ストリーミングで聴く モーツァルト「フルート四重奏曲」

あまり知られていない3つの録音を愉しむ

音盤をあれこれ買う余裕もなく、
しかし聴きたい音盤は
次から次へと登場する以上、
Amazon-Musicの出番となるのです。
今日の
モーツァルト「フルート四重奏曲」も、
音盤としては
現代最高峰の奏者・パユの録音と
ピリオド楽器の有田の録音の
2つがあれば、という思いがあり、
他の音盤の購入には
慎重になっていました。
この一週間、以下の3つの録音を、
繰り返し聴いていました。

モーツァルト
「ピリオド楽器による
 フルート四重奏曲集」

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モーツァルト:
 フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
 フルート四重奏曲第2番ト長調K.285a
 フルート四重奏曲第3番
  ハ長調K.Anh.171/285b
 オーボエ四重奏曲ヘ長調K.370
  (F.A. ホフマイスターによる
   フルート四重奏編)
 フルート四重奏曲第4番イ長調K.298

カレル・ヴァルテル(fl)
パブロ・バレッティ(vn)
ピーター・ビアリー(va)
ペトル・スカルカ(vc)
録音:2018年

一つめは「ピリオド楽器による
フルート四重奏曲集」。
近年の録音であり、
演奏が熟れている感じがします。
有田盤が89年録音であり、それより
洗練されている印象を受けました。
演奏が軽快であり、音に艶があります。
これは演奏の問題よりも
録音の明晰さの結果ではないかと
考えられます。
モーツァルトの音楽を聴く喜びに
浸ることのできる録音です。

カレル・ヴァルテルという
演奏家について
情報を集めてみたのですが、
あまりよくわかりませんでした。
他にテレマンやC.P.E.バッハの音盤を
録音しているところをみると、
やはり古楽系のソリストなのでしょう。

イ・イェリン(LEE YERIN)
 「FLASHBACK」

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モーツァルト:
 フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285

イ・イェリン(fl)
キム・ヤンウク(vn)
シム・ソンボ(vc)
イ・ハンナ(va)
〔併録曲〕
プラッティ:
 フルート・ソナタ ト長調Op.3,No.6
ボワモルティエ:
 ソナタ ホ短調Op.37,No.2

イ・イェリン(fl)
アレンド・グロスフェルド(cemb)
キム・ヒョンジュン(fg)
シン
 ドード組曲

イ・イェリン(fl)
キム・ヤンウク(vn)
シム・ソンボ(vc)
イ・ハンナ(va)
録音:不明

2枚目は、ジャケ写(美人お姉さん)で
選んでしまいました。
こちらは全曲ではなく、
第1番を含んだ
コンピレーション・アルバムといった
ところでしょうか。
全4曲のうち、前半2曲は
プラッティとボワモルティエの
フルート・ソナタ。
後半はキム・シンなる作曲家と
モーツァルト。
なんと最後に
モーツァルトが登場するのです。
そのモーツァルトの演奏は
ややおとなしめで、
モーツァルトだけを聴くのであれば
残念な思いを
してしまうかもしれません。
しかし収録曲全曲を聴き通してみると、
これがなかなかに面白いアルバムです。

モーツァルトの前座を務める
3名の作曲家は以下のとおりです。
ジョヴァンニ・ベネデット・プラッティ
Giovanni Benedetto Platti
(1692-1763)
ジョゼフ・ボダン・ド・ボワモルティエ
Joseph Bodin de Boismortier
(1689-1755)
キム・シン
Shin Kim

イ・イェリンなる
フルート奏者についても、そして
キム・シンなる作曲家についても、
情報が少なく、
詳しいことはわかりません。
また本盤がどのようなコンセプトで
編まれたものかも不明です。
わからなくてもいいのです。
聴いて愉しければ。
イ・イェリンの他の録音についても
聴いててみたいと思います。

「Ergonomic Flute」

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モーツァルト:
 フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285
 フルート四重奏曲第4番イ長調K.298

〔併録曲〕
ベートーヴェン:
 セレナーデ ニ長調Op.25
 「ドン・ジョヴァンニ」の
 「お手をどうぞ」の主題による変奏曲
  ハ長調WoO.28
J.S.バッハ:
 管弦楽組曲第3番よりアリア

Aralee Dorough(fl)

3枚目は、ジャケットにうつっていた
奇妙な形のフルートが気になって
選んでしまいました。
Ergonomic Flute なるフルート。
調べてみると、フルートを
縦型のポジションで演奏できるように
考案されたヘッドジョイントを
装着したフルートのようです。
なんでも演奏家にとって
人間工学的に快適なポジションを
可能にするのだそうで、
画期的であるとのことです。
確かに横笛より縦笛の方が
吹きやすそうです(素人の考えですが)。
さらに、音が横ではなく
正面中央に響くという利点も
あるとのことです(録音を聴く限りは
よくわからないのですが)。

そのErgonomic Fluteの成果なのか、
あるいは演奏者のAralee Doroughの
技巧のなせるところなのか、
私には今ひとつわかりかねますが、
聴いていて愉しいことは確かです。

このAralee Dorough、
縦型フルートの専門家かと
思いましたが、他の音盤では
通常のフルートを使っています。
もしかしたら
この盤限定なのかもしれません。
なお、
Ergonomic Fluteを使っての演奏は、
YouTubeで公開されています。

“The Ergonomic Flute”

いい世の中になりました。
3枚とも現在入手が難しいことを
考え合わせると、
こうしてストリーミングで
簡単に聴くことができるのは
素晴らしいことです。
これを愉しまない手はありません。
せっかく毎月980円
支払っているのですから、
十分に愉しみたいと思います。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2024.7.14)

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