
ブロックフレーテとチェンバロの妙技に魅せられる
古楽はよくわかりません。
音楽の良さは
わかるようになってきたのですが、
それがどのような素性の音楽なのか、
理解の難しいものが多々あるのです。
本盤はその最たるもの。
いったいこれは何?
曲目を見ても、
どこからどこまでが作曲者名で、
どこからどこまでが一つの曲なのか、
わかりにくいことこの上なしです。
しかし、音楽は素敵です。
「無秩序の喜び」
17世紀英国の2声部のコンソート

1
作曲者不詳:
ジョン・ブレイフォードの
「ダンシング・マスター」からの
3曲:
冷たい地面の上で
王女の喜び
色目使いのカラリーヌ
2
ヘンリー・ロウズ:
なぜそんなに青ざめて
ウィリアム・ロウズ:
生きる
作曲者不詳:
ブレイフォードの
「ダンシング・マスター」からの2曲:
ジーグのティューン
ケンプのジーグ
3
ニコラ・マティス:
トランペットを模した
パッセージ・エアーと小品第4番
作曲者不詳:
ブレイフォードの
「ニュー・テューン」からの
5曲のマーチとテューン:
イザークのウジ
ウァルハム修道院
マルボロ
グラネディールのマーチ
太陽の栄光
ニコラ・マティス:
シャコンヌ、プラント(嘆き)、
エコー
4
マシュー・ロック:
ファンタジー
組曲イ短調:
パヴァン、アルマンド、クーラント、
エア、サラバンド、ジグ、終曲
5
作曲者不詳:
ジョヴァンニ・コペラリオ:
ロウズ:
1640-65年、チャールズ1世と
2世の下での宮廷マスク:
魔女の踊り
サチュロスの仮面劇
シンフォニー
アドソンの仮面劇
キューパラリー
サラバンドと
スコットランドのテューン
6
パーセル:
トッカータ・イ短調
プラント、グラウンド・イ短調
7
作曲者不詳:
ブラック・ジョーク、
ダブリンで奏された、
静かなグランド・ニ長調による
8
パーセル:
グラウンド・ニ短調
ペドロ・メメルスドルフ(bfl)
アンドレアス・シュタイアー(cemb)
録音:1994年
ブロックフレーテ(リコーダー)と
チェンバロによる室内楽演奏、
いわゆるコンソートです。
サブタイトルにもある
この「コンソート」とは、
16〜17世紀の英国を中心に盛んだった
器楽アンサンブルのことです。
ジョン・ダウランド、
ウィリアム・バード、
オーランド・ギボンズ、
ジョン・コプラリオ、
クリストファー・シンプソン、
ヘンリー・パーセルなどが
コンソート音楽を残しています。
それらの中から
ブロックフレーテとチェンバロによる
コンソート音楽を集めた一枚なのです。
厄介なのは、一つのトラック(1曲)に、
複数曲が連続した形で演奏され
収録されていることでしょうか。
例えばトラック2であれば、
4曲が連続演奏されている形です。
これは当時の演奏習慣として、
こうした小曲をつなげて演奏したことに
準拠したものと考えられます。
しかしどの曲とどの曲を
接続するかということについては、
演奏者二人の
創意が生かされているものと
考えていいのではないでしょうか。
さらにわかりにくいのは、
プレイフォードの
「ダンシング・マスター」なる曲が
収録されている一方で、それが
「作曲者不詳」となっていることです。
調べてみてようやくわかりました。
ジョン・プレイフォードなる人物は
作曲者ではなく
英国の出版業者・書店主らしいのです。
プレイフォードが出版した
舞曲集「ダンシング・マスター」に
収められている、
作曲者不詳の曲ということなのでした。
せっかく日本盤を買っても
十分な説明がなされていないため、
ちんぷんかんぷんなのです。
もっとも、音楽自体は前述したように
わかりやすく愉しい曲ばかりです。
特にブロックフレーテの
メメルスドルフの演奏が
耳に心地よく響きます。
とにかく楽しげです。
二人で和気藹々と演奏しているようすが
目にうかぶような音楽なのです。
かといっていい加減に
吹いているようには聞こえません。
一音一音をおろそかにしない繊細さが
感じられるとともに、
その音づくりには
知的なアプローチが感じられるのです。
このメメルスドルフ、
調べてみると南米アルゼンチン生まれ。
そう思って聴き直すと、
ラテン・アメリカの雰囲気が
漂っているように感じられます。
しかも「リコーダーの詩人」と
呼ばれるほどの妙技の持ち主であり、
演奏者として高い評価を
得ていることがわかりました。
学術的裏付けと芸術的感性の
両方を兼ね備えている
演奏者ということなのでしょう。

数年前に購入した
50枚組のDHM-BOX第1集。
その一枚として
収録されていたのですが、
その後に購入したDHMの10枚組BOX
「English Renaissance &
Baroque Music Edition」にも
収録されていました。
この音盤を何度も
繰り返し聴いたのですが、
詳しい情報を知りたいと思い、
日本盤を中古で探して購入、
ブックレットを読みましたが、
期待したほどのことは
書かれてありませんでした。残念。
それはともかく、
楽しい時間を過ごすことのできる
貴重な一枚です。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。
(2025.12.23)
〔関連記事:DHM-BOX〕



〔メメルスドルフの音盤〕
〔シュタイアーの音盤〕

【今日のさらにお薦め3作品】



【こんな音盤はいかがですか】












