テレマン「音楽の練習帳」を聴く

カメラータ・ケルンの素敵な全曲録音盤

後期バロックを代表する作家・
テレマンは、クラシック音楽史上、
最も多くの曲を創り上げた人物として
知られています。
そのためテレマンの作品の全貌は
なかなかつかめないのですが、
この「音楽の練習帳」もまた、
その性格を一言で言い表すのが
難しい作品集です。

テレマン:音楽の練習帳 全曲

テレマン:
Disc1
 ソロ・ソナタ第1番ヘ長調
 トリオ・ソナタ第1番ハ長調
 ソロ・ソナタ第2番ニ長調
 トリオ・ソナタ第2番ト長調
 ソロ・・ソナタ第3番イ短調
 トリオ・ソナタ第3番ト短調

Disc2
 ソロ・ソナタ第4番ニ短調
 トリオ・ソナタ第4番イ短調
 ソロ・ソナタ第5番変ロ長調
 トリオ・ソナタ第5番イ短調
 ソロ・ソナタ第6番ハ長調
 トリオ・ソナタ第6番ロ短調

Disc3
 ソロ・ソナタ第7番イ長調
 トリオ・ソナタ第7番ヘ長調
 ソロ・ソナタ第8番ト長調
 トリオ・ソナタ第8番変ロ長調
 ソロ・ソナタ第9番ホ短調
 トリオ・ソナタ第9番ホ長調

Disc4
 ソロ・ソナタ第10番ハ長調
 トリオ・ソナタ第10番ニ長調
 ソロ・ソナタ第11番ホ短調
 トリオ・ソナタ第11番ニ短調
 ソロ・ソナタ第12番ヘ長調
 トリオ・ソナタ第12番変ホ長調

カメラータ・ケルン
 ミヒャエル・シュナイダー
  (ブロックフレーテ)
 カール・カイザー
  (フラウト・トラヴェルソ)
 ハンス=ペーター・ヴェスターマン
  (ob)
 マリー・ウティガー(vn)
 ライナー・ツィペリング
  (ヴィオラ・ダ・ガンバⅠ、チェロ)
 ギスレーヌ・ウォウタース
  (ヴィオラ・ダ・ガンバⅡ)
 今村泰典(テオルボ)
 ザビーネ・バウアー
  (チェンバロ、オルガン)
 ハラルト・ヘーレン
  (チェンバロⅡ、オルガン)
録音:1994-1995年

「食卓の音楽」と並んで
テレマンの重要な作品集である
「音楽の練習帳」は、全24曲、
12のソロ・ソナタ
(独奏楽器+通奏低音、ただし
2曲のチェンバロ・ソナタは独奏のみ)と、
12のトリオ・ソナタからなる
作品集です。
ヴァイオリン、オーボエ、リコーダー、
フラウト・トラヴェルソ、
チェンバロなどが
多彩に組合わされたその音楽は、
テレマンの魅力が凝縮しています。

決して難しい音楽ではありません。
家庭での音楽教育の目的で
創り続けられた作品を
まとめたものといわれているだけあり、
素朴な響きが楽しめます。
音楽については「聴くだけ」の私には
今ひとつ理解できないのですが、
「練習をしながら楽器の特性を把握し
かつ楽器に惚れ込むことが
できるような音楽」なのだそうです。
つまりその名の通り、
楽器演奏者が練習をしながら
音楽の楽しさを味わえる
作品ということなのでしょう。

1681 Telemann

カメラータ・ケルンの演奏者たちは、
それぞれの楽器の特質が
よくわかるように
音楽を提示しています。
その明晰なアプローチは、
聴き手を引きつけて離しません。
CD4枚分、総計4時間弱の演奏であり、
分量的にはワーグナーの楽劇に
匹敵するのですが、
聴いていて飽きることもなければ
疲れることもありません。
楽しい一時が
どこまでも続いていくのです。

この全24曲、それぞれは
単独で演奏されたり
録音されたりしてきたのですが、
全曲録音となると、
このカメラータ・ケルン盤が
最初のもののようです。
1994-1995年の録音なのですが、
それ以降も全曲盤はほとんどなく、
2002-2004年に
バッタリアという団体が
(ただしCD2枚ずつ
2組分売でリリースされていた)、
そして最近では2021年の録音で
ラ・ヴィジオーネという団体の音盤が
確認できるだけのようです。

この素敵な音楽が
素敵な演奏で
素敵な音盤として
仕上がっているのです。
もはや聴き比べなど必要ないでしょう。
この音盤をずっと大切に
していきたいと思っています。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.6.3)

〔関連記事:テレマンの音楽〕

テレマン:木管楽器協奏曲集

〔テレマン「音楽の練習帳」音盤〕

〔テレマン作品の素敵な音盤〕

wal_172619によるPixabayからの画像

【今日のさらにお薦め3作品】

クープラン:ルソン・ド・テネブレ
バッハ:管弦楽組曲
ヴィヴァルディ:四季

【こんな音盤はいかがですか】

コメントを残す