ヘンデル「オルランド」を聴く

「オルランド」録音の基点・ホグウッド盤

年末年始の休日は、ひところは
ワーグナーのオペラを聴いて
愉しんでいました。
しかし年をとると
音楽もローカロリーが好みになり、
最近はオペラ鑑賞といえば、
バロック・オペラ中心、せいぜいで
モーツァルトあたりまでです。
この年末年始はヘンデルのオペラを
中心に味わっています。
その中の一枚、「オルランド」、
クリストファー・ホグウッドの
録音です。

ヘンデル 歌劇「オルランド」

今日のオススメ!音盤

ヘンデル:
 歌劇「オルランド」全曲

ジェイムズ・ボウマン
 …オルランド(C-T)
アーリーン・オジェー
 …アンジェリカ(S)
キャサリン・ロビン
 …メードロ(Ms)
エマ・カークビー
 …ドリンダ(S)
デイヴィッド・トーマス
 …ゾロアストロ(Bs)
エンシェント室内管弦楽団
クリストファー・ホグウッド(指揮)
録音:1990年

この歌劇「オルランド」は
三幕構成のオペラ・セリアであり、
アリオストの「狂えるオルランド」を
もとにした物語が展開します。
ヘンデルはアリオストのこの物語から、
「オルランド」のほかに
「アリオダンテ」「アルチーナ」と
三部作で創り上げています。
しかし三作が直接つながる
連続劇ではありません。
登場人物の一部に
重なりが見られるという、ゆるやかな
連作オペラとなっているのです。
「オルランド」の筋書きは、
ざっくりと表すと
以下のようになります。

〔第1幕〕
騎士オルランドは女王アンジェリカに
激しい恋心を抱いている。
しかし、アンジェリカは
ムーア人の王子メドーロを愛している。
それを知っている
魔術師ゾロアストロは、
「恋よりも武勲に励むべき」と
オルランドに忠告する。
アンジェリカは
オルランドの求愛をかわす一方で、
メドーロと逃避行を企てる。
メドーロに恋する牧人の娘ドリンダは、
二人の仲を知って悲しむ。

〔第2幕〕
嘆くドリンダから二人の関係を聞いた
オルランドは激怒する。
二人を追跡したオルランドは、
怒りにまかせて
アンジェリカに襲いかかる。
しかしゾロアストロが
アンジェリカを魔法で救い出す。
オルランドの嫉妬は
次第に狂気へと変化する。

〔第3幕〕
アンジェリカとメドーロは
ドリンダの助力を得て、
結ばれる準備を整える。
ゾロアストロは魔法の力で
オルランドを鎮め、
正気を取り戻させる。
正気に戻ったオルランドは恋を断念し、
武芸の道へ戻ることを誓う。
アンジェリカとメドーロが結ばれ、
物語は終わる。

今日のオススメ!

私が購入したのは例によって輸入盤。
歌詞対訳はありません。
細かい筋書きがわからなくとも、
歌を味わえばいいのです。
第1幕での聴きどころは、
オルランドの英雄的アリア
「Fammi combattere」
(私に戦わせよ)でしょうか。
オルランドの騎士らしい激情が
もっともよく表現されている
アリアだと感じます。

第2幕でもやはりオルランドの
「Ah Stigie larve!」
(冥界の川に住む、邪悪な亡霊たちよ)
でしょうか。
カウンターテナーの
オルランドのアリアは、
メゾソプラノ歌手が
単独で歌ったものの方が
よく聴かれているのではないかと
思うのですが、オペラの中で
聴いた方がやはり愉しめます。

第2幕では、アンジェリカの歌う
「Verdi piante」
(緑の木々よ、喜ばしき草たちよ)も
聴き応えがあります。
牧歌的でありながら
深い悲しみを湛えた旋律が
印象的であり、言葉はわからなくても
アンジェリカの心の痛みが
伝わってくるかのようです。

もう一つ、第2幕冒頭の
「Quando spieghi」
(お前が嘆きの歌を繰り広げる時)も
素敵です。
ドリンダの優しい人柄と愛情が
感じられるアリアです。
こちらも旋律の美しさから
単独で歌われることが多いようです。
エマ・カークビーの
ソプラノの美しさのせいでしょうか、
このアリアだけでなく、
このオペラの中ではドリンダのアリアは
すべて聴きどころといって
いいのではないかと思うくらいです。

第3幕はメードロとゾロアストロに
注目したいところです。
メードロの「Vorrei poterti amar」、
そしてゾロアストロの
「Sorge infausta una procella」が
私は好きです。

1685 Handel

「オルランド」の商業録音は、
このホグウッド盤が
最初のもののようです
(私の調べた限り)。
この「オルランド」以外にも、
ヘンデルのオペラは
LP時代には録音が少なく、
CDが登場した80年以降に
ようやく録音が進みました。
ヘンデルのオペラの価値がそれまで
重要視されていなかった、
上演史が途絶えていたものが多い、
カウンターテナーが主役の場合に
キャスティングが難しくなる、
ドラマ構造が複雑であるものが多い、
当時の古楽復興の流れが
まだ成熟していなかった、等々、
理由があるのでしょう。
そういう意味では、今、
ヘンデルのオペラがようやく正当に
評価されるようになったと
いえるでしょう。
これを愉しまない手はありません。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

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今年も多くの音盤と出会いました。
また、ストリーミングによって、
これまでには考えられないほど多くの
最新録音と接することもできました。
まもなく訪れる新しい年も、
素敵な音楽との出会いを
果たしていきたいと思います。
それでは皆様、
よいお年をお迎えください。

(2025.12.30)

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〔ヘンデル「オルランド」の音盤〕

Joshua WoronieckiによるPixabayからの画像

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