新しい歌~中世盛期のラテン歌曲集

グレゴリオ聖歌にはない「響」を感じさせる「新しさ」

先日から取り上げている「DHM-BOX」
第1集第2集計100枚の中でも
最も古い時代の音楽を
収録しているのが本盤です。
12世紀初頭の歌曲を集めた本盤、
聴き手の心にじわじわと
染み込んでくるような
不思議な「響」に満ちています。

「DHM-BOX」BOX2

BOX2 Disc37
「新しい歌~中世盛期のラテン歌曲集」

BOX2 Disc37

人よ、新しい歌でほめたたえよ
 (コンドゥクトゥス)
新年の喜び(ヴェルスス)
ソロモン王は神殿を建てた
 (ヴェルスス)
信徒たちよ、今日こそ喜べ
 (トロープス)
栄光の王の誕生(コンドゥクトゥス)
エサイの根より(トロープス)
喜べ、祝え(トロープス)
喜びの賛美(トロープス)
アダムの過失(コンドゥクトゥス)
われらの集会(トロープス)
主の生誕(コンドゥクトゥス)
新しい蜜の甘い味(トロープス)
高度の決断(コンドゥクトゥス)

ドミニク・ヴェラール(歌)
エマニュエル・ボナルド(歌)
録音:1986年

「新しい音楽」という表題ですが、
かなり古い時代の音楽です。
先日取り上げた
デイヴィット・マンロウの
「ゴシック期の音楽」よりも
古い時代です。
この「新しい」とは、
グレゴリオ聖歌で始まった
音楽の歴史が、
ここから「新しく」進化する(した)
第一歩という意味なのでしょう。
本盤は輸入盤BOXの一枚であり、
解説が全くないのですが、
日本盤にはどうやら
「リモージュ聖マーシャル修道院の
原譜による12世紀のモノフォニックと
ポリフォニックな歌および
北フランスの大聖堂の
コンドゥクトゥス」という
副題が付されているようです。
それが本盤の内容を
よく表していると思います。

NOVA CANTICA

「ゴシック期の音楽」の
レオニヌスに比べると、
かなり簡素な音楽です。
モノフォニーからポリフォニーへと
進化した瞬間の
音楽たちといったところです。
しかし、
無伴奏単旋律のグレゴリオ聖歌にはない
「響」を感じさせる、
確かに「新しい歌」なのです。
「原初の響」とでもいえば
いいのでしょうか。
これらの音が教会で
朗々と響き渡る様を想像すると、
グレゴリオ聖歌の荘厳さに、
えもいわれぬ神秘さが
加わったかのようです。
「中世盛期」という、
キリスト教会の権力が
頂点に達した時期に、
その音楽が進化の道筋を歩み始めたのも
当然のことなのでしょう。

ただし、
この時代の音楽を現代に再現するのは
容易なことではありません。
現代のような五線譜に
書かれてあるわけではないからです。
「ネウマ譜」と呼ばれる楽譜
(歌詞の隣にミミズののたくったような
記号を添付した譜)によって
表されているため、それを
読み解いた上での演奏となるのです。

中世の聖歌・歌曲を専門とする演奏家
ドミニク・ヴェラールと
エマニュエル・ボナルド、
そして監修を行った
ヴルフ・アルトの三人が、
その「ネウマ譜」から再現したものが
本盤なのです。
こうした音楽家たちの
真摯な研究がなければ、
私たちはこうした音楽に
接することはできなかったのです。

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中世の音楽は未だに「正体不明」です。
しかし、それらが
徐々に解明されつつあるのが現代です。
現代の私たちは、
古い音楽が次々と新しく発掘される、
その貴重な瞬間に
立ち会っているといえます。
それに気づいてしまった今、
古楽から目が、いや、耳が離せません。
やはり、音盤は愉し、です。

〔関連記事:中世の音楽〕
音楽史の源泉は、
やはりグレゴリオ聖歌です。

デイヴィット・マンロウ指揮の
「ゴシック期の音楽」は
聴き逃すことのできない
重要な音盤です。

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