ヴァイオリニスト・ムターの「ます」

シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調D.667「ます」

アンネ=ゾフィー・ムターの
ヴァイオリンの音色に魅せられて、
彼女のCDはかれこれ40点ばかり
買いそろえています。
そのムターのCDの中でも
特異な一点です。
シューベルトピアノ五重奏曲「ます」。
この曲はピアニストが主役であり、
高名なヴァイオリニストが
前面に出て録音した盤などこれまで
聞いたことがありませんでした。

シューベルト
ピアノ五重奏曲イ長調D.667「ます」

1 ピアノ五重奏曲
  イ長調D.667「ます」
2 ノットゥルノ変ホ長調D.897
3 セレナード
4 アヴェ・マリア
アンネ=ゾフィー・ムター(vn)
ダニール・トリフォノフ(p)
ムター・ヴィルトゥオージ:
 ファユン・イ(va)
 マキシミリアン・ホルヌング
 (vc)
 ロマン・パトコロ(cb)

ムター以外のメンバーを見ると、
主役・ピアノは
20代半ばの俊英トリフォノフ。
そして
ヴィオラ、チェロ、コントラバスが
ムターのお弟子さん集団
「ムター・ヴィルトゥオージ」の
メンバー3人です。
ジャケットを見てもわかります。
本来脇役であるはずの
ヴァイオリニストが
赤い衣装で一番目立ち、
主役であるはずのピアニストが
白いシャツ、
そして残り3人は背景と同じ黒。

何度聴いてもヴァイオリンの音に
ついつい耳がいってしまいます。
こんなにヴァイオリンの音に集中して
この曲を聴いたことがなく、
別の曲のようにも感じてしまいます。
私の耳がムターのヴァイオリンを
探してしまうからなのか、
この演奏のヴァイオリンの音が
際立っているからなのか、
どちらなのかはわかりません。

さらにじっくり聴いてみると、
主役・トリフォノフのピアノも
生き生きとしていて
エネルギーを感じさせます。
特に第三楽章あたりからは
ピアノの存在感が
増してきているように感じます。
このあとが楽しみな
若手ピアニストだと感じました。

難しいことはよくわかりませんが、
私の大好きな「ます」の中でも、
魅力ある盤であることに
間違いはありません。

(2020.8.8)

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