
ネーヴェル&ウエルガス・アンサンブルで聴く
ルネサンス期には
まだまだ知られていない作曲家が
数多く潜んでいるのですが、
このマテウス・デ・ペルージオもまた
そうした一人かと思います。
いろいろ探してみたのですが、
音盤は、本盤と
ロンドン中世アンサンブルによる
1978年盤以外は、
ごくわずかの録音(多くは廃盤)が
あるのみのようです。
ペルージオ
「ヴィルレー/バラード/カッチャ」

ペルージオ:
おお、四月
めでたし聖なる世界の救い
死がかくも無残に
霊魂、そして
孤児たちの慈悲深き守護者
おお、私は今何をなすべきか
グローリア
すでに愛のわなから
私は安らぎを見出さない
殉教者の桂冠はつねにあおく
パウル・ファン・ネーヴェル(指揮)
ウエルガス・アンサンブル
録音:1996年
イタリア生まれのこの作曲家、
その名前の日本語表記すら
定まっていません。
「ペルージャ」と「ペルージオ」が
混在しています。
本盤もバックインレイには
「ペルージャ」とあり、
ブックレットには
「ペルージオ」と記されている始末です。
生没年もはっきりしていません。
活動期が1400年頃からの
10数年間であることだけが
知られています。
職歴としては「1402年から1407年まで
ミラノ大聖堂の楽長を務め、
聖歌隊の若い音楽家たちに
指導を行った」とありますので、
生まれたのは
1360~80年頃ではないかと
推察されます。
音楽史的には
中世とルネサンス期の狭間、
マショーとデュファイの中間に
位置するような存在となります。
ブックレットの解説によると、
ペルージオの現存する作品は
30曲ほどであり、
決して多くはありません
(もっとも同時代の音楽家たちは
もっと少ないのですが)。
バラード、ヴィルレー、ロンドー
(それぞれの違いは私には
よくわからないのですが)といった
フランス歌曲の形式による作品が
主となります。
本盤は、そうした作品の中から
9曲が収録されています。

静謐な音楽が展開していきます。
わずかばかりの楽器と
ほぼ三声の声楽からなる
シンプルな構成の音楽です。
中世の音楽からは脱却しながらも、
ルネサンス音楽ともまた異なる、
独特な響きとして聞こえてきます。
その幻想的な音楽世界は、
聴く者をいつまでも浸っていたいという
気持ちにさせてくれます。
1曲目の「おお、四月」(Helas avril)から
美しい和声が心に染み入ります。
ゆったりとした曲調であり、
女声のハーモニーが
祈りのように響きます。
春の到来を喜ぶような
イメージではなく、
もの悲しい旋律の曲となっています。
1~3曲目までは
世俗歌曲といったところでしたが、
4曲目の「グローリア」は
ミサ曲となります。これがまた
神々しいハーモニーとなっていて、
その美しさに心を奪われてしまいます。
この時代の曲としては
驚くほど豊かな和声となっています。
6曲目「グローリア」もまた
ミサ曲となります。
こちらはトランペットに
女声が絡み合う響きに魅せられます。
この時代のトランペットは
現在の形状とは異なるものです。
映像作品として観ることができたら
もっと素敵だと思いました。
最後の9曲目
「殉教者の桂冠はつねにあおく」は、
途中で曲調が変わります。
前半部分は張り詰めたような
緊張感のもとに音楽が進行しますが、
後半部は穏やかなイメージで、
癒やしを感じさせます。
全9曲を締めくくるに
ふさわしい曲であり、
聴き応えがあります。

解説書を見ると、
難しいことがたくさん書いてあります。
専門家には
資料的価値が高いかも知れませんが、
一般の音楽愛好家には
さっぱりわかりません。
わからなくてもいいと思っています。
聴いて愉しければいいのです。
この音盤一枚で約1時間。
たっぷりと美しい音楽に
浸ることができました。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。
(2025.7.8)
〔ペルージオ作品収録の音盤〕
〔ウエルガス・アンサンブルの音盤〕

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