ウィーン時代のモーツァルト・ピアノ作品集

インマゼールのフォルテピアノが描き出すモーツァルト像

古楽器演奏を集めたBOX
「vivarte 60CD collection」
第1集第2集計120枚を
すべて丹念に聴いてみようと思い、
毎週取り上げてきましたが、
本盤ですべて完了します。
最後を締めくくるのはインマゼールの
フォルテピアノ演奏による
モーツァルトのピアノ作品集です。
これがまた素敵な2枚組です。

ウィーン時代の
モーツァルト・ピアノ作品集

BOXⅡ Disc33
モーツァルト:
 ピアノ・ソナタ第14番ハ短調 K.457
 幻想曲 ハ短調 K.475
 メヌエット ニ長調 K.355(K.576B)
 ロンド ニ長調 K.485
 ピアノ・ソナタ第18番
  ヘ長調 K.533/494
 幻想曲 ニ短調 K.397

BOXⅡ Disc34
モーツァルト:
 ロンド イ短調 K.511
 ピアノ・ソナタ第15番ハ長調 K.545
 アダージョ ロ短調 K.540
 ピアノ・ソナタ第16番変ロ長調 K.570
 ピアノ・ソナタ第17番ニ長調 K.576
 幻想曲 ハ短調 K.396

ジョス・ヴァン・インマゼール(fp)
録音:1996年

ここでインマゼールが弾いているのは
フォルテピアノです。
音色はモダンピアノとは大きく異なり、
どちらかというと
チェンバロに近いものがあります。
一方で、モダンピアノと同様に、
奏者の打鍵によって音の強弱に
変化を付けることが
できるようになっています。
一台一台で特徴があり、
音域ごとに異なる音色を持つ場合が
多いようです。
本盤でのフォルテピアノは、
それは大きく目立ちませんが、
やはり低音域はモダンピアノに近い
優雅な音色であり、
高音域ではチェンバロに近い
きらめくような
明るい音色となっています。

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インマゼールが演奏した盤は、
モーツァルトのピアノ協奏曲全集
ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集
ヴァイオリン・ソナタ全集、
チェロ・ソナタ全集
シューベルトの室内楽作品等を
所有し、聴いています。
そのいずれもが
フォルテピアノによる演奏であり、
モダンピアノにはない
軽快さと刺激性に満ちています。
本盤もまたしかりであり、
リリー・クラウスやピリシュ、
ラローチャや内田光子のモーツァルトを
聴き慣れてしまった私の耳には、
かなり新鮮に聴こえてきます。

モーツァルトの楽曲では
長調の曲の方が、
フォルテピアノの特質上、
表現の可能性が広がるのでしょう。
K.545での音の粒立ち、
一音一音がはっきりと
聴き取れることによる効果は
大きいといえます。
その楽曲の構造が
手に取るように見えてくるからです。
インマゼールはことさらに
技巧を披露するのではなく、
曲を深く彫り込むことに
徹しているように思えます。
それによってモーツァルトの
創り上げた造形美が
十全に表現され尽くしているのです。

その一方で、
それぞれの盤の冒頭の一曲、
K.457とK.511のように、
短調の曲もその叙情性が強調され、
心に響く
素敵な音楽に仕上がっています。
特にK.457は、
モーツァルトのピアノ・ソナタ中では
K.310とともに2曲だけしかない
短調の作品です。
激しい展開を持つ曲なのですが、
感情を抑制しながらも
明晰に弾ききっています。

モダンピアノのモーツァルトは、
宮廷で優雅に生活するモーツァルトを
思い浮かべてしまうのですが、
モダン楽器こそ、
天才モーツァルトの人物像を
的確に描き出しているように
思えてなりません。
どちらがいいかではなく、
どちらもいいのです。
両方しっかり愉しみましょう。
やはり、音盤は愉し、です。

(2022.9.10)

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