ヘンデル「ジューリオ・チェーザレ」

ヘンデルこそ、音楽の大河の本流

最近、
ヘンデルのオペラの素晴らしさに
気づきました。これも古楽を
聴くようになってからのことです。
ヘンデルはオペラを多数作曲し、
HWV.1~42を付された
42曲があります。
その中でも最も録音が多いのは
「ジューリオ・チェーザレ」です。

ヘンデル:
歌劇「ジューリオ・チェーザレ」(全曲)

Giulio Csare

ヘンデル:
歌劇「ジューリオ・チェーザレ」(全曲)

 ジューリオ・チェーザレ:
  マリヤナ・ミヤノヴィチ(Ms)
 クレオパトラ:
  マグダレーナ・コジェナー(Ms)
 セスト:A.S.フォン・オッター(Ms)
 トローメオ:ベジュン・メータ(C-T)
 ニレーノ:パスカル・ベルタン(C-T)
 コルネリア:
  シャルロット・エルカン(A)
 アキラ:アラン・ユーイング(B)
 クリオ:
  ジャン=ミシェル・アンカウア(Bs)
ルーヴル音楽隊
マルク・ミンコフスキ(指揮)
録音:2002年

バロック・オペラ、
とりわけヘンデルのオペラは、
最近になってようやく
CDが次々にリリースされる
状態になっているのですが、
以前はほとんど
無視され続けていたように思います。
ワーグナーほどの
オーケストラの効果はあるはずもなく、
モーツァルトやヴェルディのような
展開の変化には乏しく、
ウェーバーのように
合唱を愉しめるわけでもなく、
レチタティヴォとアリアが
繰り返し現れるだけなのですから、
無理もありません。
したがってヘンデルのオペラは、
ソリストの技量に
大きく比重がかかることになります。

今日のオススメ!

本盤はその点、
申し分ない配役だと感じます。
コジェナーは声に気品が感じられ、
クレオパトラの雰囲気を
見事に再現しています。
セスト役には
大物フォン・オッターを配置、
抜群の表現力を発揮しています。
主役のミヤノヴィチの歌も素敵です。
シーザーは、本来カストラートを
想定した役どころであり、
女性が歌うとどうしても
英雄としての力強さが
感じられないという
不満はあるのですが、
それは致し方ありません。
聴き手がカウンター・テナーと
メゾ・ソプラノのどちらを好むかという
問題になるでしょう
(私はカウンター・テナーが
奇怪に感じてしまい、肌に合わない)。
全曲通すと3時間40分という
ワーグナー級の大作なのですが、
決して退屈は感じさせない
推進力を持った演奏だと感じます。

私が購入したのは輸入盤であり、
歌詞対訳がないので
細かな筋書きは分かりません。しかし、
おおよその粗筋さえ理解していれば、
音楽は十分に愉しめます。
そもそも歌詞対訳を見ながら聴いても、
言葉を目で追うのに精一杯となり、
音楽を愉しめないと感じます。
耳から入ってくるものを十分に
受け止めることこそ大切なのです。

1685 Handel

さて、このヘンデル
バッハと同じ1685年生まれです。
当時、どちらも大きな活躍をしながら、
現代ではその扱われ方に
差が生じています。
音楽之友社から出版されている
「最新盤名曲名盤500」なる
音盤案内書には、名曲500曲のうち、
バッハは24曲も
取り上げられているのに対し、
ヘンデルはたったの4曲
(王宮、水上、合奏協奏曲、メサイア)。
なんとも残念です。

私はこれまで
ロマン派の交響曲を中心に、
クラシック音楽を愉しんできました。
その源流へと遡ると、
どうしてもベートーヴェン、
モーツァルト、ハイドンとつながり、
その先には
バッハが見えてきてしまいます。
ところがバッハの音楽は堅すぎて、
私はどうしても好きになれません
(無伴奏ヴァイオンリンやチェロ、
オラトリオは好きですが)。
だからさらにその先の古楽へ進むのを
長年躊躇していたのです。

ところが
古楽をいろいろ味わってみると、
元来は教会のものであった音楽が、
次第に民衆のものになっていった経緯を
実感できます。だとすると、
より大衆に接近しようとした
ヘンデルこそ、
ルネサンスからバロックへと続く音楽の
大河の本流のように感じるのです。

音楽学者バーゼルトが作成した、
HWVで表されるヘンデルの作品番号は、
ジャンル別の分類となっていて、
それはオペラから始まり、
オラトリオへと続きます。
ヘンデル作品は、
「王宮の花火の音楽」や
「水上の音楽」だけではないのです。
オペラこそ聴くべきなのです。
この「ジューリオ・チェーザレ」など、
いくつかの録音がそろっていますので、
そろそろ「名曲名盤500」に
取り上げられてもいいあたりです。

私はまだ本盤のほかに所有しているのは
「リナルド」「アリオダンテ」
「セルセ」だけですが、
これからいろいろ聴いていきたいと
考えています。
やはり、音盤は愉し、です。

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