2台ピアノ伴奏版のモーツァルト・レクイエム

「宗教曲」ではなく「合唱曲」として聴く

ジュスマイヤー版、バイヤー版、
ランドン版など、
モーツァルトのレクイエムといえば
何かと「版」が問題になるのですが、
今回取り上げたいのは
「2台ピアノ伴奏版」。
未完の楽譜を補完した
ヴァージョン違いではなく、
オケを取り払いピアノ伴奏へと
アレンジしたものです。

モーツァルト「レクイエム」
2台ピアノ伴奏版

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モーツァルト:
 レクイエム ニ短調 K.626
  (2台ピアノ伴奏版)

Payal John(S)
Tanisha Herbert Rozario(Ms)
Benson Chacko(T)
Rahul Bharadwaj(Bs)
Mark Troop(p)
Abishek Gnanaraj(p)
Cappella Banbalore
The Banbalore Men
Jonas Olsson(指揮)
録音:2025年

モーツァルトのレクイエムの編曲版は、
弦楽四重奏版や
2台ピアノ版があるようですが、
いずれも声楽部分を含めて
器楽演奏に編曲されています。
管弦楽伴奏のみをピアノに置き換え、
声楽はそのまま残したアレンジは、
この演奏が初めてです
(私が知らないだけかもしれませんが)。

amazon musicで見つけました。
聴いてみると
不思議な感覚に包まれます。
モーツァルトのレクイエムは、
管弦楽と声楽が渾然一体となった
美しさが売り物なのですが、
本編曲の場合、(当然のこととして)
声楽が際立って聞こえます。
ピアノ伴奏自体も4手とはいえ、
かなりシンプルな構成となっており、
それによってこの曲本来の声楽の輪郭が
はっきりととらえることが
できようになっているのです。

特に第6曲「Recordare」では、
声楽ソロ4パートの掛け合いが
オケ付きより
明確に聴き分けることができます。
ある意味、こちらの方が楽しめます。
ソリスト4名は初めて聞く名前です。
検索しても情報が現れてきません。
この4人と
合唱団Cappella Banbaloreの
組み合わせで
シューベルトのミサ曲も
収録していることから、
ソリスト4名はこの合唱団の
団員ではないかと推察されます。

第8曲「Lacrimosa」、
第11曲「Sanctus」では特に、
合唱の美しさを楽しむことができます。
オケ付きの演奏では、
録音バランスによって
合唱が引き立っていない例も
見られるのですが、
この2台ピアノ伴奏ではしっかりと
聴き取ることができるのです。

ピアノ伴奏だからでしょう、
amazon musicの
アートワークを見る限り、
合唱団は小ぶりの編成のようです。
それでも
第13曲「Agnus Dei」から終曲にかけて、
迫力の不足は感じさせません。

こうして一通り聴いてみると、
宗教曲の雰囲気がまったく抜け落ちて、
通常の合唱曲のように感じられます
(歌詞が理解できないからでしょうか)。
これまでの
モーツァルトのレクイエムとは
異なる味わいなのです。
合唱そのものを楽しみたいという方には
特にお薦めです。

さて、肝腎の音盤ですが、
まったく見当たりません。
アートワークのデザインは
音楽配信以上にCDジャケットを
意識したつくりであり、
音盤は存在すると思うのですが、
amazonやHMVからは
探し出すことはできませんでした。
配信サービスのみ
(もしくは配信先行)なのか、
輸入ルートの確保されていない国で
制作されたものなのか、
あるいは極小マイナーレーベルであり
国内流通上無視されているか、
事情はまったくわかりませんが、
現段階では配信のみでしか
味わうことはできないようです。

ところがYouTubeから
音源が配信されています。それも
合唱団Cappella Banbaloreによる
チャンネルで、
トラックごと全曲公開されています。
もしかしたらこの合唱団の
自主制作音源なのかもしれません
(配信のみで音盤なしの形での)。
とりあえず第1曲「Introitus」を。

W.A. Mozart: Requiem

いい時代になりました。
音盤だけでなく、
配信からも続々と面白い演奏が
登場しています。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.7.15)

〔関連記事:モーツァルト・レクイエム〕

モーツァルト「レクイエム」
モーツァルト「レクイエム」
モーツァルト「レクイエム」

〔モーツァルト・レクイエム・音盤〕
弦楽四重奏版には
このようなものがあります。

ピアノ連弾版のこちらは声楽なしです。

ピアノ独奏版もあります。
なんと日本の演奏家です。

Erika VargaによるPixabayからの画像

【今日のさらにお薦め3作品】

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ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
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