カッチーニの素敵な音楽

一人一人の心に直接はたらきかける音楽

昨年購入した
「vivarte 60CD collection」
第1集第2集計120枚には、
古学に疎かった私にとって、
初めて聴く作曲家が
数多く含まれていました。
そしてこの
「deutsche harmonia mundi BOX」
第1集第2集計100枚にも、
まだまだ私にとって
未知の作曲家の盤が存在しています。
古楽の世界はなんと広いのかと
驚かされます。
今日取り上げるのは
ジュリオ・カッチーニの作品です。

BOX1 Disc16
カッチーニ:
新しい音楽/新しい音楽の書法

BOX1 Disc16

カッチーニ:
 愛の神よ、何を待つのか?
 愛の神よ、我去りゆかん
 翼あれば
 天にもかほどの光なく
 気高き至福の光よ
 我は見ん、我が太陽を
 ひねもす涙して
 いとど優しき溜息の
 東の門より
 麗しのアマリッリ
 憐れみの心動かし
 麗しき真紅のばらよ
 この苦き涙よ
 ああ、戻り来たれ
 輝く麗しの瞳もて

モンセラート・フィゲーラス(Sp)
ジョルディ・サヴァール(gamb)
ホプキンソン・スミス(g、lute)
ロバート・クランシー(g)
クセニア・シンドラー(hp)
録音:1983年11月

カッチーニはイタリア生まれで、
生年は1550年頃とされています。
活躍した時代は、
ちょうどルネサンスからバロックへと
移り変わるその境目の辺りです。
リュート、ヴィオール、ハープなどの
弦楽器奏者であるとともに、
テノール歌手としての
名声を博していました。
作曲家としてのカッチーニは、
それまでのルネサンス音楽の主流である
多声部からなるポリフォニー音楽から
脱却し、独唱(または少人数の重唱)と
伴奏楽器による音楽の形式
「モノディ様式」を
確立したとされています。

1550c Caccini

本番に収録された15曲は、
その「モノディ様式」によって書かれた
二つの曲集
「新しい音楽 Le nuove musiche」
(10曲のアリア、12の単声マドリガル)、
「新しい音楽と新しい表現法
 Nuove musiche e nuova
 maniera di scrìvere」
(29のアリアと単声マドリガル)から
抜粋されたものです。
全曲ガンバやギター、
リュート等の伴奏による
ソプラノ独唱の曲で占められています。

ルネサンス期における
教会でのポリフォニーが、
そこに集うもの全体に対する
語りかけの音楽であるとするならば、
この「モノディ様式」は、
民衆一人一人の心に直接はたらきかける
音楽であるといえるでしょう。
それは人間の持つ様々な喜怒哀楽を、
より自由度の高い音楽形式で
表現するものであり、
これこそがルネサンス音楽から
バロックへの転換点と
考えることができます。

さて、本盤に収録されている
モンセラート・フィゲーラスの
ソプラノは、
美しく透き通った声であり、
まさにこうした曲集に最適の歌唱です。
本盤には歌詞対訳がないため、
内容は理解できないものの、
彼女の技巧と表現力からは、
その曲に込められた感情が
十分に伝わってきます。
2011年に惜しまれながら亡くなった
フィゲーラスですが、
本盤の優秀な録音は、
彼女の素敵な歌の魅力を
完璧に捕らえきっています。

また一つ、新しい音楽
(古い時代のものなのですが)に
出会うことができました。
やはり、音盤は愉し、です。

〔カッチーニ作品のCDについて〕
本盤と似たような構成のCDに、
シャノン・マーサーのソプラノの
盤があります。

また、ロベルト・バルコーニのテナーの
盤も見つかります。

カッチーニは最初期のオペラを
創り上げた作曲家としても有名です
(私は知りませんでしたが)。
その作品「エウリディーチェ」のCDが
いくつかリリースされています。

(2022.10.15)

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