何か特別な機会に演奏されるべき曲

クラシック私的名曲名盤
ベストな3枚 File-030

ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op.125「合唱」

ベートーヴェンの第9交響曲。
年末に演奏する習慣は日本だけです。
わかるような気がします。
この曲はおいそれと聴くべき
曲ではないからです。
何か特別な機会に
演奏されるべき性質を持った
曲なのでしょう。
というわけで、大晦日の今日は、
ベートーヴェンの第9交響曲です。
私はこの3枚を高く評価しています。

ガーディナー(指揮)
オルケストル・レヴォリュショネール・
エ・ロマンティーク

まったく引きずらずに、
快速のテンポで進んでいく
第1・2楽章の小気味よさ。
この盤の発売当時、
昂奮しながら聴いたことを
覚えていますが、それからすでに
四半世紀が過ぎてしまいました。
全く古びていません。

ショルティ(指揮)
シカゴ交響楽団

この演奏の素晴らしさは
第3楽章の弦の美しさ。
シカゴ交響楽団はどちらかというと
力業が得意なのですが、
慌てずじっくりと
丹念に演奏された第3楽章は
天にも昇る美しさです。
ガーディナーは攻撃的ともいえる
アプローチですが、
こちらは心が癒やされる演奏です。
この曲でこの演奏を押す人は
あまりいないのかも知れませんが、
私は気に入っています。

フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)
デンマーク国立交響楽団

以前取り上げました。
CDではなくBlu-rayです。
第1楽章第2楽章では、
指揮者からもオーケストラからも
ただならぬ緊張感が伝わってきます。
第3楽章ではそれが
天国的な美しさに転化します。
そして第4楽章。
大きな感動に包まれます。
CDも含め、あまたあるこの曲の演奏の
ベストに位置づけできる
完成度の高さです。

もしかしたら第9交響曲のCDには
駄盤は存在しないのかも知れません。
次の3枚をあげろと言われれば、
ヤルヴィ&ドイツ・カンマーフィル盤、
クリヴィヌ&ラ・シャンブル・フィル盤、
アバド&ベルリン・フィル盤が
すぐ出てきます。
これらは上の3枚と同じくらい
愛聴しています。
数種あるカラヤン盤は
どれもこれも洗練されています。
フルトヴェングラーの
神がかり的名盤も素晴らしいと
思います(音質が悪く
あまり聴こうと思いませんが)。
バーンスタイン盤も立派です。
ラトルやアーノンクールも大好きです。
シュミット=イッセルシュテット、
コンヴィチュニー、ワルターらの
深い味わいも魅力があります。
ハイティンクやブリュッヘンや
バレンボイムも
ときどき引っ張り出します。
トスカニーニやケンペやシェルヘンの
渋い味わいもたまりません。
小澤や佐渡もいい味です。

それでは今年は
どれを聴いて締めくくりましょうか。
皆様、よいお年をお迎えください。

(2020.12.31)

コメントを残す