共鳴するドビュッシー Debussy in Resonance

不思議なピアニスト、ジョアンナ・グッデール

なんとも不思議な音盤を
買ってしまいました。
「Debussy in Resonance」。
日本語訳では「共鳴するドビュッシー」。
ピアニストはジョアンナ・グッデール。
単なるドビュッシー・ピアノ作品集では
ありません。
ドビュッシー作品に自作の曲を
織り交ぜて演奏しているのです。
これがまた素敵な効果を
生み出しています。

共鳴するドビュッシー~ピアノ作品集
 ~ドビュッシー&グッデール

Debussy in Resonance

ドビュッシー:夢想
グッデール:海洋起源
ドビュッシー:
 沈める寺
 水の反映
グッデール:メタル・ムーン
ドビュッシー:
 月の光
 雪が踊っている
グッデール:まだ雪
ドビュッシー:
 雨の庭
 パゴダ
グッデール:目が眩むガムラン
ドビュッシー:
 そして月は荒れた寺にかかる
グッデール:共鳴するドビュッシー
ジョアンナ・グッデール(p)
録音:2021年

こうして曲目を並べてみると、
つながりを持って
曲を配置していることがわかります。
自作の「メタル・ムーン」なる曲のあとに
ドビュッシー「月の光」、
ドビュッシー「雪が踊っている」に
続いて自作曲「まだ雪」、
おそらくはドビュッシーの音楽から
インスピレーションを得て
創り上げた自作曲ではないかと
思われます。

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ところがこの織り込まれている
5つの自作曲が曲者です。
ピアノ以外の楽器の音が
聞こえるのです。
ブックレットに掲載されている
モノクロ写真を見ると、
ピアノの上にシンギングボウル
(鉦のようなもの)を複数置いています。
また、ピアノの横には
ゴングも設置されています。
彼女はピアノを弾きながら、
ボウルやゴングを鳴らして
演奏しているのでしょう。

2曲目「海洋起源」は、冒頭、
よく分からない音の響き
(ボウルやゴング以外の可能性あり)の
中からピアノが立ち現れます。
ドビュッシー以上の
印象主義的な旋律がそれに続きます。

5曲目「メタル・ムーン」は、
ボウルの打音から始まります。
お寺のお経が始まるような
雰囲気の中で、いつピアノが
始まるのかと待っていると、
ピアノは結局現れず、
1分54秒の演奏時間のすべてが
ボウルの「チーン」が余韻を持って
重なり合っているだけです。
まさにメタル・ムーン…。
でも、そこから
「月の光」が開始するのですから、
演出効果としては十分です。

8曲目「まだ雪」も、
ボウルとゴングの共鳴の中から
ピアノが始まります。
ドビュッシー「雪が踊っている」から、
しっかりとつながっているように
聴こえてきます。
そして幻想的な雰囲気が広がり、
あたかも雪が舞い降りてくるような
錯覚に陥ります
(今は夏並みの暑さなのですが)。
そこからさらに、ドビュッシー
「雨の庭」に接続することによって、
雪が解けて雨に変わったような
印象を受けるのです。

11曲目
「目が眩むガムラン」にいたっては、
表題通りガムラン
(インドネシアの打楽器群)が
奏でられているのでしょう。
幾種類もの
打楽器系の音が聴き取れます。
そこから例によって
ピアノが登場します。

最終曲「共鳴するドビュッシー」もまた、
「共鳴する打楽器」から始まります。
続くピアノはドビュッシー風の
印象主義的メロディーが
紡がれていきます。
8曲のドビュッシー作品、
そして4曲の自作曲は、
ここで収束されていくのです。
自作曲は単なるドビュッシー作品の
「繋ぎ的役割」かと思っていましたが、
最終曲を聴くと、
決してそうではないことがわかります。
彼女の作品は、
深い独創性に満ちているのです。

1862 Debussy

さて、このジョアンナ・グッデールなる
ピアニストのことを知りたいと思って
ネットを探してみました。
公式サイトが設けられていました。
https://www.joannagoodale.com/

これを見ると、彼女は本盤以前に、
バッハの作品とスーフィー音楽
(イスラムの宗教音楽らしい)を
組み合わせた「Bach in a Circle」
リリースしています。
そちらも愉しそうな音盤です。

そしてYouTubeに、この音盤の
PR動画が掲載されていました。

Debussy in Resonance

こちらを見る限り、やはり
ボウルやゴングをピアノに設置し、
演奏しています。
そして野外での
演奏風景を収めているところを見ると、
本盤のコンセプトは「自然への回帰」
そして「音楽の融合」といった
ところでしょうか。
彼女自身の出で立ちも西洋と東洋が
融合したような雰囲気です。
既成の概念に囚われずに、
いろいろなものを組み合わせながら、
新しい価値観を創造しようと
しているのかも知れません。

実はドビュッシーのピアノ曲については
ミケランジェリの盤と
ポリーニの盤があれば
あとはいらないのではないかと
思い込んでいました。
本盤を購入し、
ドビュッシーのピアノ曲の新たな光に
気づくことができました。
ジョアンナ・グッデールという
素晴らしいピアニストの存在も
知ることができました。
やはり、音盤は愉し、です。

(2023.6.4)

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