知られざる作曲家・サンドーニ

古学は常に作曲家が発掘されている

古楽のBOX「vivarte-BOX」
「DHM-BOX」の計4箱220枚を
愉しんでいますが、
そこに収録されていないものも
聴いてみたいと思い、
手を伸ばし始めています。
でも、
何を買えばいいか迷うばかりです。
そこで「ジャケ買い」。
「ジャケ買い」といっても
いつもの美人お姉さんの写っている
CDというわけではありません。
美しいジャケットの盤を選びました。
それが本盤です。

サンドーニ:
カンタータと器楽作品集

サンドーニ「カンタータと器楽作品集」

サンドーニ:
 カンタータ
  「辛いことを私に告げてください」
 チェンバロのための
  プレリュード イ短調
 チェンバロのレッスンのための
  6つのセット~チャッコーナ イ短調
 12の調和した花の冠~
  ソナタ第7番ホ短調
 カンタータ
  「誰が愛するつもりですか」
 チェンバロのレッスン~組曲
 チェンバロのレッスン
  ~フォリア(23の変奏曲)
 カンタータ「嫉妬深い心に恐れよ」

フランチェスカ・アスプロモンテ(S)
ラ・フロリディアーナ
ニコレッタ・パラシヴェスク
 (指揮・cemb)
録音時期:2021年

よく分からないまま購入したのですが、
かなりマニアックな
盤であることがわかりました。
作曲家ピエル・ジュゼッペ・サンドーニ。
ネット検索しても
この盤の情報しか出てきません。
どうやら演奏が録音されたものは
この一枚だけのようです。

今日のオススメ!

このサンドーニ、1683年生まれの
イタリア人作曲家であり
チェンバロ奏者なのですが、
なんとあのヘンデル
助手を務めていたという実力者。
30代の頃に英国に渡り、
ヘンデルが所属した王立音楽院の
オーケストラで、
ヘンデルの助手および
チェンバリストとして活躍しました。
彼は音楽家としては成功を収めた方で、
優れた即興技術が評価され、
英国貴族界でも
指導力のある音楽教師として
名を馳せました。
発表した作品もイタリア、ドイツ、
オーストリアの劇場で高評価を博し、
当時はそれなりに有名だったようです。
私生活も充実していて、
有名なプリマドンナであった
フランチェスカ・クッツォーニと
結婚するなど、順風満帆といえる
人生を送っていたようです。

1683 Sandoni

一方で、
優れた作品であったにもかかわらず、
その多くが埋没してしまったのは
不幸としか言いようがありません。
楽譜として出版されたものが
そもそも少なかったことが
理由のようですが、だとすれば
なぜ出版社が取り上げなかったのか、
疑問はつきません。

本盤はアスプロモンテのソプラノによる
カンタータ3曲と、
チェンバロ独奏曲、および
チェンバロを軸とした室内楽で
構成されています。
チェンバロ奏者のパラシヴェスクが、
図書館の古文書資料室に
埋没したままとなっていた資料を
かき集め、それを音楽として復元し、
本盤のプログラムを
作成したものなのです。
したがって、やや統一感に欠ける
プログラムとなっていることは
致し方ありません。それよりも
これまで知られることのなかった
作曲家の音楽が、こうして一般人も
聴くことができるようになったことが
重要なのです。
古楽の世界では、常に新しい音楽が
発掘・再現されているのです。
ここに古楽の楽しみの
一つがあるといえます。

3曲のカンタータは、
気鋭の古楽系ソプラノ歌手
アスプロモンテが
表情豊かな歌唱を披露しています。
このプログラムの冒頭・中盤・終末に
配置されたこの3曲こそ、
本盤の聴きどころとなっています。
無い物ねだりとなってしまうのですが、
サンドーニのカンタータのみで
一枚分のプログラムが組めたならば、
さぞかし華やかな
アルバムとなっていたことでしょう。

それらの間を埋める
チェンバロ作品も秀逸です。
4曲からなる組曲
「チェンバロのレッスン」は、
1曲目が「プレリュード ト短調」
(J.S.バッハのBWV.837による)、
2曲目が「アルマンド ト短調」
(J.S.バッハのBWV.836による)、
そして3曲目「サラバンド ニ短調」、
4曲目「ジーグ ニ短調」など、
バッハ作品の編曲であり、
バッハの堅い音楽に
ほのかな色彩感が付加されています。
このあたりからもサンドーニの
音楽性の高さがうかがえます。

さて、このDHMレーベルですが、
本盤だけでなく、
リリースされるすべての盤の
ジャケットが素敵なデザインです。
クラシックのCDは、
「ジャケ買い」したくなるものに
ほとんどハズレがありません。
ジャケットは中身を表しているのです。
DHMレーベルに注目です。

一枚聴き終えると
十分な満足感を感じてしまいます。
サンドーニ。
素敵な音楽家に出会うことのできた
幸せを味わいました。
やはり、音盤は愉し、です。

(2022.11.13)

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