抜群の人気のピアノ・ソナタを味わう

クラシックCDこの曲ベスト3 File-027

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番ハ嬰ハ短調Op.27-2「月光」

ベートーヴェンのピアノソナタの
2つめに取り上げるのは「月光」です。
第8番「悲愴」では、
ギレリス、バレンボイム、リムという、
巨匠2人と若手1人を選んでみました。
この曲もギレリスやポリーニ、
バレンボイム、グルダ、
ケンプといった巨匠たちを
無視することはできないのですが、
最近聴き入っている3枚は
次の通りです。

ピリス(p)2001年録音

ピリスのレパートリーとしては、
ベートーヴェンは珍しい方でしょう。
ピアノソナタは
この1枚のみ(だったはず)、
あとはピアノ協奏曲を
いくつか残しているのみです。
2001年録音の本盤は、
発売当時あまり
話題にはなりませんでしたが、
私は気に入っています。
変に重々しくすることなく、
流麗に弾ききるスタイルは、
まるでピリスの名盤である
モーツァルト:ピアノソナタ全集の
続編を聴いているかのような
錯覚を覚えます。

チャオ(p)2013年録音

若手の鮮烈な演奏としては
ギィを選ぼうか、リムを選ぼうか、
それとも…と迷ったのですが、
比較的よく聴いているのは
このチャオの演奏です。
ピアノ・ソナタ全集の1枚ですが、
聴いていてはっとさせられる部分の
多い演奏です。
このときまだ10代。
それでいて抜群の技術を感じさせます。
恐るべき女性ピアニストです。

ただ、この素晴らしい全集の後、
確かチャイコフスキーの協奏曲、
そしてショパンのアルバムを
出したと思うのですが、
そのあとが続いていないのが残念です。
一体どこで何をしているのか。
私は次の演奏を聴きたくて
うずうずしている状態です。

リュビモフ(fp)2012年録音

先日取り上げた
「BEETHOVEN REDISCOVERED」
収められている
ベテラン・リュビモフの1枚です。
フォルテピアノによる演奏です。
もっと早くから
聴いておくべきだったと思っています。
フォルテピアノの響きは
通常のピアノを聴き慣れた私の耳には
かなり新鮮に響いてきます。

フォルテピアノは
ブラウティハムやインマゼール、そして
日本人奏者の七條恵子も注目ですが、
私はまだ聴いていません。
このあと手を伸ばしていきたいと
思っています。

それにしてもこの嬰ハ短調のソナタ、
「月光」というなんともロマンチックで
詩的な「俗称」の効果もあり、
ベートーヴェンのピアノソナタの中でも
抜群の人気を誇っています。
特に第3楽章の高揚感は
なんともいえない魅力を放っています。
できるだけ多くの演奏を
楽しみたいと思います。

(2020.10.31)

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