ヴィヴァルディのチェロ・ソナタを聴く

ビルスマと鈴木秀美の子弟コンビによるチェロ

ドイツ・ハルモニア・ムンディ・
ボックス
第1集の一枚です。
ヴィヴァルディ
チェロ・ソナタともなると、
なかなかに地味な曲であり、
音盤として購入することを
ためらってしまうのですが、
BOXの中に入っていると、
ついつい聴いてしまいます。

ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ集

今日のオススメ!音盤

ヴィヴァルディ:
 チェロと通奏低音のためのソナタ
  ヘ長調 RV41 op.14-2
  イ短調 RV43 op.14-3
  ホ短調 RV40 op.14-5
  イ短調 RV44
  ト短調 RV42
  変ホ長調 RV39

アンナー・ビルスマ(vc)
鈴木秀美(vc)
ジャック・オッホ(cemb)
録音:1986年

ヴィヴァルディのチェロ・ソナタは
9曲あり、以下のようになっています。
ソナタ第1番 変ロ長調 RV47
ソナタ第2番 ヘ長調 RV41
ソナタ第3番 イ短調 RV43
ソナタ第4番 変ロ長調 RV45
ソナタ第5番 ホ短調 RV40
ソナタ第6番 変ロ長調 RV46
1740年に作品14として
出版されたのは以上の6曲ですが、
未出版で筆写譜の残っているものが
3曲あり、以下の通りです。
ソナタ第7番 イ短調 RV44
ソナタ第8番 変ホ長調 RV39
ソナタ第9番 ト短調 RV42
本盤は、その9曲から
6曲を選んで収録されたものです。
なおビルスマは、この1986年の録音で
見送ったRV47,45,46を、
1999年にRV41,43,40とともに
一枚の音盤としてリリースしています
(こちらはvivarte-BOX
収録されている)。
また、今回通奏低音にまわった
鈴木秀美も、独奏チェロとして
2003年に全9曲を録音しています。

このヴィヴァルディの
チェロ・ソナタという曲ですが、
やはり地味な曲であることは
間違いありません。
それをバロック・チェロで
演奏するのですから、
渋い曲想を渋い音色で
弾ききったという印象を受けます。
私も古楽器になれてきたせいか、
こうした「くすんだ音色」の温かさを
理解できるようになりました。
こうした音の方が
心に染み入ってくると感じます。

1678 Vivaldi

ただ、だからといって演奏そのものも
地味というわけではありません。
本盤は、チェロの大家・ビルスマが
独奏チェロを、
その弟子・鈴木秀美が
チェンバロの通奏低音部を
チェロで演奏しています
(別にチェンバロとしてオッホが担当)。
師弟コンビという
親しい間柄だからでしょうか、
鈴木秀美のチェロが、
通奏低音の枠の中に収まっていません。
控えめな伴奏などではなく、
積極的に前に出てきているように
感じます。
まるでチェロの二重唱といった感じで
響く部分も散見されます。
それがバロック的なアプローチなのか、
それとも気心の知れた二人で
丁々発止の掛け合いを試みたのか、
そのあたりは分かりませんが、
刺激的な要素を
多く含んだ演奏となっているのです。

ビルスマの後の1999年録音は、
音色が一層渋く、
枯淡の境地に達するとともに、
全体の調和を重んじたような
演奏となっています。
そのように比較したとき、
こちらの録音の方が
より面白いものとなっているように
感じられます。

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こうした演奏にふれると、
さらにヴィヴァルディの
チェロ・ソナタを聴いてみたいという
欲求に駆られるのです。
できれば古楽器演奏、しかも
全9曲の全集として録音したものを。
BOXを購入して
普段聴かないものを聴いてしまうと、
自分の音楽の守備範囲が
確実に広がります。
いいことずくめです。
このところ、こうしたBOXのリリースが
頭打ちになっているのが残念ですが、
ここまで購入した
vivarte-BOX第1集第2集・計120枚、
そして
DHM-BOX第1集第2集・計100枚、
NAXOS
「THE EARLY MUSIC COLLECTION」
30枚を、
じっくり味わっていきたいと思います。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2025.3.11)

〔ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ〕

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