ストリーミングで始めるクラシック音楽 ショパン「夜想曲第18番op.62-2」を含むピアノ曲集

この3枚でショパンに浸る

amazon music unlimitedでの
クラシック入門第1回として、
管弦楽曲・ガーシュウィンの
「ラプソディ・イン・ブルー」
取り上げました。
今回はピアノ曲、
ピアノ曲といえばショパン
でもあまりにも音源が多すぎて、
何を聴けばいいかわからない、
そんな貴方に
この3枚を提案いたします。

【今日の1枚目:ギィ(p)】
「シークレット・ガーデン」

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ショパン:
 夜想曲 第1番変ロ短調 Op.9-1
 夜想曲 第2番変ホ長調 Op.9-2
 練習曲 第1番ハ長調 Op.10-1
 練習曲 第12番ハ短調
  Op.10-12「革命」
 バラード 第1番ト短調 Op.23
 夜想曲 第7番嬰ハ短調 Op.27-1
 バラード 第2番ヘ長調 Op.38
 夜想曲 第13番ハ短調 Op.48-1
 幻想曲 ヘ短調 Op.49
 ピアノ・ソナタ第3番ロ短調 Op.58
 幻想ポロネーズ 変イ長調 Op.61
 夜想曲 第18番ホ長調 Op.62-2
 ワルツ 第12番ヘ短調 Op.70-2
 ワルツ 第13番変ニ長調
  Op.70-3(遺作)
 夜想曲 第20番嬰ハ短調(遺作)
 幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66(遺作)

フランソワ=フレデリック・ギィ(p)
録音:2021年

今回はあまたある
ショパン・ピアノ曲集の中から
3枚をピックアップするにあたり、
次の縛りをもうけました。
①ショパンの曲のみで一つの
 音盤(音源)が構成されているもの
②「夜想曲集」「バラード集」等ではなく、
 幅広く収録されているもの
③プログラムに
 「夜想曲第18番op.62-2」を含むもの
④一人のピアニストで
 すべて演奏されているもの
その上で、
「なるべく録音の新しいもの」かつ
「素敵な演奏」を選びました。

一人目のピアニストは
フランソワ=フレデリック・ギィです。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集
素晴らしく、
私の愛聴盤となっています。
これまでベートーヴェン、
バルトーク、ブラームス、リスト、
プロコフィエフといったレパートリーで
音盤をリリースしていたギィですが、
ショパンのアルバムは
これが最初ということになります。
ギィのこれまでのアルバムの
編み方を見ると、「○○全集」のような、
系統的な録音のしかたをしていたため、
ショパンについても
「夜想曲全集」のような編成で
制作してくるのかと思っていましたが、
2枚組の素敵な選曲の
ショパン・プログラムとなっています。

ギィの演奏ですが、
ベートーヴェンで見られたような
バランスの良さ、
つまり繊細さと力強さの
バランス加減の良さが、
ショパンでもやはり現れています。
もちろんベートーヴェンの場合は
「力強さ」の比重が大きいのに対し、
このショパンでは
「繊細さ」の方が求められるのですが、
それもしっかり
コントロールされています。
洗練されたショパンを聴くことのできる
アルバムとなっているのです。

【今日の2枚目:オルダク(p)】

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ショパン:
 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
 ワルツ第7番嬰ハ短調 Op.64-2
 ワルツ第3番イ短調 Op.34-2
 ワルツ第1番変ホ長調
  Op.18「華麗なる大ワルツ」
 幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
 英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
 夜想曲第18番ホ長調 Op.62-2
 マズルカ第13番イ短調 Op.17-4
 マズルカ第21番嬰ハ短調 Op.30-4
 マズルカ第40番ヘ短調 Op.63-2
 マズルカ第41番嬰ハ短調 Op.63-3
 マズルカ第45番イ短調 Op.67-4
 スケルツォ第2番変ロ短調 Op.31
 夜想曲 第20番嬰ハ短調 遺作

ローレンス・オルダク(p)
録音:2022年

2枚目は、フランスのピアニスト、
ローレンス・オルダクの
ショパン・アルバムです。
今までその名を聞いたことのない
ピアニストなのですが、なかなかに
素敵なショパンを聴かせてくれます。
流麗で表現力豊かな演奏であり、
夜想曲第18番ホ長調 Op.62-2も
美しく響かせています。
癖のある弾き方ではないため、
万人に勧められる演奏です。また、
プログラムに有名曲が目立つため、
聴きやすく、かつ聴き応えのある
アルバムとなっています(その反面、
ショパンを聴き慣れている方には
物足りないかもしれませんが)。

このオルダクに関しては、
ネットを検索しても
あまり情報が見当たりません。
発売元のHPをみると、
「パリ音楽院にてジャック・ルヴィエら
高名なピアニストに師事」
「1993年および1995年に
ブゾーニ国際コンクールの
ファイナリストになっている実力派」と
あるのですが、
近年の経歴は記されていません。
また、これまでリリースされているのは、
J.S.バッハ、ショパン、C.P.E.バッハ
収録の盤が一枚、
スクリャービンとザボロフなる
作曲家のピアノ曲を収めたもの一枚、
それだけのようです。
特に後者が面白そうなので、
探してみたいと思います。

【今日の3枚目:ルガンスキー(p)】
「哀れで、悲しい天使」

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ショパン:
 幻想曲 ヘ短調 Op.49
 バラード第4番ヘ短調 Op.52
 ワルツ第7番嬰ハ短調 Op.64-2
 スケルツォ第4番ホ長調 Op.54
 ポロネーズ第6番変イ長調
  Op.53「英雄」
 3つのマズルカ Op.50
 夜想曲 第8番変ニ長調 Op.27-2
 夜想曲 第18番ホ長調 Op.62-2

ニコライ・ルガンスキー(p)
録音:1996年

「なるべく録音の新しいもの」を
選んだのですが、3枚目の
ルガンスキー盤は1996年録音。
28年も前の録音であり、
決して新しいとはいえません。
しかしかつて
Challenge Classicsレーベルから
リリースされていたこの盤が、
Finelineレーベルから
最近復刻されたため、選びました。
すでに多くの実績を上げている
ルガンスキーの、24歳当時の
若かりし頃の音盤です。
瑞々しい清冽なショパンを
聴くことができます。

バラードOp.52とスケルツォOp.54が
聴きどころでしょうか。
高い技巧に裏打ちされた
豊かな表現力が、
ショパンの旋律を引き立たせています。
そして最後に配置された
夜想曲Op.62-2の端正な美しさ。
通して聴くと、一つのコンサートを
聴き終えたような満足感に
浸ることができます。
HPの解説によると、
「ショパンがジョルジュ・サンドと
過ごした時期である1841年~47年に
書かれた作品」(夜想曲Op.27-2を除く)で
組まれたプログラムなのだとか。
「哀れで、悲しい天使」という表題が
付されていることからも、
ルガンスキーが何らかの
ねらいと思いを持って編んだ
プログラムであることが分かります。

さて、これまで高かった
クラシック音楽の敷居を
一気に低くすると考えられるのが
amazon music unlimitedです。
でも、amazonサイトで検索しても、
クラシックの場合、なかなか
まっとうな音源がヒットしません。
百花繚乱を飛び越えて
百鬼夜行の状態です。
これからクラシック音楽を
聴いてみたい、
でも何から聴けばいいかわからない、
そんな方にとって
何かの参考になればと思っています。
やはり、クラシック音楽は愉し、です。

(2024.8.25)

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