最高の演奏、映像付きは素晴らしい
モーツァルトのレクイエムは
超有名曲であるため、
音盤も数多く出回っています。
私もいくつか持っているのですが、
最も素晴らしいと感じているのが
この音盤です。音盤というよりは
画付き音盤でしょうか。DVDです。
映像も含めて、素敵な音楽、
素敵な演奏が展開していきます。
モーツァルト
「レクイエム」「ミサ曲ハ短調」
モーツァルト:
レクイエム ニ短調 K.626
(アイブラー&ジュスマイヤー版)
ミサ曲 ハ短調 K.427(417a)
(シュミット&ガーディナー版)
バーバラ・ボニー(S)
アンネ・ソフィー・フォン・オッター(Ms)
アンソニー・ロルフ・ジョンソン(T)
アラステア・マイルズ(Bs)
モンテヴェルディ合唱団
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
録音:1991年
モーツァルトのレクイエムは、
かつてはベーム盤が
もてはやされていました。
私も決して嫌いではありません。
あの重厚な底光りのするような演奏は、
レコード録音史上の
一つの金字塔であると思われます。
私はクラシック音楽を聴き始めた頃、
この曲について、ベーム盤、
バーンスタイン盤、ジュリー二盤と
聴いてきましたが、
そのあまりの重さに
辟易としていました。
ところが本盤の指揮者ガーディナーの
ベートーヴェン交響曲全集が
あまりにも衝撃的かつ
素晴らしい演奏であったため、
モーツァルトのレクイエムのCDも
購入して聴いてみました。
ベートーヴェン以上の衝撃でした。
この曲はこんな姿をしていたのか!
オーケストラ・合唱・独唱のその透明度、
そしてガーディナーの指揮の
推進力と軽やかさ。レクイエムが
死者のためのものだとしても、
誰かの葬式で流すわけではありません。
音楽として聴くのであれば、
これが最適解ではないかと思うのです。
ベーム盤では見えなかった
モーツァルトの姿が、
ガーディナー盤では確かにはっきりと
見えるのです。
これこそが
「モーツァルトの」レクイエムだ!
そのときの感触は、
30年たった今でも忘れません。
さらに映像盤が登場し、
当時LD(レーザーディスクなど、
今の若い方は知らないでしょうが)を
買いました。さらなる衝撃でした。
CDよりも断然素晴らしい演奏です。
ソプラノのボニー、
メゾ・ソプラノのフォン・オッターは、
CD以上の美しさです。
テナーはCDの
ブロホヴィッツから交代し、
ロルフ・ジョンソンが
受け持っていますが、
これがまた堂々とした
伸びのある歌声を聴かせてくれます。
欲を言えばバスのマイルズが
もう少し頑張ってもらえればと
思うところなのですが、
それでも全体的にハイレベルであり、
何度聴いても愉しめます。
モンテヴェルディ合唱団も透明感の高い
素敵な合唱を披露しています。
オーケストラも指揮者の棒に応え、
きびきびとした進行で、
精密なアンサンブルを
紡ぎ上げています。
音だけを聴くと、
モーツァルトらしい「軽さ」が
前面に押し出されてくるのですが、
映像を伴うと、演奏者・演奏者の
気迫のようなものが伝わってきて、
決して軽い演奏ではなく、
緊張感の漲る音楽が
展開されていることを確認できます。
長らくLDを愉しんだのですが、
21世紀に入ってDVDが登場し、
すぐさま買い換えました。
ここ十数年、
クラシック音楽はCDを聴く一方で、
映像を愉しむ機会が
少なくなっていました。
ところが昨年末、
書斎のTVを50型に買い換え、
再び映像を愉しみ始めています。
TVとオーディオ・システムを
一体化させ、ネット環境にも接続、
それをオットマンつき
リクライニング・チェアに座って
音と映像を愉しむ。
こたえられません。
書斎に閉じ籠もりきりになりそうです。
さすがにDVDの映像を
50インチの4Kディスプレイに映し出すと
荒さが目立ってしまうのですが、
30年前の映像記録だと思えば
気になりません。
ガーディナーやフォン・オッターの
若々しい姿が見られることは貴重です。
これからは音盤と画付き音盤、
両方愉しみたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。
〔この演奏のDVDについて〕
現在廃盤となっていて、中古でも
なかなか見つからないようです。
Blu-ray化もなされていません。
CDは廉価盤で何度も再発されています。
CDは録音年と
ソリストの一部が異なるため、
聴いた印象が微妙に異なります。
2曲の音盤を参考までに。
モーツァルト:
レクイエム ニ短調 K.626
(アイブラー&ジュスマイヤー版)
キリエ ニ短調 K.341
バーバラ・ボニー(S)
アンネ・ソフィー・フォン・オッター(Ms)
ハンス・ペーター・ブロホヴィッツ(T)
ウィラード・ホワイト(Bs)
モンテヴェルディ合唱団
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
録音:1986年
モーツァルト:
ミサ曲 ハ短調 K.427「グレイト」
(シュミット&ガーディナー版)
シルヴィア・マクネアー(S)
ダイアナ・モンタギュー(Ms)
アンソニー・ロルフ・ジョンソン(T)
コルネリウス・ハウプトマン(Bs)
モンテヴェルディ合唱団
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
ジョン・エリオット・ガーディナー(指揮)
録音:1986年
〔モーツァルト「レクイエム」の音盤〕
(2024.1.14)
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