ヘンデルの魅力にどっぷりと浸ることができる
ヘンデル作品主題目録番号HWVは、
ジャンル別に
割り振られているものであり、
その作品世界を把握するのに便利です。
357から379まではソロ・ソナタ、
つまり独奏楽器と通奏低音のための
ソナタにあてられています。
CD4枚組の本盤は
そのすべてを収録したものであり、
ヘンデルの魅力にどっぷりと
浸ることができるものとなっています。
ヘンデル:ソロ・ソナタ全集
Disc1
ヘンデル:
オーボエ・ソナタ 変ロ長調HWV.357
リコーダー・ソナタ ト長調HWV.358
ヴァイオリン・ソナタ
ニ短調HWV.359a
フルート・ソナタ
ホ短調HWV.359b,Op.1-1b
リコーダー・ソナタ
ト短調HWV.360,Op.1-2
ヴァイオリン・ソナタ
イ長調HWV.361,Op.1-3
リコーダー・ソナタ
イ短調HWV.362,Op.1-4
ヴァイオリンのためのアレグロ
ハ短調HWV.408
ヴァイオリンのためのアンダンテ
イ短調HWV.412
Disc2
ヘンデル:
オーボエ・ソナタ ヘ長調HWV.363a
フルート・ソナタ
ト長調HWV.363b,Op.1-5
ヴァイオリン・ソナタ
ト短調HWV.364a,Op.1-6
ヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ
ト短調HWV.364b
リコーダー・ソナタ
ハ長調HWV.365,Op.1-7
オーボエ・ソナタ
ハ短調HWV.366,Op.1-8
リコーダー・ソナタ
ニ短調HWV.367a
Disc3
ヘンデル:
フルート・ソナタ
ロ短調HWV.367b,Op.1-9
ヴァイオリン・ソナタ
ト短調HWV.368,Op.1-10
リコーダー・ソナタ
ヘ長調HWV.369,Op.1-11
ヴァイオリン・ソナタ
ヘ長調HWV.370,Op.1-12
ヴァイオリン・ソナタ
ニ長調HWV.371,Op.1-13
ヴァイオリン・ソナタ
イ長調HWV.372,Op.1-14
Disc4
ヘンデル:
ヴァイオリン・ソナタ
ホ長調HWV.373,Op.1-15
フルート・ソナタ イ短調HWV.374
フルート・ソナタ ホ短調HWV.375
フルート・ソナタ ロ短調HWV.376
リコーダー・ソナタ 変ロ長調HWV.377
フルート・ソナタ ニ長調HWV.378
フルート・ソナタ
ホ短調HWV.379,Op.1-1a
リコーダー・ソナタ ニ短調
HWV.367a第6楽章(異稿版)
イル・ロッシニョーロ
マルティノ・ノフェリ(recorder,ob)
マリカ・テスティ(fl)
フローリアン・ドイター(vn)
パオロ・ビオルディ(gamb)
オッタヴィアーノ・テネラーニ(cemb)
録音:2018年
HWV.357から379までであれば
全23曲なのですが、
HWV.359であればaとbがあり、
HWV.359aはヴァイオリン・ソナタ、
HWV.359bはフルート・ソナタ
(こちらが改変された異稿)と、
なかなかに面倒なのです。
さらに偽作の疑いのあるものが
数曲あり、近年ではカットされる
傾向にあるのですが、
そうした異稿・偽作を含めて
すべて録音してあるのが本盤です。
そのあたりの詳しい事情が
ブックレットの解説に詳しく
記載されている(と思われる)のですが、
外国語の苦手な私には解読できません。
演奏はイタリアの
ピリオド楽器アンサンブルである
イル・ロッシニョーロです。
チェンバロ奏者の
オッタヴィアーノ・テネラーニによって
結成され、これまでに
いくつもの録音を残しています。
このイル・ロッシニョーロですが、
いたずらに速いテンポで
駆け抜けるようなことはせず、
じっくりと落ち着いた演奏を
展開しています。
もちろんリコーダー・ソナタなど
速いパッセージで
聴かせる部分もあるのですが、
古楽器団体としてはゆっくりめの
テンポ設定のように感じられます。
それでいて音楽は遅滞することなく、
ヘンデルの旋律の魅力が
情感豊かに伝わってくるのです。
以前、カメラータ・ケルンによる
ヘンデルの
木管楽器ソナタ集(2枚組)について
取り上げました。
そちらはヴァイオリン・ソナタが
含まれていないのですが、
かなりの部分で曲目は重複しています。
カメラータ・ケルンは疾走するような
グルーヴ感が印象的だったのですが、
本盤は演奏に潤いがあり、
また違った味わいを持っています。
なお、カメラータ・ケルン盤に
収録されている
オーボエ・ソナタOp.1-6HWV.364aが、
本盤には収録されていません
(ヴァイオリン・ソナタ
HWV.364aとして収録されている)。
また、ヘンデルの楽曲一覧と
照らし合わせると、
HWV.358が
ヴァイオリン・ソナタではなく
リコーダー・ソナタとして
収録されています。
ソロ・ソナタ全集と
銘打たれてあるのですが、
「オーボエ・ソナタHWV.364a」と
「ヴァイオリン・ソナタHWV.358」の
2曲が漏れているということに
なりそうです。
まあ、コンプリートでなくとも
音楽は十分に愉しいものであり、
4枚組の本盤は聴き応えがあります。
やはり、ヘンデルの音楽は素敵であり、
やはり、音盤は愉し、です。
(2024.4.21)
〔関連記事:ヘンデルの作品〕
〔カメラータ・ケルン盤ソナタ集〕
〔イル・ロッシニョーロの音盤〕
〔ヘンデル:ソナタ集の音盤〕
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