テレマンの木管楽器協奏曲集を聴く~その素朴な味わいを愉しむ

テレマンの素朴な味わいを愉しむ

テレマン
私にとっては馴染みの薄い作曲家です。
と思っていましたが、
当サイトをよく確認したら、
テレマンに関する記事は
すでに5本掲載していました。
印象がどうしても地味であり、
あまり記憶に残っていなかったのです。
なぜならこれまでとりあげたのは
ヴィオラ・ダ・ガンバやリコーダーの
作品集ですから。
でも、改めて聴くと、その地味な中に
何ともいえない味わいがあることに
気づかされます。
本盤もしかりです。

BOX1 Disc45
テレマン:木管楽器のための協奏曲集

今日のオススメ!音盤

テレマン:木管楽器のための協奏曲集
 リコーダーとフルートのための
  協奏曲ホ短調
 ヴァイオリンとオーボエのための
  協奏曲ハ短調
 2つのリコーダーのための
  協奏曲イ短調
 フルート協奏曲ロ短調
 オーボエ・ダ・モーレ、チェロのための
  協奏曲ニ長調
 オーボエ、ヴァイオリン、
  2つのフルート、2つのヴィオラ、
  通奏低音のための協奏曲変ロ長調

カメラータ・ケルン
録音:1996年

今でこそ同年代のバッハの陰に
隠れがちなのですが、
当時はかなり人気のあった
作曲家であるテレマン
調べてみると、
なんとクラシック音楽史上最も多作の
作曲家ともいわれています。
そのせいでしょうか、
系統立てて音盤が
リリースされていないという現状があり
(そのなかでこのカメラータ・ケルンは
かなり系統的に録音している)、
聴く側としても
捉えどころが難しくなっているのです。
ここに収められている
木管楽器協奏曲も、
テレマンの作曲した協奏曲の
ほんの一部なのです。

1681 Telemann

1曲目は「リコーダーと
フルートのための協奏曲」。
縦笛のリコーダーと横笛のフルートの
組み合わせは、
親和性が高いのでしょうか。
面白い響きが創り上げられています。
特に第3楽章のソロ部分の
何ともいえない味わいに魅了されます。
ただし、リコーダーは音量の関係で
オーケストラとは馴染まず、
テレマンの時代以降、
急速に廃れていきます。
貴重なリコーダー協奏曲といえます。

リコーダー協奏曲は
3曲目にも登場します。
「2つのリコーダーのための
協奏曲」ですが、
こちらも素朴な味わいが魅力です。
やはりマイクで捉えてあっても、
リコーダーの音色は
ヴァイオリンに負けているのですが、
そこをじっくりと聴き取ると、
その魅力がじわじわと
心に染み入ってくるようです。
こちらも第3楽章の明るく鄙びた
リコーダーの旋律を
じっくりと堪能すべきでしょう。
なお、本盤でリコーダーを演奏している
ミヒャエル・シュナイダーは、
同じカメラータ・ケルンを指揮して、
近年、CPOレーベルにて
テレマンの協奏曲全集を
完成させています。
そちらも聴いてみたいと思います。

一方、フルートの方は、
本盤唯一の単一楽器協奏曲として
収録されています。
4曲目「フルート協奏曲」ですが、
もちろん古楽器
フルート・トラヴェルソでの
演奏となります。
現代楽器のフルートよりも
音量と音色の艶やかさの点で
劣るのですが、
やはりその素朴な味わいは魅力的です。

さらにフルートは
6曲目「オーボエ、ヴァイオリン、
2つのフルート、2つのヴィオラ、
通奏低音のための協奏曲」にも
登場します。
こちらはコレッリの合奏協奏曲を
想起させるような構成です。
もはや注意して聴き取らないと、
ソロ楽器と合奏部分の境目が
ごちゃごちゃになり、
印象に残らなくなります。
ここでは2本のフルートともに
オーボエのソロを味わうべき
協奏曲といえます。

そのオーボエですが、
2曲目の「ヴァイオリンと
オーボエのための協奏曲」、
そして5曲目「オーボエ・ダ・モーレ、
チェロのための協奏曲」を
愉しむことができます。
「ヴァイオリン、オーボエ」の方は、
第2楽章のオーボエの
哀愁をおびた旋律が魅力です。
「オーボエ・ダ・モーレ、チェロ」は
全体的に明るい曲調で、
第2楽章の穏やかな雰囲気が
オーボエにぴったりの曲想であり、
その味わいを愉しみたいものです。

今日のオススメ!ストリーミング

テレマンの時代は
まだまだ協奏曲の黎明期といえます。
試行錯誤の時代であり、
だからこそいろいろな協奏曲が
愉しめるというものです。
テレマンの素朴な味わい、
これからも噛みしめていきたいと
思います。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2024.10.27)

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