スザートの舞曲集「ダンスリー」を聴く

ルネサンス期の賑やかミュージック

最近、まだ所有していない
古楽の作曲家の音盤を意識して
購入するようになってきました。
先日入手したのは
ティールマン・スザートの一枚。
なかなかに面白い音盤であり、
満足しています。

スザート:舞曲集「ダンスリー」

今日のオススメ!音盤

スザート:
 舞曲集「ダンスリー」
  ファンファーレ(「モリスク」より)
  パッセ・メディオ(パッサメッゾ)/
   ルプリーズ「ル・パンニュ」
  ベルジュレット「サン・ロシュ
   (聖ロッコ)」/ルプリーズ
  ロンドⅠ「何故」
  ロンドⅡ「娘っこがおりました」
  ロンドⅢ
  ロンドⅣ
  ロンドⅤ(ヴォー・ビストゥ)
  ロンドⅥ/サルタレッロ
  ロンドⅩⅠ
  ベルジュレット「これはどこから」/
   ルプリーズ
  ヘラクレスの踊り/
   マドリガルによる
  ド・ポスト(あとから)
  4つのブランル
  ファゴ(束)
  ホーボーケンダンス
  バス・ダンス「私の望みは」/
   ルプリーズ「心はしあわせ」
  アルマンジュⅠ(アルマンド)/
   ルクープ
  アルマンジュⅡ
  アルマンジュⅢ
  アルマンジュⅤ
  アルマンジュⅥ
  アルマンジュⅦ
  アルマンジュⅧ/ルクープ/
   テノールとディスカントによる
    もうひとつのルクープ
  ベルジュレット
   「ラ・ブロス(ブラシ)」
  パヴァーヌ「ラ・バターユ(戦い)」
  パヴァーヌ「はかり知れぬ悲しみ」
  ガイヤルドⅡ
  ガイヤルドⅩⅠ
  ガイヤルドⅨ
  ガイヤルドⅣ
  ガイヤルドⅦ
  ガイヤルドⅩ「1000デュカ」
  ガイヤルドⅢ
  ガイヤルドⅩⅤ「すべて」
  王の踊り/ルプリーズ
  道化のアントレ(入場)
  ラ・モリスク(ムーア人の女)

ニュー・ロンドン・コンソート
フィリップ・ピケット(指揮)
録音:1991年

ティールマン・スザートは、
生年1500年頃、没年1562年であり、
16世紀ルネサンス期の
ネーデルラント(現在の
ベルギー・オランダ周辺)で活躍した
作曲家・音楽出版者です。
(ブックレットの解説によると)
シャンソン50曲を書いたようですが、
そちらは音盤を探しても
検索できません。
最も知られているのが
この舞曲集「ダンスリー」です。
全38曲から構成された本音盤は、
さまざまな古楽器を駆使して奏でられた
舞曲によって構成されているのです。

1500 Susato

オワゾリール・レーベルの
落ち着いたジャケット・デザイン、
そしてルネサンス期の
音楽ということで、
何か枯れた味わいの
渋めの音楽を創造していましたが、
まったく違いました。
かなり賑やかな音楽です
(舞曲集ですから当然なのですが)。
オーケストラ曲を聴いているような
気さえしてきます。
調べてみると吹奏楽用
(金管五重奏曲らしい)に編曲されて
中高生の吹奏楽アンサンブルの
課題曲にもなっているとのことでした。

この「舞曲集・ダンスリー」は、
当時の舞踏会や祝祭で演奏されることを
想定した作品なのですが、
スザート自身は
「任意の旋律楽器で演奏可能」と明記、
特定の楽器指定はしていないのです。
そのためでしょうか、
小編成のアンサンブルでありながら、
ブックレットの演奏者を見ると、
多くの楽器奏者の名前が
クレジットされています。
国内盤であるにもかかわらず、
ブックレットはその部分だけは
翻訳されていません。
Lute、Guitar、Trumpet、
Recorder、Organ、Harpsichord、
Timpaniなどは当然わかるのですが、
不勉強な私にとって、
調べなければわからない楽器も
いくつかありました。
Cornett(トランペットに似た楽器)、
Crumhorn(クルムホルン
=角笛のような木管楽器)、
Rauschpfeife(ラウシュプファイフェ
=外見はリコーダーに似ている)、
Sackbut(サックバット
=トロンボーンのような金管楽器)
などなど、ありとあらゆる古楽器が
エントリーされているのです。
さらにピケットの編曲によって
「La Morisque」などの有名曲が
ファンファーレ風に再構成され、
祝祭的な雰囲気を醸し出しています。
おもちゃ箱をひっくり返したように
面白い音楽が
次から次へと現れてきます。
録音も秀逸であり、それらの楽器の音を
鮮明にとらえています。
まさに「ルネサンス音楽の宝石箱」と
いえるでしょう。

「舞曲集・ダンスリー」については、
このピケット盤以外には
全曲収録されたものは少ないようです。
そうした意味でも本盤は貴重です。

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さて、このスザートの
「舞曲集・ダンスリー」の楽譜が
出版された
16世紀半ばのルネサンス期には、
教会によってダンスが
しばしば禁止されていました。
ダンスは肉体的快楽や性的誘惑を
助長するものと見なされ、
特に男女が接触する社交ダンスは
「罪の温床」とされていたのです。
しかしその一方で、
ルネサンス期には美術・音楽・
芸術・建築・文学・思想などの分野で、
豊かな文化が
花開こうとしていたのです。
そう考えたとき、
この「舞曲集・ダンスリー」は、
まさに当時の先端を走る
サブカルチャーだったのでしょう。
そうした観点で聴いてみると、
本盤の音楽はなお一層、
楽しげに聞こえてくるから不思議です。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.12.2)

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