モンテヴェルディのマドリガーレ集を聴く

ユングヘーネル&カントゥス・ケルンの瑞々しい演奏

モンテヴェルディといえば、
オペラ「オルフェオ」
「ウリッセの帰還」
「ポッペアの戴冠」、そして
「聖母マリアの夕べの祈り」といった
大曲が有名ですが、
忘れてならないのが
マドリガーレでしょう。

モンテヴェルディ
「愛のマドリガーレ集」

今日のオススメ!音盤

モンテヴェルディ:
 Sestina – Lagrime d’Amante al
  Sepolcro dell’Amata
 Ninfa che scalza il piede
 O come sei gentile
 Lamento della Ninfa
 Tu dormi
 S’el vostro cor,Madonna
 Ohime dov’e il mio ben
 Alle danze
 Ohime il bel viso
 Zefiro torna
 Non e di gentil core
 Qui rise Tirsi
 O mio bene
 Soave libertate

コンラート・ユングヘーネル(lute・指揮)
カントゥス・ケルン
録音:1992年

そのモンテヴェルディですが、
マドリガーレなるものを
全部で9巻作曲しています。
その全曲を音盤にすると、
11~15枚組になるという代物です。
それをセット物で購入するかというと、
迷いが生じてしまい、手が伸びません。
そこでセレクト盤が重宝するのです。
というわけで、DHM-BOXの第2巻に
1枚組み込まれている本盤を、
繰り返し聴いています。

構成としては、第6巻から3曲、
第7巻から6曲、第8巻から3曲、
第9巻から2曲、計14曲となっています。

マドリガーレの定義は
いくつかあるようですが、
ざっくりと言えば
「イタリア語の歌詞を持つ
世俗の多声声楽曲」となります。
テーマとして恋愛を扱ったものが多く、
本盤もタイトルが
「愛のマドリガーレ集」となっています。
輸入盤のBOXであるため
歌詞対訳が存在せず、どういった内容か
正確にはわからないものの、
旋律の形や歌手たちの表現から、
おそらくは甘い愛の歌なのだろうという
想像はつきます。

1567 Monteverdi

音楽は歌詞など
わからなくてもいいのです。
声をあくまでも楽器としてとらえ、
それが何を表現しているか、
心で感じ取ればいいのです
(といつも自分に言い聞かせています)。

ユングヘーネル指揮の
カントゥス・ケルンの
モンテヴェルディは、
DHM-BOXの第1集に収録されている
「聖母マリアの夕べの祈り」が
秀逸でしたが、
本盤もやはり素敵な演奏です。
少人数でシンプル、
かつ一人一人の力量が高く、
音楽の密度が
きわめて濃いものとなっているのです。

今日のオススメ!

全14曲を聴き通すと、
哀愁の漂う旋律の曲に
美しく印象深いものが多いと感じます。
1,3,6,12,14曲目などは
心に染みてくるように迫ってきます。
特に女声のポリフォニーに
魅せられてしまいます。
これは演奏団体カントゥス・ケルンの
特質でしょうか、
力強さと美しさが同居したような
瑞々しい表現となっているのです。

さらにそれらの曲の間に、
比較的穏やかな旋律の曲が挟まれ、
メリハリのついた構成となっています。
2.4.7曲目など、
たおやかに紡がれる歌の中に、
ほっとするような明るさや、
柔らかな優しさといったものを
感じてしまいます。

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全体として、一つの物語のような
流れが創り出されているのです。
これは選曲の見事さなのでしょう。
こうして繰り返し聴いてしまうと、
どうしても
全曲聴きたくなってしまいます。
特に本盤に収録されていない
第1巻から第5巻には
どんな音楽が隠れているのか。
ワクワクしてたまりません。
いずれ近いうち、全曲BOXを
買ってしまうような予感があります。
こうして音盤が
増えていってしまうのです。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.4.1)

〔関連記事:DHM-BOX〕

C.シュターミッツ
聖トーマス教会のカントールの作品集
ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ集

〔モンテヴェルディ:マドリガーレ全曲〕

JoeによるPixabayからの画像

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