キルヒホーフのリュート演奏
先日来取り上げている
60枚組のCD-BOX
「vivarte 60CD collection」。
リュート音楽としては
「J.S.バッハ:リュートのための作品集」
(2枚組)を真っ先に聴き、
それについて記事を書きました。
演奏者キルヒホーフの盤は
これ以外に2組3枚収録されています。
これらがまた素晴らしいと感じます。
「リュート音楽三世紀の旅」
ルッツ・キルヒホーフ(theorbo lute)
作者不詳:イタリアーナ
ミラーノ:ファンタジア
作者不詳:ガリアルダ
作者不詳:パッサメッツォ・モデルノ
ムダーラ:ファンタジア
ゴダール:この5月
レイ:クーランテ
ハスラー:カンツォン
メルテル:おやすみなさい愛しき貴方
ダウランド:夢
ダウランド:靴屋の女房のジグ
カプスベルガー:トッカータ
カプスベルガー:コレンテ1
カプスベルガー:コレンテ2
バラール:村のブランル
ミルラン:サラバンド
ムートン:メヌエット
ゴーティエ:ジーグ
ミルラン:La Cardinalle
ゴーティエ:シャコンヌ
ムートン:プレリュードとシャコンヌ
ヴァイス:
コン・ド・ロージィ氏の
死を悼むトンボー
ファルケンハーゲン:
「ひたすら神の御心に従う者は」に
基く変奏曲
デュラン:鐘
録音 1991年
こちらについては
作曲家の名前はだれ一人
知りませんでした。
解説によると16世紀~18世紀、
ルネサンスからバロック期の
リュート音楽を時代順に並べた
アルバムなのだそうです。
最も演奏時間の長い曲であっても9分。
全24曲の半数が2分未満の小曲です。
ところがこれらが実に
チャーミングな曲ばかりなのです。
300年にわたるリュート音楽の変遷を、
これ一枚で堪能できるのは魅力的です。
「ヴァイス:リュート作品集」
ルッツ・キルヒホーフ(lute)
ヴァイス:
プレリュード ニ長調
カプリッチョ ニ長調
ファンタジア ハ長調
プレリュード変ホ長調
組曲変ロ長調
組曲ニ短調
組曲イ長調「イタリアのエスプリ」
不幸な恋人
前奏曲,クラント,
フーガとプレスト ニ短調
組曲ト短調
嘆き
ソナタ ヘ長調
録音 1993年
こちらはバッハと同時代に生き、
親交を結んだという
ヴァイスの作品集2枚組です。
ヴァイスは
「リュート音楽三世紀の旅」でも
1曲取り上げられていて、
24曲中22曲目でした。
つまり、その盤で取り上げられた
300年間の作曲家の中では
新しい方の部類に入ります。
何でも600曲近く作曲したのだそうで、
当時のリュート音楽の
第一人者だったのでしょう。
さて、一人の作曲家について
2枚組になるほどの曲を集めてみると、
「リュート音楽三世紀の旅」とは
違った趣が聴き取れます。
「三世紀の旅」ではいわゆる
「いいとこ取り」だったのでしょうか、
リュートの音色が癒やしの音楽として
響いていますが、
この2枚組にはいくつか
緊張感をはらんだ音楽が散見されます。
リュートでの表現の幅が
広がったのではないかと感じられます。
音楽史を俯瞰する
「リュート音楽三世紀の旅」と、
リュート作品を専門的に作曲した
ヴァイスに焦点化した
「ヴァイス:リュート作品集」。
リュート音楽について、
そして古楽について、
また見識が改まりました。
これからさらにじっくり
聴いていきたいと思います。
※キルヒホーフの盤はもう一枚、
「フランス・バロックのリュート歌」も
このBOXに収録されています。
こちらはソプラノとバリトンが入り、
また違った味わいの一枚です。
後日取り上げたいと思います。
(2021.6.12)
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