やはりミスリヴェチェクは素晴らしい
以前とりあげたミスリヴェチェク。
そのヴァイオリン協奏曲集は
モーツァルトを彷彿とさせる、いや、
モーツァルト以上の
素敵な作品群でした。
ミスリヴェチェクの他の作品を
探していたのですが、ようやく
本盤と出会うことができました。
モーツァルトのセレナードK.388と
ミスリヴェチェクの
管楽八重奏曲3曲のカップリングです。
Mozart serenade
Mysliecek 3 wind octets
モーツァルト:
セレナード 第12番ハ短調
K.388「ナハトムジーク」
ミスリヴェチェク:
管楽八重奏曲第1番変ホ長調
管楽八重奏曲第2番変ホ長調
管楽八重奏曲第3番変ロ長調
ハルモニムジーク・オブ・ロンドン
録音:1996年
モーツァルトのセレナードK.388を、
持っているつもりで、
探してみたらありませんでした。
モーツァルトの管弦楽や室内楽のCDの
どれかに入っているだろうと
思いこんでいたのでした。
40年近くクラシック音楽を聴いてきて、
まだ未聴の音楽(それもモーツァルトの
比較的有名な曲で)があるなんて!
と思いながら、
中古盤で購入したのが本盤です。
いくつかある中で本盤を選択したのは
併録曲がミスリヴェチェクだからです。
どちらも面白く聴くことができます。
まずモーツァルトのK.388ですが、
標題として付されている
「ナハトムジーク」が示すとおり
「夜の音楽」の雰囲気が
醸し出されています。
モーツァルトの
管楽合奏のためのセレナードは3曲
(本曲のほかに第10番K.361、
第11番K.375)が存在し、
その中で短調のものは
このK.388だけです。
また、K.361が7楽章、
K.375が5楽章であり、
軽快なメヌエットが
複数曲含まれるのに対し、
このK.388はメヌエット一つをふくむ
4楽章です。
まるで弦楽四重奏曲のような
構造となっているのです。
そのせいか、モーツァルト作品にしては
やや明るさ不足という
(暗いというほどではないが)印象を
受けてしまいます。
しかしながら、その落ち着いた中に、
モーツァルトらしい典雅な響きが
随所に聴き取ることができ、
味わい深い一曲となっています。
ハルモニムジーク・オブ・ロンドンは、
本曲のそうした構成の意図をくみとり、
じっくりと腰をすえて
音楽を練り上げたような演奏を
展開しています。
K.388の音盤は所有していないため、
初めて聴く音楽なのですが、
どこかでこの旋律を聴いていたような…
と思い、調べてみると、
弦楽五重奏曲第2番ハ短調K.406に
編曲されていたのでした。
なるほど。
続くミスリヴェチェクですが、
こちらはモーツァルトK.388に比べて
明るく、リズム感のある
3曲となっています。
それだけでなく、何気なく聴いていると
突然はっとさせられるような
旋律が現れます。
管楽八重奏曲というジャンル自体が
地味な存在なのですが、
その中において
ミスリヴェチェクの3曲は
鮮烈さと瑞々しさを感じさせます。
また、それぞれの奏者の
技巧面が際立つ場面も多々あり、
作曲技法の高さを感じさせます。
高い演奏技能を見せる
ハルモニムジーク・オブ・ロンドンですが
ネット検索しても
情報がほとんど見つかりません
(たぶんブックレットの解説の英語を
読み取る能力があれば
分かるのでしょうが)。
リリースも本盤のみのようです。
どこかの楽団員が一時的に
集まったものかもしれません。
素性はともかく、
素敵な演奏を聴かせてくれます。
持っているようで持っていなかった
モーツァルトK.388と、
探していたミスリヴェチェクの
3つの管楽八重奏曲。
両方同時に聴くことができる
本盤の存在はありがたい限りでした。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。
(2024.10.13)
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