カルダーラの歌劇「惑星の調和」を聴く

モンテヴェルディから100年、花開いたバロック・オペラ

DHM-BOXの一枚で、
ヘンデルカルダーラの宗教曲を収めた
アルバム「DIXIT」に衝撃を受け、
ぜひカルダーラなる作曲家の
他の作品を聴いてみたいと
思っていました。
買ったのがこの音盤。
「惑星の調和」なるオペラです。
最近の録音であり、
指揮者が近年注目されている
アンドレア・マルコン、ということで
買ってしまった音盤です。
聴いてみました。
予想通り素敵な音楽です。

カルダーラ「惑星の調和」

カルダーラ「惑星の調和」

カルダーラ:
 歌劇「惑星の調和」

デルフィーヌ・ガルー
 (A:美の女神/金星)
ヴェロニカ・カンジェミ
 (Sp:月の女神/ディアナ)
ルクサンドラ・ドノーセ
 (Ms:雷撃の神/木星)
フランコ・ファジョーリ
 (C-T:太陽の神/アポロ)
カルロス・メナ
 (C-T:戦争の神/火星)
ダニエル・ベーレ
 (T:使者の神/水星)
ルカ・ティットート
 (Bs: 農耕の神/土星)
ラ・チェトラ
アンドレア・マルコン(指揮)

アントニオ・カルダーラ
(Antonio Caldara)は、
1670年にヴェネツィアで生まれ、
1736年に没した、
イタリア・バロック音楽の作曲家です。
マントヴァ、バルセロナ、ローマ、
ウィーン等で活躍し、
80曲に及ぶオペラ作品をはじめとし、
宗教曲や器楽曲など
数多くの作品を残したとされています。
しかし没後は忘れられてしまい、
その知名度が高まってきたのは
近年のことです。
このオペラも指揮者・マルコンが
発掘と編集を行い、
何と300年ぶりの復活上演を
果たしたという掘り出し物なのでした。

1670 Caldara

調べてみても、
「惑星の調和」の歌詞対訳どころか
粗筋紹介やそれに触れられている
資料さえ見当たりません。
それだけマニアックな
作品なのでしょう。
いつも「歌詞はわからなくてもいい」と、
歌詞対訳のない輸入音盤を
購入しているのですが、
粗筋さえもわからない状況の
オペラです。

HMVのHPには、
「ハプスブルク家の神聖ローマ帝国
皇帝カール6世の皇后で
マリア・テレジアの母でもある
エリーザベトの命名日に
ボヘミアで上演された
祝典劇」なのだそうで、
冒頭から終末まで、
楽しげな音楽が連続します。
配役がすべて惑星
(神々を表している)であり、
おそらくは神々がエリーザベトを
口々に祝福するという他愛のないもの
なのではないかと思われます。

それでも十分愉しめます。
なぜなら歌が豊富だからです。
アリアとレチタティーボが繰り返され、
まるで神々による大音楽歌唱大会の
ように聴き取れるからです。
そのアリアも華やかであり、
ソプラノ、メゾ・ソプラノ、
コントラルト、カウンター・テノール、
テノール、バスと、
次から次へと魅力的な歌が
展開していくのです。
モンテヴェルディが形づくった
バロック・オペラは、その100年後、
この様な完成形となって花開きました。
そしてカルダーラの15年後輩の
ヘンデルがさらに発展させ、
このバロック後期、オペラは
百花繚乱の時代を迎えるのです。

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ところでよくわからないのは、
木星・Gioveは
本来男性の神様であるのに、
女声メゾ・ソプラノの
ルクサンドラ・ドノーセが
受け持っていることです。
楽譜での指定はメゾ・ソプラノなのか、
それともカウンター・テノールなのか、
知りたいところです。
まあ、女声が男性役をこなすのは
珍しいものではないのですが。

歌手陣は総じて
古楽に長けたメンバーが集められ、
手堅くまとめられています。
演奏のラ・チェトラは
古楽器オーケストラと
声楽アンサンブルであり、
華やかな歌の饗宴を
しっかりと引き立たせています。
オルガニスト、チェンバリスト、
音楽学者でもある指揮者・マルコンは、
本作品を発掘しただけあって、
きわめて明快に音楽の姿を
浮き彫りにすることに成功しています。

これだけ素敵な音楽が
300年間埋もれていたとは!
まだまだ広く聴かれるべき音楽が、
世の中にはまだまだ
眠っているということなのでしょう。
新発見・新録音が続く古楽の世界は、
いま流行の最先端にあるかのようです。
やはり、音盤は愉し、です。

〔関連記事:カルダーラ「DIXIT」〕

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(2023.12.3)

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