ファッコ「和声復興への考察」を聴く

えっ、これってヴィヴァルディじゃないんですか!?

えっ、これって
ヴィヴァルディじゃないんですか!?と、
思わず呟いてしまいます。
ファッコという作曲家の
協奏曲を集めた一枚ですが、
聴いた感じはヴィヴァルディです。
つまり「いかにもバロック音楽」といった
趣なのです。
ヴィヴァルディ好きなら
絶対好きになれる作曲家です。

DHM-BOX 1

BOX1 Disc18
ファッコ「和声復興への考察」

BOX1 Disc18

ファッコ:
 協奏曲集Op.1
  「和声復興への考察」(全6曲)
ヴィヴァルディ:
 弦楽のための協奏曲ト短調 RV.157

フェデリコ・グリエルモ(vn&指揮)
ラルテ・デ・ラルコ

そもそも
ジャコモ・ファッコなる作曲家は、
1676年に生まれ、
1753年に没しているイタリアの
作曲家兼ヴァイオリニストです。
ヴィヴァルディが1678年生まれ、
1741年没ですから、
ファッコの方が二つ年上とはいえ、
ほぼ同じ世代であり、
活躍した時期も重なるはずです。

1676 Facco

協奏曲集「和声復興への考察」は、
1716年、ファッコ40歳の
最も脂ののった時期に書かれたであろう
作品です。
ここに収められている協奏曲は、
すべて急・緩・急の
三楽章構成となっています。
これは一世代前の作曲家
ジュゼッペ・トレッリ(1658ー1709)が
創りだした形式によるものであり、
それをヴィヴァルディが定型化し、
協奏曲の「ひな形」として位置づける
役割を果たしたといわれています。
同時期のファッコの作品もまた
その形式に
沿ったものであるということは、
(ヴィヴァルディが定型化したと
いうよりも)当時すでに
広く定着していた可能性があります。

作品がそうなのか、
演奏の素晴らしさが
そう聴こえさせるのか、
判断が付きませんが、
両端楽章の駆け抜けるような疾走感と、
第二楽章のしみじみとした感触の
コントラストが鮮やかであり、
6曲とも非常にエッジの効いた、
切れ味の良い音楽が展開していきます。
バロック音楽を聴く喜びを
感じさせます。

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最後にヴィヴァルディの協奏曲が
1曲だけ収められています。
これが制作者のどのような意図で
収録されたのかは分かりません
(おそらくオリジナル版の解説には
書かれてあるのでしょうが)。
しかし、一通り聴き終えると、
どこからヴィヴァルディが始まったのか
気づかなかったくらいです。
全く名前の知られていない
ファッコですが、ヴィヴァルディに
勝るとも劣らない作曲家であることは
確かです。

一説には、
「和声復興への考察」の完成前に、
すでにヴィヴァルディの
「調和の霊感」op.3が
広く知れ渡ってしまった関係で、
注目度が低くなってしまったことが
不運につながった
可能性があるとのことでした。
何事も「運」と「タイミング」は重要です。

また、古典派以前の作曲家の
ほぼすべてがそうであるように、
ファッコもヴィヴァルディも一時、
世の中から完全に忘れ去られました。
ヴィヴァルディ作品が
1926年に大量に発見され、
その音楽史上の重要性が
再認識されたのに対し、
ファッコは1962年になって
ようやく発掘されたのです。
しかも作品の多くは未発見
(消失したらしい)であり、
その評価は全く定まっていません。

しかし近年、
少しずつ作品が掘り起こされ、音盤が
出始めているのは嬉しい限りです。
こうした盤に触れ、
人間が作り出した音楽の世界の広さを
感じ取ることも、
音盤を聴く愉しみの一つです。
やはり、音盤は愉し、です。

〔ファッコ作品の音盤〕
協奏曲集Op.1「和声復興への考察」は
本番収録の6曲だけでなく、
全12曲あるようです。
本番の続編とでもいうべき6曲を
フェデリコ・グリエルモは
別レーベルに録音していました。
しかも本番収録のわずか半年後です。

同一団体による全12曲録音は、
ミゲル・ローレンス指揮
メキシコ・バロック管による2枚が
あります。

(2023.9.17)

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