ドゥランテ、アストルガ、ペルゴレージの素敵な一枚
昨年「vivarte 60CD collection」を
購入し、
古学の楽しみを知ってしまいました。
120枚すべてを当サイトで取り上げ、
先週、完結しました。
これで終わってはもったいないと思い、
同じSONYグループから出ている
「deutsche harmonia mundi BOX」の
第1集(50枚)第2集(50枚)、
計100枚も購入してしまいました。
今日はその第1集のCD1。
1枚目から知らない作曲家の、
素敵な音楽を愉しむことができました。
3人の作曲家の
宗教曲が収められています。
BOX1 Disc1
Magnificat / Stabat Mater
ドゥランテ:
マニフィカト 変ロ長調
アストルガ:
スターバト・マーテル
ペルゴレージ:
「主よ、あなたに告白します」
トーマス・ヘンゲルブロック(指揮)
フライブルク・バロック・オーケストラ
バルタザール=ノイマン合唱団
録音:1995年
一人目のフランチェスコ・ドゥランテは、
1684年生まれのイタリアの作曲家です。
後期バロックに位置づけられ、
作品のほぼすべてが宗教曲であり、
舞台音楽の創作はありません。
ヘンデルよりもバッハに近いイメージの
作曲家といえると思います。
そのドゥランテの「マニフィカト」、
軽快な弦楽合奏の伴奏から始まります。
祝祭的な明るい雰囲気の音楽が、
聴き手の心を、まずは和ませます。
そして女声合唱と男声合唱が
掛け合いながら
美しい響きを展開していきます。
終幕も華やかであり、
このシリーズのオープニングとしては
申し分ない曲とその演奏です。
二人目の
エマヌエーレ・アストルガもまた、
バッハと同時代の作曲家で、
1680年にドゥランテと同じく
イタリアに生まれました。
経歴については
不明な点の多い作曲家であり、
遺された作品も限定的のようです。
HMVやAmazonで検索しても
CDは容易にヒットしません。
さて、アストルガの
「スターバト・マーテル」ですが、
一曲目のドゥランテとは
打って変わって、
悲壮感のそこはかとなく漂う
哀しみに満ちた雰囲気から開始します。
途中から明るさが加わり、
次第に華やかになるのですが、
小編成ながらも厳粛な曲調が続きます。
三人目のペルゴレージだけは
名前を知っていました
(曲は聴いたことがなかったのですが)。
やはりイタリアの作曲家であり、
前に記した二人とは
やや遅れた1710年生まれです。
ドゥランテとアストルガが
宗教音楽専門ということで
「バッハ」的であるならば、
オペラを得意としたペルゴレージは
「ヘンデル」的と言っていいでしょう。
ただし、ここに取り上げられているのは
宗教曲です。
「主よ、あなたに告白します」は、
テンポの速い弦楽合奏と
張りのある合唱から
音楽がスタートします。
宗教曲ではあるものの、
オペラティックであり、
ヘンデルのオペラが始まるような
感覚を覚えました。
バッハと同時代の、
イタリア生まれの作曲家の宗教曲を
並べたのでしょうが、
バッハほど音楽は厚くなく、小編成で
こざっぱりした印象を受けます。
まるでバッハとヘンデルの
架け橋といった趣があります。
後期バロックの両雄たる
バッハとヘンデルの間には、
こうした作曲家たちが
素敵な音楽を創り上げていたのだと
いうことを思い知らされる一枚です。
まだまだ音楽の森は
広くて深いものであることを
認識させられました。
やはり、音盤は愉し、です。
(2022.10.1)
【ドゥランテ作品を収録したCD】
【アストルガ作品を収録したCD】
【ペルゴレージのCD】
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