小澤征爾/コンプリートRCA&コロンビアBOXを聴く

その2 歌曲集・オペラ・宗教曲

今年8月末に登場した「小澤BOX」。
繰り返し、しみじみと聴いています。
日本を代表する指揮者・
小澤征爾のCD-BOXであり、
しかも完全限定。
買って良かったと思えるBOXです。

Ozawa-BOX
今日のオススメ!

今回は声楽を伴う作品、
シュターデによる歌曲集2枚、
チャイコフスキーのオペラ1組(3枚)、
宗教曲2枚を取り上げます。

Disc23

Disc23

ラヴェル:
 歌曲集「シェエラザード」
 5つのギリシャ民謡より
 2つのヘブライの歌
 マダガスカル島民の歌

フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1979年

Disc25

Disc25

ベルリオーズ:
 歌曲集「夏の夜」Op.7

フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
ドビュッシー:
 カンタータ「選ばれた乙女」

フレデリカ・フォン・シュターデ(Ms)
スザンヌ・メンツァー(語り)
ジョン・オリヴァー(合唱指揮)
タングルウッド音楽祭合唱団
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1983年

まずは
フレデリカ・フォン・シュターデによる
管弦楽伴奏歌曲集2枚です。
1970年から活動を開始している
シュターデは、
この2枚の録音のあたりが
絶頂期だったかと思われます。
数々の賞を受賞していた時期と
重なります。

1枚目のラヴェルの歌曲集は、
オリエントやアフリカなどを題材とした
異国情緒の漂う歌曲が集められていて、
幻想的な雰囲気が薫ってきます。
アメリカに渡った小澤は、
まさにそうした雰囲気に最適だと
考えられていたのでしょう。

2枚目のベルリオーズ「夏の夜」は、
管弦楽伴奏付き歌曲集の
先駆けともいえる作品です。
併録されている
ドビュッシーのカンタータは、
独唱・語り・合唱が魅惑的な世界を
創り上げている作品です。

どちらもシュターデの
圧倒的な表現力に心を打たれます。
そして小澤とボストン響の伴奏が、
見事にシュターデを盛り上げています。
前回も書きましたが、
小澤はやはりソリストに
合わせるのがうまいのでしょう。

Disc29-31

Disc29-31

チャイコフスキー:
 歌劇「スペードの女王」全曲

ミレッラ・フレーニ(S/リーザ)
ヴラジーミル・アトラントフ
 (T/ゲルマン)
ドミトリー・ホロストフスキー
 (Br/エレツキー公爵)
モーリン・フォレスター(Ms/伯爵夫人)
セルゲイ・レイフェルクス
 (Br/トムスキー伯爵)他
タングルウッド音楽祭合唱団
アメリカ少年合唱団
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1991年

小澤BOX唯一のオペラです
(小澤はオペラのほとんどを
ドイツ・グラモフォンとフィリップスに
入れているため)。
チャイコフスキーの「スペードの女王」は
音盤が少なく、貴重です。
ゲルギエフが指揮した盤と
甲乙つけがたい名盤だと感じます。

Disc35

Disc35

ベルリオーズ:
 レクィエム Op.5

ヴィンソン・コール(T)
ジョン・オリヴァー(合唱指揮)
タングルウッド音楽祭合唱団
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1993年

Disc36

Disc36

フォーレ:
 レクィエム Op.48

バーバラ・ボニー(S)
ホーカン・ハーゲゴール(Br)
ジョン・オリヴァー(合唱指揮)
タングルウッド音楽祭合唱団
ボストン交響楽団
小澤征爾(指揮)
録音:1994年
フォーレ:
 愛の歌 Op.27-1
 あけぼの Op.39-1
 歌う妖精 Op.27-2
 秘密 Op.23-3
 われらの愛 Op.23-2
 ネル Op.18-1
 旅人 Op.18-2
 漁師の歌 Op.4-1
 歌曲集「ある一日の詩」Op.21
  (出会い/永久に/別れ)
 捨てられた花 Op.39-2
 ひそやかに Op.58-2
  (歌曲集「ヴェネツィア」より)

バーバラ・ボニー(S)
ホーカン・ハーゲゴール(Br)
ウォーレン・ジョーンズ(p)
録音:
1994年、1995年

宗教曲2枚は、20年以上前に
音盤が発売された段階で
すでに購入して何度も味わっています。
ベルリオーズの「レクイエム」は、
混声四部合唱とテノール独唱、
8対のティンパニを含む管弦楽に、
金管別働隊アンサンブル4組を要する
大規模な作品です。
小澤は熱くなりすぎることなく、
正統的な解釈できっちりと
音をまとめ上げています。
それでいてクライマックスの
オーケストラの音響と、
静謐な無伴奏合唱の両方を
上手に仕上げているあたりが
小澤の巧みさといえるでしょう。
フォーレの「レクイエム」は、
上質な絹織物のような
気品ある演奏となっています。
まったく混じりっけのない
小澤の正攻法的な指揮と、
タングルウッド音楽祭合唱団の
澄み切った合唱が、
無類の音楽世界を創り上げています。

Ozawa-BOX

小澤征爾は、こんなにも
力のある指揮者だったのかと、
改めて納得させられる音盤ばかりです。
このBOXは魅力的です。
ワーナーから出されている小澤BOXは
購入しましたが、
グラモフォンのBOXは
買い逃してしまいました。
グラモフォン、デッカ、フィリップスの
小澤録音全集BOXの登場を
心待ちにしたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。

〔関連記事:小澤BOX〕

〔小澤征爾の音盤はいかが〕

(2023.11.5)

【今日のさらにお薦め3作品】

【こんな音盤はいかがですか】

コメントを残す