
「知られざるスペイン・バロック第2集」を聴く
「DHM-BOX第1集」および
BOX「Al Ayre Espanol Edition」に
収録されている
リテレスの「四大元素」を聴き、
スペイン・バロックに
魅せられてしまいました。
こちらもそれらのBOXに収録されている
一枚であり、
指揮者も演奏団体も同一です。
こちらも魅力がたっぷりの
音盤となっています。
知られざるスペイン・バロック第2集

リテレス:
カンタータ「アチスとガラティア」より
作者不詳:
Ruede la Vola
ドゥロン:
Veneno es de amor la envidia
El impossible mayor en amor
le venze Amor
作者不詳:
Discurso de ecos
リテレス:
歌劇「四大元素」より
作者不詳:
Cancion Franzesa
リテレス:
歌劇「ユピテルとセメレ」より
作者不詳:
Diferencias sobre la gayta
アル・アイレ・エスパニョール
エドゥアルト・ロペス・バンゾ
(指揮・cemb)
録音:1994年
以前にも書きましたが、
アントニオ・デ・リテレスは、
1673年生まれ(1747年没)の作曲家で、
主にスペインとポルトガルで
活躍しました。
存命中は高い評価を
受けていたらしいのですが、
当時の多くの作曲家が
そうであったように、
没後は忘れられていました。
半世紀前からの古楽器演奏ブームの中で
再発見され、その作品が
発掘されつつある作曲家の一人です。
リテレスについては
3曲(トラックとしては12曲)が
収録されています。一つは
カンタータ「アチスとガラティア」。
ギリシャ神話の登場人物
アチス(Acis)とガラティア(Galatea)の
悲恋を描いたものであり、
全曲の演奏時間としては
60分程度の作品です。
そこからレチタティーボやアリアを
6曲抜粋しています。
カンタータといっても、
バッハやヘンデルのような
重厚なものではありません。
冒頭からいきなりカスタネットが
切れの良いリズムを刻み、
弦楽器が跳びはねるような
旋律を奏でる、
いかにもスペイン・バロックといった
音が連続します。
「サルスエラ形式」であり、
オペラやカンタータに
流行歌や民族舞踊が
混じり合っているのです。
この情熱的な音楽要素こそ
リテレスの魅力なのでしょう。
なおアル・アイレ・エスパニョールは、
この全曲録音も2001年に行っており、
それも「Al Ayre Espanol Edition」に
収録されています。
もう一つは歌劇「四大元素」。
こちらも聴きどころ3曲が
抜粋されています。
全曲盤については以前書いたとおり、
歌の楽しい歌曲集のようなオペラです。
さらに一つは「ユピテルとセメレ」より
3曲が収録されています。
こちらも素敵なアリアを楽しめます。
なお、アル・アイレ・エスパニョールは
こちらも全曲盤を収録しています。
2枚組の音盤であり、
長大な作品であることがうかがえます。

収録されている作曲家のもう一人、
セバスチャン・ドゥロン(ドゥローン、
デュロン等の表記もある)もまた、
スペイン後期バロック期の
重要な作曲家です。
1660年に生まれ、
1716年に没しました。
スペイン王室に仕え、
やはりサルスエラを中心とした
劇音楽で知られています。
「Veneno es de amor la envidia」は
「愛の嫉妬は毒である」、
「El impossible mayor
en amor le venze Amor」は
「愛における最大の不可能を
愛が打ち破る」と
訳すことができるでしょうか。
いずれもスペイン・バロックの
サルスエラであり、
神話的寓意的な内容なのだそうですが、
詳細は不明です。
両者とも全曲録音の
音盤を探してみましたが、
見つけることができませんでした。
本盤には、前者から1曲、後者から3曲の
アリアが収められています。
そのほか、作者不明の作品が
4曲収録されています。
これらを通して聴いても
まったく違和感なく、
一人の作曲家の歌曲集を
聴いているような錯覚を覚えます。
かき鳴らされるバロック・ギター、
強靱なリズムをつくりあげる
カスタネットの響き、
それらとともに際立っているのが
ソプラノの歌です。
スペイン音楽特有の節回しと
表情過多ともいえる表現技法、
それが伸びやかで張りのある
ソプラノによって
情熱的に歌われているのです。
名前がクレジットされていないので、
アル・アイレ・エスパニョールの
団員なのでしょう。
このソプラノの存在感が圧倒的です。

バロック音楽の中でも、
こうしたスペイン・バロックは
また異なる面白さがあります。
アル・アイレ・エスパニョールによる
「知られざるスペイン・バロック」は
第3集まで録音され、そのすべてが
「Al Ayre Espanol Edition」に
収録されています。
とことん味わっていきたいと思います。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。
(2025.11.11)
〔本盤が収録されているBOX〕
〔関連記事:リテレス作品〕

〔関連記事:DHM-BOX〕




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