バッハの音楽は苦手なのですが…

クラシックCDこの曲ベスト3 File-028

バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ

バッハはどちらかといえば苦手です。
眉間にしわを寄せて
作曲したような曲ばかりだからです。
一般には親しみにくい部類の
音楽でしょう。でも、
無伴奏のヴァイオリンとチェロの曲は
大好きです。
今日はヴァイオリンの方です。
以下の3点を好んで聴いています。

イザベル・ファウスト(vn)

研ぎ澄まされたような深い音色です。
バッハの無伴奏の深遠な世界を
垣間見るような思いを
いつもしています。
そしてヴァイオリンの音色に
限りない美しさを感じてしまいます。
一音一音がこぼれ落ちる宝石のように
イメージされてきます。
現代屈指のヴァイオリニストである
イザベル・ファウストの
名演奏といえます。

ギル・シャハム(vn)

十年ほど前、NHKで映像を見て以来、
いつきちんと録音するのか、
首を長くして待っていました。
シャハムの音色もファウスト同様に
美しい限りです。
しかしシャハムの場合は、
ところどころに愉悦に充ちた表現を
聴き取ることができるのが
特徴でしょう。
このヴァイオリニストは
いくつかの映像で見る限り、
とても楽しげに
ヴァイオリンを奏でます。
そうした先入観で聴いてしまうためか、
決して楽しい音楽ではないこの曲に、
どこか愉しさを感じてしまう
シャハムの演奏です。

ヘンリク・シェリング(vn)

古くからある名盤中の名盤です。
私はこの盤で
無伴奏ヴァイオリンの奥深さを
知りました。
刷り込まれてしまっているせいか、
なかなかこの盤から抜け出せません。
じっくり聴き込むと、
その温かみのある音色に
しみじみと心が安らぎます。

バッハの音楽に対する論評として
「精神性」について
語られることが多いのですが、
音楽は聴いて美しいか、
聴いて楽しいか、
聴いて心が和むか、といった要素こそ
重要なのだと思います。
そうした観点から取り上げた3枚であり、
私がよく聴く3枚です。

これに加えて
レイチェル・バートン・パイン盤も
よく聴いています。
シェリング盤ではなくこちらの方を
取り上げようと思いましたが、
購入から日が浅く、
まだじっくり聴き込んでいないので
見送りました。
別の機会に
取り上げたいと思っています。

このほかにも
2種の先鋭な表現のクレーメル盤、
技術の冴えが
前面に感じられるグリュミオー盤、
朴訥で渋い音色のシゲティ盤など
所有している盤は
みな素晴らしいと思っています。

どちらかというと
名のある演奏家の盤だけが
目立ってしまうこの曲です。
しかしまだまだ素晴らしい盤が
あるはずです。
私はまだ所有していませんが、
現代の女性演奏家に注目しています。
評判の高いポッジャー盤、
クールな演奏のイブラギモヴァ盤、
日本の誇るヴァイオリニスト
五嶋みどり盤等々、
懐に余裕ができたら
手を出してみたいと思っています。

(2020.11.7)

コメントを残す