ヘンデル作品と一体化した素敵なソプラノ
「vivarte 60CD collection」に続いて
購入した
「deutsche harmonia mundi BOX」
第1集第2集・計100枚。
前回は第1集から取り上げましたが、
今日は第2集から、
とっておきの1枚です。
何が素晴らしいか?
ジャケットです。
歌声です。
ヌリア・リアルです。
BOX2 Disc22
ヘンデル:ドイツ語アリア集
ヘンデル:
来たるべき日々の空しい憂いも
HWV.202
たわむれる波のきらめく輝きは
HWV.203
かわいい矢車草の花 HWV.204
快い静けさ、安らぎの泉 HWV.205
魂よ、神をほめたたえて歌え
HWV.206
私の魂は見ながらにして聴く
HWV.207
薄暗い墓穴から来たお前たち
HWV.208
心地好い茂みの中 HWV.209
燃えたつようなばら、大地の飾り
HWV.210
王宮の花火の音楽 HWV.351
ヌリア・リアル(Sp:HMV.202~210)
ミヒャエル・オーマン(指揮)
オーストリアン・バロック・カンパニー
録音:2008年
素敵です。
とにかく素敵です。
これまで聴いてきた
どのソプラノよりも、
私の心に染み込んできます。
とろけるような甘みを含みながらも
透明感の高い歌声、
高い技巧を持ちながらも
あざとさのまったく感じられない
自然体の歌唱、
聴いているものの気持ちを高揚させる
深い情感を込めた表現、
それに加えて
この美しい容姿なのですから
たまりません。
この9曲、すべてヘンデルが
ドイツ時代に書いたアリアです。
後年のオペラやオラトリオに比べて
シンプルな旋律と構成であり、
「無垢」なイメージが、
彼女と重なります。
まるでヘンデルが300年後に現れる
歌姫の存在を予感して
創り上げたかのように感じられます。
どれをとっても幸福感に浸れるような
仕上がりです。
生命感と躍動感に満ちあふれています。
それほど彼女の歌はヘンデルの作品と
一体化しているのです。
ちなみにYouTubeでも、彼女と
Ausrian Baroque Compnyによる
HWV.210の動画が公開されています。
本盤の後半に収められている
「王宮の花火の音楽」も素敵です。
この曲は本来、大きな編成で演奏される
祝典的な色彩の濃い楽曲です。
指揮者・オーマンは、この曲を
小編成向けに編曲するとともに、
自らがリコーダーで
主旋律を受け持っています。
ヘンデルの音楽の持つ
気品の高さを失わずに、
小編成の簡素でキビキビとした演奏に
心を奪われます。
ただし、
「ヌリア・リアルのヘンデル・アリア集」と
「小編成演奏による王宮」を、
一枚のディスクにまとめてしまったのは
どうなのかと
首をかしげざるを得ません。
別のヘンデル・アリア作品を加えて
一枚にし、全曲ヌリア・リアルとして
編んでほしかったというのが
正直なところです。
さて、ヌリア・リアル(nuria Rial)は、
1975年スペイン生まれです。
これまで私は
古楽に無関心であったため、
バロックやルネサンス期の作品で
活躍している彼女を知ることなく
過ごしてきてしまいました。
古楽という未知の分野に足を踏み入れて
初めて彼女の存在を知りました。
古楽はやはり素晴らしい、
そして、やはり、音盤は愉し、です。
〔ヌリア・リアルのCD〕
すでに彼女は
多くの録音を残しています。
これから一つ一つ
丹念に集めていきたいと思います。
(2022.10.8)
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