実演を観てみたい!ヴァイオリンの弾き語り
かつてギター弾き語りの
ニューミュージックが
はやっていました。
いくら何でもクラシック音楽で
弾き語りはないだろうと
思っていたのですが、ありました。
ヴァイオリンを弾きながら歌う
メゾ・ソプラノ歌手・
ヴィルピ・ライサネンです。
「TRASPARENTE」
Virpi Räisänen,
mezzo-soprano & violin
マエンパー:
透明
ラント:
ソフィア – ホクマ
フュフト:
3つのウィリアム・ブレイクの歌
(喜びという名の幼な子
私のかわいいバラ
蝿)
プルッキス:
なぞ
J.S.バッハ/ライサネン編:
前奏曲
ホルスト:
声とヴァイオリンのための4つの歌
(やさしきイエスよ
わが魂は火と氷に過ぎぬ
聖処女のことを歌おう
わが愛するお方は、まことのお方)
伝承曲/アイナリ編:
ダーラナの古い賛美歌
オステルマン:
サロティエにて
だが、おまえと
私に触れるものはすべて
ナイルズ/フュフト編:
なぜイエスは
ラント/ルッソ作詞:
わが家
ヴィルピ・ライサネン(Ms,vn)
ナンド・ルッソ(perc)
ハッリ・オステルマン(vc)
ブラム・ファン・サムベーク(fg)
ニック・スホルテン(hp)
録音:2010年、2017年
CDをセットし、再生ボタンを押すと、
まずはやや陰鬱で厳かな
ヴァイオリンが聴こえてきます。
しかし聴くべきは
ヴァイオリン以上に歌です。
ライサネンののびのある
メゾ・ソプラノがまもなく現れ、
魅了されます。
単なるヴァイオリン伴奏付きの
歌にはなっていません。
ヴァイオリンもまたところどころで
前面に立ち、歌っている構造の曲が
集められています。それもそのはず、
本盤はライサネンのために
作曲または編曲された
「ヴァイオリンと歌のための作品」で
構成されたとのことです。
収録されているホルストの
「声とヴァイオリンのための4つの歌」が、
そもそもヴァイオリンでの
弾き語りを想定して作られた曲であり、
それに習って各曲が
作編曲されたようです。
名前も知らない作曲家の現代曲が
並んでいますので、決して
聴きやすい旋律の歌とはいえません。
前半部はやや難解です。
ところが7曲目の
J.S.バッハ/ライサネン編「前奏曲」から
馴染みやすそうなメロディが現れ始め、
12曲目の伝承曲/アイナリ編
「ダーラナの古い賛美歌」で
頂点に達します。
素敵な音楽たちです。
このライサネン、聞くところによると
ヴァイオリニストからメゾ・ソプラノに
キャリア転向した
異色の音楽家なのでした。
オペラ等で活躍する傍ら、
ヴァイオリニストとしても活動する
一つの形として、
「弾き語り」というスタイルが
生み出されたのでしょう。
残念なのは、
CDだけでは「弾き語り」を十分に
味わえない(弾き語りといわれなければ
別の奏者がヴァイオリン伴奏している
ようにしか聴こえない、
当たり前ですが)ことです。
映像でぜひ観ることができればと
思っているのですが、
DVDを探しても見当たりません。
YouTubeにはプロモーション用と
思われる静止画付き音声、
そして彼女の公式HPには
一部に弾き語り(外で寒そうにして
弾いている、実際の演奏ではない)が
映っている動画がありました。
フィンランドの新星・
ヴィルピ・ライサネン。
これからの活躍が大いに期待できる
音楽家です。
注目していきたいと思います。
(2021.8.11)
【当盤鑑賞に最適のSAKE】
【今日のさらにお薦め3作品】
※ヴィルピ・ライサネンのCD
※メゾ・ソプラノの素敵なCD