でも、そこにしっかりと「バッハの音楽」が
はじめに断っておきます。
本盤は純粋なクラシック音楽の
CDではありません。
ジャンルとしては
クロスオーバーといった
ところでしょうか。
再生ボタンを押すとびっくり、
ビートの効いたダンス・ミュージックが
流れてきます。
ララ・セント・ジョン
「re:Bach」
J.S.バッハ:
Goldberg2
Largo
Tocceilidh
Duetto
Echo
The Sicilian
Bombay Minor
Recit
Aria
Fugue
Double
Gigue
Prelude
Ten Fifty Two
Badinerie
男性ボーカルあり、エレキギターあり、
ドラムあり、シンセサイザーあり、
かなりポップなアルバムなのですが、
ララ・セント・ジョンのヴァイオリンが
確かにバッハを奏でています。
1曲目「Goldberg2」は、さすがに
「どこがバッハ?」という感じですが、
2曲目「Largo」では、ララの奏でる旋律に
ベースやドラムスが加わり、
バッハを彩っていきます。
3曲目「Tocceilidh」などは
ジプシー・ミュージック風、
4曲目「Duetto」は軽快な
ムード・ミュージックといったあたり、
5曲目「Echo」は宇宙を感じさせるような
不思議な雰囲気、
6曲目「The Sicilian」は
シンセサイザーとドラムスを背景に
ララのヴァイオリンが
悲哀のこもった旋律を奏で、
7曲目「Bombay Minor」は
ララのソロにパーカッションが絡み、
民族音楽風な仕上がりです。と、
このように、次から次へと、
予想もつかない展開を見せる
アルバムです。
でも、そこにしっかりと
「バッハの音楽」が
息づいているのですから素敵です。
バッハの音楽をこのように
アレンジする試みは
決して新しいものではありません。
ジャズにもいくつか見られます。
それだけバッハの音楽は
懐が深いということなのでしょう。
2003年リリースですから、
すでに20年近くが
経過しようとしています。
それでも折に触れて
聴いてみたくなるような
不思議な引力を持った録音です。
それにしても、ララ・セント・ジョンは
面白い演奏家です。
1996年に
衝撃的なジャケットのアルバム、
それもバッハの無伴奏で、
デビューして以来、
「お色気」を前面に出す
「色物演奏家」かと思えばさにあらず、
実力は十分伴っている、
自己顕示欲旺盛かと思えば、
リリースするアルバムは
決して多くない
(録音運に恵まれないからか?)、
なかなか捉えどころがありません。
ここ数年、
アルバム発表のないララなのですが、
どうやら活動の場を
YouTubeに移しているようです。
魅力的な動画を
いくつも公開しています。
一瞬、驚きましたが、
下着姿で踊っているのは
ララではありません。
クリスマスも近づきましたので、
こんな動画はいかがでしょうか。
現在のララは、
本盤のジャケット写真から
かなり変貌していますが、
彼女のヴァイオリンは
輝きを失っていません。これからも
注目していきたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。
〔ララ・セント・ジョンのCD〕
※2022年9月リリースのアルバムです。
ストリーミングのみの公開です。
CDとしては発売されていないのかも
知れません。
(2022.11.27)
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