キーンツルの「エヴァンゲリマン」を聴く

聴いて驚き、まるでワーグナー

10年くらい前に中古で購入し、
2,3回聴いてそのままCD棚の奥底に
潜んでしまった音盤を、
発掘して聴いています。
結構愉しめて、
新しくCDを買わなくても
いいくらいです。
この前見つけて何度も繰り返して
聴いているのが本盤です。
Kienzl。
なんと読むのかも忘れていました。
キーンツルでした。

キーンツル:
歌劇「エヴァンゲリマン」

キーンツル:歌劇「エヴァンゲリマン」

キーンツル:
 歌劇「エヴァンゲリマン」Op.45

フリードリヒ・エンゲル
 クルト・モル(Bs)
マルタ(エンゲルの姪)
 ヘレン・ドーナト(S)
マグダレーナ(マルタの友人)
 オルトルン・ヴェンケル(A)
ヨハネス・フロイトホーファー
 ローランド・ヘルマン(Br)
マティアス・フロイトホーファー
 ジークフリート・イェルザレム(T)
セイバー・ジッターバート
 フリードリヒ・レンツ(T)
アントン・シュナパウフ
 クラウス・ヒルテ(Br)
フリードリヒ・アイブラー
 テオドール・ニコライ(Bs)
アイブラーの妻
 グトルン・グラインドル=レスナー(S)
フラウ・フーバー
 エリカ・リュッゲベルク(S)
農夫の少年ハンス
 マルティン・フィンケ(T)
テルツ少年合唱団
バイエルン放送合唱団
ミュンヘン放送交響楽団
ローター・ツァグロセク(指揮)
録音:1980年

聴いて驚き、まるでワーグナーです。
ワーグナー特有の無限旋律の形で
音楽が進行していきます。
ワーグナー以外にもこんなオペラを
書いていた作曲家がいたなんて。
ヴィルヘルム・キーンツル
1857年生まれの
オーストリアの作曲家ですから、
ワーグナーと関わりがあっても
不思議でありません。
Wikipediaをチェックしたのですが、
ワーグナーとの関係については
記されていません。
もしかしたら弟子!?

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ただし、ワーグナー風のスタイルを
徹底できていないのが残念でもあり、
面白いところでもあります
(最初から最後まで
ワーグナー的であれば、単なる
パクリに過ぎないでしょうから)。
第1幕後半部には、
ワーグナーからちょっと離れて
オペレッタ風というか、レハールの
「メリー・ウィドウ」っぽさというか、
そんな部分も聴き取れるのです。
一体どんな筋書きなのか?

これまで見知らぬオペラも、
歌を愉しむという姿勢で
聴いてきたのですが、
このオペラだけは物語を
知りたくなって調べてみました。

第1幕(1820年)
教会の書記マティアスは、
教主フリードリヒ・エンゲルの姪・
マルタに恋をする。
マティアスの兄ヨハネスは
横恋慕と嫉妬の末、
弟に対して陰謀を企て、
教主にマルタと弟の恋愛を密告する。
教主はマティアスを解任し、
教会から追放する。
ヨハネスはマルタに言い寄るが、
袖にされる。
彼の嫉妬は盲目的な憎しみに変わり、
教会に火を放つ。
しかし、容疑者として逮捕されたのは
ヨハネスではなく、マティアスだった。

第2幕(1850)
マティアスは20年の刑に服し、
エヴァンゲリマン(巡回説教者)として
国中を旅する。
マルタはマティアスの投獄後に、
絶望して命を落としていた。
一方、ヨハネスは不正な手段で
金持ちとなっていたが、
重篤な病に伏していた。
そのヨハネスの面倒をみていたのが
マグダレーナだった。
彼女はヨハネスが
何に苦しんでいるのか判らず、
エヴァンゲリマン・マティアスに、
死の床にある病人を慰めてくれるよう
持ちかける。
ヨハネスは弟と気づかず、
過去の大罪を告白。
マティアスは激しい葛藤に苛まれるが、
ついにはヨハネスを許す。
ヨハネスは安らかに息を引き取る。

なかなかに重苦しい筋書きです。
音楽や歌が
どの場面に対応しているのか、
もはや想像するしかない
状態なのですが、
やはり歌を愉しむというスタンスで
聴き通せば、
しっかりと愉しむことができます。
何しろ80年代のワーグナー歌手が
そこここに鏤められているのですから。

主役のイェルザレムは
堅実な歌唱スタイルで、
伸びのある歌声を響かせています。
後のワーグナー作品での好調ぶりを
予感させる出来映えだと感じます。
長身の美男ですので、
さぞかし舞台では映えたことでしょう。
ヘレン・ドーナトも
素敵な美声を披露しています。
この人は必ずしもワーグナーが
レパートリーの主ではないのですが、
ここでもいい味を出しています。

素敵なのは第2幕に登場する
テルツ少年合唱団の歌声です。
無垢な少年たちの歌声が、
この重苦しい筋書きに、
一筋の救いをもたらしています。
数ある少年合唱団の中でも、
このテルツ少年合唱団は
こうした宗教色の強い音楽や物語に、
なぜかしっくりと収まるのです。

1857 Kienzl

本作品「Der Evangelimann」は、
我が国では「宣教師」や「福音の人」などと
訳されることが多いのですが、
下手に邦訳せず、ここは
発音そのままに「エヴァンゲリマン」が
もっとも適しているのではないかと
思われます。

1980年という、比較的新しい録音
(デジタル)なのですが、
ジャケットはかつてのEMI独特の
赤色プラスチックケースの
レトロな味わいで
何ともいえない雰囲気が漂っています。
10年前に買ったときは何気なく
聴き過ごしてしまったのですが、
今聴き直すと、
素敵な音楽世界が広がっています。
はっきりとは分かりませんが、
この作品の完全収録盤は、
CDでは本録音、
そのほかは映像がDVDで一つ、
出ているだけのようです。

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あとは抜粋盤が2つ見つかります。

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なかなかにマニアックで
貴重な音盤なのでした。
やはり、音盤は愉し、です。

〔キーンツルのその他の作品について〕
オペラ以外の作品も、
音盤はあまり出ていません。
歌曲集がいくつか見当たります。

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劇音楽「ドン・キホーテ」も
面白そうです。

弦楽四重奏も
聴いてみたいと思っています。

このオペラを聴く限りは、
もっと評価されて良い
作曲家だと思うのですが、
音盤の少なさはどうしたことか?
謎です。

(2023.2.26)

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