ストリーミングで始めるクラシック音楽 ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」

まずはお洒落なクラシック音楽、いかがですか

amazon music unlimitedの
契約者なら、そこにある楽曲を
すべて自由に聴くことができます。
かつてないほどクラシック音楽への
敷居が低くなっているのです。
ポップスやロックも愉しいのですが、
クラシック音楽も素敵です。
クラシック音楽を聴き始めたいけれど、
何から聴けばいいのかわからない。
ぜひこの曲から聴いてみてください。
第1回目は、ガーシュウィン
「ラプソディ・イン・ブルー」を
取り上げます。

あまたあるガーシュウィン
「ラプソディ・イン・ブルー」の
音盤の中で、定評のあるのは
バーンスタインが弾き振りをした盤や、
ワイルドのピアノ、
フィードラーの指揮の盤と
いったところでしょうか。
せっかくのストリーミングです。
新しいもの3点を選んでみました。

【今日の1枚目:クラーネヘム】

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ガーシュウィン:
 ラプソディ・イン・ブルー

〔併録曲〕
ガーシュウィン:
 キャットフィッシュ・ロウ
  ~「ポーギーとベス」組曲
 サマータイム
 シュトラウスに倣って
 パリのアメリカ人
 恋した人は(The man I love)
 あの人は行ってしまった
  (My man is gone now)
 アイ・ガット・リズム

クレアロン・マクファドゥン(S)
バルト・ファン・クラーネヘム(p)
アニマ・エテルナ・ブリュッヘ
ジョス・ヴァン・インマゼール(指揮)
録音:2017年

一枚目は、異色中の異色、
インマゼール指揮で
ピアノがクラーネヘムという盤。
なんと古楽器演奏です。
なぜ20世紀前半の作品に
古楽器を導入?
まあ、近年はストラヴィンスキーでさえ
古楽器で演奏されるくらいですから、
これもありなのでしょう。
聴いてみると、
違和感なく聴くことができます。
というよりも、
古楽器らしくはありません。
全面的に古楽器、ではなく、
例えば弦楽器であれば
ガット弦だけでなく金属弦を加えて、
当時の音響を再現したとのこと。
まあそんなことは
どうでもいいことです。

大切なのは
音がお洒落であるということです。
ジャズの薫りのする本曲の場合、
ジャズっぽく音を汚すようにして
演奏しているものも見受けられます。
しかしインマゼールは
そんなことをしていません。
ガーシュウィンのお洒落な旋律が、
そのままお洒落に鳴り響くのです。

【今日の2枚目:バートレット】

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ガーシュウィン:
 ラプソディ・イン・ブルー

マーティン・ジェームズ・バートレット(p)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ジョシュア・ワイラースタイン(指揮)
〔併録曲〕
ラフマニノフ:
 パガニーニの主題による狂詩曲Op.43

マーティン・ジェームズ・バートレット(p)
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
ジョシュア・ワイラースタイン(指揮)
ラフマニノフ:
 ヴォカリーズ
  Op.34-14(ワイルド編)
 ここはすばらしい場所
  Op.21-7(ワイルド編)
 W.R.のポルカ
ガーシュウィン:
 私の彼氏
ワイルド:
 ガーシュウィンによる
  7つの超絶技巧練習曲
  ~魅惑のリズム
  ~エンブレイスブル・ユー
ガーシュウィン:
 アイ・ガット・リズム

マーティン・ジェームズ・バートレット(p)
録音:2020年

2枚目は、若手ピアニストの
バートレットが弾いた盤です。
本録音を聴く限り、1996年生まれの
マーティン・ジェームズ・バートレット
テクニックは確かです。
実際、いくつかのコンクールで
高い評価を得ているとともに、
世界的オーケストラとの共演も
幾度となく果たしています。
本盤もリリースは
天下のワーナー・クラシック。
聴き応えがあります。

「ラプソディ・イン・ブルー」は、
本盤の最後に収録されています。
とてもキレの良い演奏であり、
抜群のリズム感を持って
オーケストラと対峙、
いささかの弛緩もなく
この曲を弾ききります。
爽快感に溢れた演奏です。

ただし、本盤の場合、
オーケストラ伴奏は1曲目の
ラフマニノフ「パガニーニ狂詩曲」と
最終の「ラプソディ・イン・ブルー」のみで
あとはバートレットのソロ演奏です。
本盤は、ガーシュウィンを愉しむ
アルバムではなく、
バートレットのすご腕ピアノを
味わうための一枚なのです。

残念なことに、ラフマニノフ
「パガニーニ狂詩曲」のトラックが
細切れに分けられているため、
CDでのサーチには便利なのですが、
amazon musicで聴くと、
各トラックの前後がわずかに欠け、
切れ切れに聞こえてしまうという
難点があります。
私の機器(マランツNR1200)の
特性の問題なのか、それとも
amazon music特有の現象なのか
判然としませんが、
これは「ラプソディ・イン・ブルー」だけを
聴けばいいのだと
割り切って愉しむべきでしょう。

【今日の3枚目:ファンヤ・リン】

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ガーシュウィン:
 ラプソディ・イン・ブルー

〔併録曲〕
ラフマニノフ:
 パガニーニの主題による狂詩曲Op.43

Fanya Lin(p)
テオドレ・クチャル(指揮)
ポーランド・ヴィエニャフスキ・フィル
録音:2022年

3枚目、最も新しい録音が、
このアルバムです。
ピアニストはFanya Lin
(ある日本のコンサートのチラシには
「ファンヤ・リン」と記されていた)。
台湾・台北市出身の才女であり、
いくつもの国際コンクールで
入賞するなど、
活躍中のピアニストのようです。

曲の構成は、バートレット盤と同じく
「ラプソディ・イン・ブルー」と
「パガニーニ協奏曲」が
メインとなっています。
このピアニストも
素晴らしい演奏を披露しています。
力強さと繊細さを兼ね備えた
ピアニストのようです。
強く切れの良いタッチで
響かせたかと思えば、次の瞬間には
素早いパッセージを
実に繊細に弾ききっています。

素敵な演奏だと思うのですが、
国内版は発売されていません。
それどころかHMVやAmazonで
検索してもCDは引っ掛かりません。
NAVONAなる
マイナーなレーベルゆえでしょうか。
そうした演奏こそ、
ストリーミングの出番となるのです。

なお、公式HPがみつかりました。
こちらからどうぞ。

さて、
聴き始めのクラシック音楽として、
このガーシュウィン
「ラプソディ・イン・ブルー」を
挙げる人間は、私以外に
いないのではないかと思っています。
シュトラウスのウィンナ・ワルツや
ベートーヴェンの運命交響曲あたりを、
クラシック音楽の最初の一枚として
取り上げるのではないでしょうか。
しかし、これまでクラシック音楽を
聴いてこなかった方々が、
「ああ、やっぱりクラシック音楽も
いいもんだな」と思うのは、
やはりお洒落な楽曲ではないかと
思うのです。
今までクラシック音楽など
聴かなかったけれど、
ちょっと聴いてみようかな?と
考えているあなたにぜひお薦めしたい、
お洒落なクラシック音楽、
ガーシュウィンの
「ラプソディ・イン・ブルー」です。
ぜひお試しあれ。

(2024.8.11)

〔「ラプソディ・イン・ブルー」のCD〕

Bernstein conducts
Fiedler
Michael Tilson Thomas

〔関連記事:ガーシュウィン〕

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