フレスコバルディ「音楽の花束」

バロック初期の衝撃的なオルガン・ミサ曲

2つのBOXシリーズ
「vivarte-BOX」「DHM-BOX」
古楽の世界が広いからなのか、それとも
レーベルの方向性が違うからなのか、
分かりませんが、一方にしか
収録されていない作曲家も多数います。
その一人がフレスコバルディです。
「vivarte-BOX」計120枚には
含まれていなかったため、
「DHM-BOX」でようやく
出会うことができました。

DHM-BOX 1

フレスコバルディ:
 音楽の花束 Vol.1・Vol.2

BOX1 Disc20
BOX2 Disc21

BOX1 Disc20
フレスコバルディ:
 音楽の花束 Vol.1(主日のミサ)

BOX2 Disc21
フレスコバルディ:
 音楽の花束 Vol.2(聖母のミサ)

ロレンツォ・ギエルミ(org)
クリストフ・エルケンス(指揮)
カンティクム
録音:1994年

このフレスコバルディ(1583-1643)は、
イタリアの作曲家でオルガン奏者です。
なんと25歳でオルガン奏者最高の地位・
ローマのサン・ピエトロ聖堂の
オルガン奏者に就任し、
終生この職にあったという、
17世紀前半で最大の影響力を持った
鍵盤作曲家でした。
門下にはフローベルガーをはじめ、
傑出したオルガン奏者がいます。
主として鍵盤楽曲を作曲しましたが、
晩年の代表作とされるのが
オルガン・ミサ曲
「フィオリ・ムジカーリ(音楽の花束)」
「第1集:主日のミサ
(MESSA DELLA DOMENICA)」、
「第2集:使徒のミサ
(MESSA DELLI APOSTOLI)」、
「第3集:聖母のミサ
(MESSA DELLA MADONNA)」

全3集からなるミサ曲集です。

1583 Frescobaldi

これらの曲集は、
オルガン独奏とグレゴリオ聖歌
交互に演奏される形態であり、
そのオルガン部分がフレスコバルディ
作曲ということになります。
グレゴリオ聖歌の厳かな歌唱に対し、
明るく華やかな
オルガン曲が加わった様式は、
ルネサンスからバロックへの
変遷を感じさせます。
モノトーンともいえる色調の
グレゴリオ聖歌、そして
キラキラと万華鏡のように
音の質感が変化するオルガン曲、
それぞれは単独であれば
どうしても単調になりがちなのですが、
それらが組み合わさることにより、
変化に富んだ曲調を味わえる上、
不思議な「癒やし」を感じさせられます。
冷静に考えると、この時代の音楽は、
一般的には合唱中心であり、
静謐な祈りにつながる音楽が
主流だったはずです。
それを考えたとき、
「ミサ曲」でありながら第1曲で
いきなり始まるきらびやかな
オルガンの響きは、
聴衆に大きな驚きを与えたに
違いありません。
バロック初期の曲が
こんなにもスリリングだったとは!
新しい発見が多々ある音盤です。

本盤のオルガン奏者・
ロレンツォ・ギエルミは、
ミラノ国際音楽アカデミーで
教鞭を執り、
同市のシンプリチアーノ聖堂の
オルガニストでもあり、
さらにこのフレスコバルディの
研究家でもある人物です。
十分な研究に裏打ちされた演奏であり、
好感が持てます。
今年6月にも来日し、
イタリア初期バロックから
北ドイツ楽派、そしてJ.S.バッハの曲を
演奏しています。

本盤は、そうした
フレスコバルディの音楽の特性と、
ギエルミの真摯な演奏、さらには
クリストフ・エルケンスの指揮する
男声合唱団体・カンティクムの
澄み渡った音響、
それらすべてを明瞭に捕らえきっている
録音の優秀さに特徴があります。
「実演に勝るものなし」とも
言われますが、声楽とオルガンが
絶妙なバランスを保って
感動的な音楽を響かせる本盤などは、
まさに録音芸術ならではの
成果といえるのではないでしょうか。
音盤の愉しみは、
まさにここにあります。
やはり、音盤は愉し、です。

〔「音楽の花束」について〕
わからないことがあります。
他の音盤、例えば
アンサンブル・スティルプス・
イェッセ盤や
スコラ・グレゴリアーナ・
スクリプトリア盤などは、
CD1枚に全3集が収録されています。
それぞれが20数分の
演奏となっているのですが、
本盤は第1集(Disc1)、第3集(Disc2)が
それぞれ単独で
60分以上となっています。
本来のものに何かが
付加されているはずなのですが、
よく分かりません。
他の盤も聴いてみるとともに、
引き続き調べてみたいと思います。

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