穏やかなのに「はっとする」一枚
古楽演奏を集めた宝石箱ともいえる
「vivarte 60CD collection」の中で、
最も楽しく聴ける一枚が本盤でしょう。
管楽アンサンブルが奏でる
「フィガロ」と「セヴィリャ」が、
素敵に響き渡ります。
ハルモニームジーク集
モッツァフィアート
モーツァルト:
歌劇「フィガロの結婚」による
ハルモニームジーク
ロッシーニ:
ハルモニームジーク(五重奏曲)
ロッシーニ:
歌劇「セヴィリャの理髪師」による
ハルモニームジーク
モッツァフィアート
チャールズ・ナイデック(cl)
大島文子(cl)
デニス・ゴッドバーン(fg)
Michael O’donovan(fg)
ウィリアム・パーヴィス(hrn)
スチュワート・ローズ(hrn)
Marji Danilow(cb)
そもそもハルモニームジークとは何か?
これは18世紀後半から
19世紀前半にかけて流行した
管楽合奏の形態のことです。
ハルモニームジークは
食事や催事の際の伴奏音楽として
用いられていました。
当時人気のあったオペラからの編曲が
中心でしたが、
オリジナル作品も多かったようです。
本盤の場合、
1曲目と3曲目がオペラの編曲版です。
「フィガロ」は
[Georg Sartorius](日本語表記は不明、
検索できなかった)なる
音楽家の手による編曲、
「セヴィリャ」は
ヴェンツェル・セドラク編曲と
なっています。
また、2曲目のロッシーニは
オリジナル曲です。
演奏している管楽アンサンブルの
モッツァフィアートですが、
そのイタリア語の意味は「はっとする」。
確かに、管楽の穏やかで
ほのぼのとした演奏の中に、
「はっとさせられる」表現が
随所に現れてきます。
中心となっているクラリネット奏者
チャールズ・ナイデックは、
このvivarte-BOXにいくつも録音が
収録されている演奏家です。
柔らかく伸びやかな音色は、
聴く者を魅了します
(なお、もう一人の日本人
クラリネット奏者・大島文子は、
ナイデックの奥様)。
これまで管楽アンサンブルに
あまり魅力を感じていなかった
(どうもピアノや弦楽器が入らないと
クラシック音楽らしく
感じられない)のですが、
このモッツァフィアートの録音に接し、
管楽アンサンブルの魅力に
気づくことができました。
残念なことに、
vivarte-BOX第1集第2集全120枚中
モッツァフィアートの録音は本盤だけ
(ラルキブデッリとの共演が
1枚あるが)なのですが、
収録されなかった盤が
いくつかあります。
中古で見つけていきたいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。
(2022.8.13)
※続編もあります。
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