー
 ヴィルベルト・ハーツェルツェット
  (Fl-tr)
 ハンス・ペーター・ヴェスターマン(ob)
 マリー・ウティガー(vn)
 ハーヨ・ベス(va)
 ニコラス・セロ(vc)
録音:1990年

1枚目は、
モーツァルトの弦楽五重奏曲集。
となると人気曲第3番K.515と
第4番K.516の2曲かと思いきや、
第1番K.174と第2番K.406ですから、
やや意表を突かれた感じです。
この2曲についてCD棚を探してみると、
私が所有しているのは
スメタナ四重奏団(1981年録音)と
メロス四重奏団(1987年録音)
だけでした。

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メロス四重奏団盤と比較すると、
まるで違う曲のように聞こえてきます。
一つは古楽器と
モダン楽器の違いでしょうか。
メロス四重奏団の優雅な音も
捨てがたい魅力なのですが、
このレザデューの、
渋みがありながらも
艶やかさを持った音色は、
聴き慣れてしまえば
もはや離れることができません。

さらに収録時間の問題もあります。
メロス四重奏団盤が2曲で48分の
演奏時間であるのに対し、
レザデュー盤は62分超。
約15分も長いのです。
しかし聴感上のテンポは、
レザデュー盤のほうが
キビキビと進行し、
スピーディに感じられます。
おそらくは各楽章での反復を、
メロス盤はカットし、
レザデュー盤は丁寧に行っていることの
違いではないかと思われます
(楽譜と照らし合わせて
確認するなどということは
できないため、
推測に過ぎないのですが)。

2枚目は、フルート四重奏曲集です。
こちらも私は数枚しか
所有していないのですが、
有名なエマニュエル・パユの
演奏した盤と比較すると、
やはり本盤の演奏の方が快速傾向です。
速ければいいなどという
単純なものではないのですが、
聴いていて爽快感を感じます。

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こってりと仕上げたモーツァルトも
素敵なのですが、
シンプルで軽快なモーツァルトの方が、
そこにモーツァルトらしさを
感じてしまいます。
このレザリュー、なかなかに
味わい深い演奏をする団体です。

1756 Mozart

調べてみると、
レザリューはこの2枚のほかに、
モーツァルトではピアノ四重奏曲を
録音していました。
こちらも何とかして入手し、
聴いてみたいと思います。

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モダン楽器と古楽器、
どちらが正しいか、などという議論は
不毛です。どちらも素敵なのです。
メロス四重奏団の弦楽五重奏曲集も
聴き応えがあり、
後世に残る録音なのだと思うし、
フルート四重奏曲集における
パユ盤の存在も揺るぎはないはずです。
でも、このレザリュー盤も
聴いていて愉しいのです。
聴いて愉しいかどうか、
これが大切なのだと思います。
やはり、音盤は愉し、です。

(2023.4.22)

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