リテレスの歌劇「四大元素」を聴く

アル・アイレ・エスパノールの陽気な演奏

ボックス・セットに
収録されていなければ
聴くことがなかったかもしれない音楽。
本盤は私にとって
そういう種類のものです。
スペインの音楽は、積極的に
手を出そうという気が起きません。
でも、聴いてみるとこれがなかなか
味わい深い音楽なのでした。

アントニオ・デ・リテレス:
歌劇「四大元素」

今日のオススメ!音盤

アントニオ・デ・リテレス:
 歌劇「四大元素」

Marta Almajano(S)
Lola Casariego(Ms)
Anne Grimm(S)
Xenia Meijer(Ms)
Carlos Mena(C-T)
Jordi Ricart(B)
エドゥアルト・ロペス・バンゾ
 (指揮&cemb)
アル・アイレ・エスパノール
録音:1997年

アントニオ・デ・リテレス
1673年生まれ(1747年没)の作曲家で、
主にスペインとポルトガルで
活躍しました。
存命中は高い評価を
受けていたらしいのですが、当時の
多くの作曲家がそうであったように、
没後は忘れられていました。
半世紀前からの
古楽器演奏ブームの中で再発見され、
その作品が発掘されつつある
作曲家の一人です。
amazonの「クラシック」の
カテゴリにおいて作曲者名「Literes」で
検索をかけてもまったくでてきません
(それどころか勝手に
「litter」に変更され、
猫の砂がたくさん出てくる!)。
かなりマニアックな作曲家であることを
実感しました。

1673 Literes

本盤を何気なく聴くと、
陽気な歌を集めた
スペイン歌曲集のような雰囲気で
いっぱいです。
背景から聞こえてくる楽器は
少数の弦楽器、
そしてギターやカスタネット。
ある場面ではギターが
通奏低音として機能し、
いかにもスペイン音楽的な響きを
奏でたかと思うと、別の場面では
カスタネットが情熱的なリズムを刻む。
歌曲集にしては
ソプラノやらアルトやら男声やら
次から次へと登場する。
いったいどんな音楽だろうと
確認してみると何と「歌劇」。
歌と歌の間に台詞はなく、
全一幕の構成であり、
まったくオペラっぽくないのですが、
オペラなのです。

今日のオススメ!

日本語解説どころか
英語の解説もないため、
どんな音楽かまったく分かりません。
かなりマニアックな音楽なのでしょう、
ネット検索でも
情報がほとんど見つかりません。
「四大元素」という表題から想像すると、
空気・火・水・土の
(おそらくは)エレメント
(妖精のような)がドラマを創り上げて
いるのだろうと思われるのですが、
雰囲気的には「明るい雑談」のようにしか
感じられません。
声楽ソリストが6名であることから、
4つのエレメント以外、
もう2つ配役があります。
どうやら「曙」と「時」らしいのですが、
それらがいったいどう関わるのか、
まったく想像できません。

いいのです。
わからなくても。
歌が愉しめれば。
これまでもオペラは
輸入盤を購入すると当然、
歌詞対訳がなく、
でも、歌を愉しんできました。
筋書きがわからなくても
歌が愉しめればいいのです。
割り切って考えるべきです。

今日のオススメ!

その「歌」ですが、
ソリスト6名はまったく名前を
聞いたことがありません(もしかしたら
全員アル・アイレ・エスパノール所属の
声楽陣か?)。
しかしながら
素敵な歌唱を披露しています。
独唱あり、二重唱あり、四重唱あり、
素敵な音楽が続いていきます。
全23トラックですので、
23曲愉しめます。

古楽器アンサンブルである
アル・アイレ・エスパノールの伴奏も
心地良く響きます。
スペインの音楽を
熟知しているのでしょう(というか
団員はオール・スペイン人?)。

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この音盤を聴き
(初めて聴いたのは2年ほど前)、
感動のあまり、
このアル・アイレ・エスパノールの演奏を
集めた8枚組BOXを購入しました
(そちらにも本盤が収められています)。

今日のオススメ!

おかげでスペイン音楽にも
興味を持つことができました。
今のところは
アル・アイレ・エスパノールBOXを
繰り返し聴いているのですが、
いずれ他の音盤を
探すことになるでしょう。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.6.24)

〔関連記事:DHM-BOX〕

ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ集
パレストリーナ:合唱作品集
ペルゴレージ:奥様女中
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