マーラーは歌、歌、また歌

マーラーの交響詩とピアノ四重奏曲

CDも5千枚を超えたあたりから、
「めったに聴くことのない盤」が
増えてきました。
CD棚を整理すると
「あれ、こんなCD買ってたっけ」と
いうようなものが出てきます。
本盤もこうして「発掘」された盤であり、
思い出したように聴いているのですが、
なかなかいけます。
マーラーの珍しい曲2曲で構成された
一枚です。

マーラー
交響詩「巨人」・ピアノ五重奏曲

マーラー:
 交響詩「巨人」

ノールショピング交響楽団
オーレ・クリスティアン・ルード(指揮)
録音:1997年
 ピアノ四重奏曲断章イ短調
マッツ・ヤンソン(p)
ホルメン四重奏団員(vn,va,vc)
録音:1998年

交響詩「巨人」とは、
マーラーの第1交響曲の
第2稿・ハンブルク稿と
呼ばれているものです。
マーラー自身はこの曲を当初から
「交響曲」と呼んでいたようですが、
第1稿初演の際には
「2部からなる交響詩」として
発表しています。
第2稿についてもそのような形で
発表されているため、
盤によって「交響詩」「交響曲」の
表記がまちまちです
(本盤は「交響詩」となっています)。

この「ハンブルク稿」は、
マーラーが1889年の
第1稿での初演の失敗後、
1893年のハンブルクでの再演に際して
改訂を施した形態を復元したものです。
現在演奏されている第3稿と
どう違うかというと、
第3稿が4つの楽章であるのに対し、
「花の章」を第2楽章に加えた
全2部5楽章であり、
オーケストレーションの細部の異動も
数多くなされているのです。
具体的に指摘することは、
私の耳と音楽的知識では
到底不可能なのですが、
「ああ、ここは聴き慣れない音だな」と
いう部分はいくつも
聴き取ることができます。

現在ではこの「ハンブルク稿」による
演奏も数多く登場してきています
(最近ではヘンゲルブロックが
北ドイツ放送響を振った盤が
好評のようですが、
私はまだ聴いていません)。
本盤は1999年に
発売されたものであり、
かなり珍しかったと記憶しています
(第3稿の録音の余白に
交響詩「花の章」を収録したものは
いくつもあったのですが)。

演奏そのものは
決して悪くはありません。
ルードなる指揮者は
本盤以外に出会っていないはずですが、
健闘していると思います。
ノールショピング交響楽団も、
丁寧な演奏を披露しています。
ただし、安全運転に徹しているような
印象があり、
マーラー特有の「若さ」は今ひとつです。
そのためどうしても手が伸びずに、
特徴ある他の第1交響曲の録音を
取り出してしまい、本盤は棚の片隅へと
追いやられてしまったのでしょう。

ところが今回改めて聴き返し、
注目したのは
「ピアノ四重奏曲断章」です。
久しぶりに聴いたのですが、
なかなか素敵な曲です。
マーラー特有の「歌」が
随所に見られるのです。
マーラーの音楽の特徴の一つは
「歌」だと思っています。
第1交響曲自体も
歌曲集「さすらう若人の歌」と
使用動機などで密接に関連していて、
その旋律は「歌」に富んでいます。
この「ピアノ四重奏曲」も、
わずか10分強の中に、
歌、歌、また歌、というように、
聴きどころの多い曲と
なっているのです。
「断章」とはいえ、決して無視できない
曲であるといえます。

最近は新しくCDを買うよりも、
棚の奥底に眠っている盤を探した方が
面白い曲に出会えるような
感じさえしています。
やはり音盤は愉し、です。

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