ラルキブデッリのベートーヴェン

ベートーヴェンの魅力を再発見させてくれる

昨年5月・7月に購入して以来、
飽きずに聴いている
vivarte 60CD collection
第1集第2集ですが、
ベートーヴェンの室内楽も愉しめます。
なぜか第1集にまとめて
3枚入っているのですが、
折に触れて聴いています。
ベートーヴェンというと、
交響曲、協奏曲を聴く機会が
多いのですが、室内楽は今ひとつです。
そんな私にとって、
この3枚はベートーヴェンの魅力を
再発見させてくれます。

Disc 19
「ベートーヴェン:弦楽三重奏曲集」

ベートーヴェン:
 弦楽三重奏曲第2番ト長調Op.9-1
 弦楽三重奏曲第3番ニ長調Op.9-2
 弦楽三重奏曲第4番ハ短調Op.9-3
ラルキブデッリ
 ヴェラ・ベス(vn)
 ユルゲン・クスマウル(va)
 アンナー・ビルスマ(vc)
録音:1990年

まずは弦楽三重奏曲Op.9の3曲です。
ベートーヴェンの室内楽では
弦楽四重奏曲が有名になりすぎて、
弦楽三重奏曲は影が薄くなっています。
私自身、「あれ、持ってたっけ?」と
CD棚を探したくらいです。
ムター(vn)、ジュランナ(va)、
ロストロポーヴィチ(vc)という
大物揃い(ジュランナは知らないが)の
録音がありましたが、
存在を忘れるくらい
遠ざかっていました。

ラルキブデッリの演奏は、
この地味な曲を
生き生きと甦らせています。
いや、若返らせているといった方が
いいでしょう。
私たちはどうしても
後期の傑作ばかりを聴き、
その格調の高さや厳粛で荘厳な響きを
「ベートーヴェンらしさ」として、
求めてしまっていたのでしょう。
この演奏からは「しかめっ面」ではなく、
陽気な笑みを浮かべた
ベートーヴェン像が
浮かび上がってきます。

Disc 29
「ビルスマ&インマゼールの大公」

ベートーヴェン:
 ピアノ三重奏曲
  変ロ長調Op.97「大公」
 ピアノ三重奏曲
  ニ長調Op.70-1「幽霊」
ヴェラ・ベス(vn)
アンナー・ビルスマ(vc)
ジョス・ファン・インマゼール(fp)
録音:1999年

次はピアノ三重奏曲です。
7曲あるピアノ三重奏曲から
有名どころ2曲をセレクトした盤です。
フォルテピアノが好きになり、
このBOX以前にインマゼールの
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、
インマゼールとビルスマの
ベートーヴェンのチェロ協奏曲を購入、
愛聴していました。
本盤も期待を裏切らない
鮮烈な演奏です。
やはりインマゼールのフォルテピアノの
音色が美しいと思います。
決して出しゃばることなく、
それぞれの場面での
調和を第一に考えたような
節度ある姿勢です。その分、
ビルスマのチェロが歌っています。
ベスのヴァイオリンも鮮やかです。

Op.97「大公」であれば
カザルス・トリオの盤、そして
ルービンシュタイン、ハイフェッツ、
フォイアマンの盤が、
古くから名盤として定着しています。
しかしもうそろそろ
看板を下ろしてもいい時期です。
現代ならばメルニコフ、ファウスト、
ケラスの盤と本盤を持って
両横綱としていいのではないかと
思います。

Disc 17
「ベートーヴェンの
 弦楽五重奏版クロイツェル」

ベートーヴェン:
 六重奏曲変ホ長調op.81b
  (ホルン2と弦楽四重奏のための)
 二重奏曲変ホ長調WoO32
  (ヴィオラとチェロのための)
作者不詳:
 「クロイツェル・ソナタ」による
  弦楽五重奏曲イ長調
ラルキブデッリ
 ヴェラ・ベス(vn)
 ルシー・ファン・ダール(vn)
 ユルゲン・クスマウル(va)
 アンナー・ビルスマ(vc)
 リデウィー・シャイフェス(vc)
 アブ・コスター(hr)
 クヌート・ハッセルマン(hr)
録音:1991年

最後の一枚がまた素敵です。
六重奏曲は弦楽三重奏曲同様に
聴く機会の少ない曲なのでは
ないでしょうか
(私だけかもしれませんが)。
弦楽四重奏と2つのホルンによって
構成されたこの曲もまた、
弦楽三重奏曲同様に、
ベートーヴェン後期の
重さはありません。
ホルンの音色がそうだからでしょうか、
のどかで幸せな雰囲気の漂う曲です。
知らない方が聴けば
モーツァルトの曲かと
思われるくらいでしょう。
「音楽の冗談」に近い印象を受けます。

2曲目の二重奏曲については
この盤で初めて聴きました。
調べてみると原題が
「オブリガート眼鏡をつけた
ヴィオラとチェロのための二重奏曲」と
なっていて、これは
「作品を捧げた友人のアマチュア
チェロ奏者の視力の弱さを
からかったものであろう」と
ありました。
このあたりも「モーツァルト的」です。

その2曲も愉しめるのですが、
後半の編曲者不詳の
「クロイツェル・ソナタ」もまた
それ以上に愉しめます。
弦楽五重奏にした分、
原曲の緊迫感が薄れ、
まろやかな風合いに仕上がったような
感じです。
特に最近、コパチンスカヤや
リナ・トゥール・ボネの
刺激的なクロイツェルを
聴き続けてきたせいか、
このまろやかさに何ともいえない
愛らしさを感じてしまいます。

ベートーヴェンの室内楽は
弦楽四重奏曲だけではないと
思い知らされる
ラルキブデッリによる
名演奏の3枚です。
音盤にはまだまだ十分に愉しめる
広い世界が存在しています。

※vivarteレーベルからは、
 ラルキブデッリのベートーヴェンは
 もう一枚、弦楽三重奏曲Op.3の
 録音があるようでした。
 こちらは第1集第2集の120枚から
 漏れてしまったようです。残念。
 単独のものを
 探してみたいと思います。

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