坂本龍一「戦場のメリークリスマス」を聴く

音楽の形は決して一つではない

ベートーヴェンモーツァルト
ショパンドビュッシー
ピアノ音楽が好きで
よく聴いているのですが、
それらと同じくらいの頻度で
手を伸ばしてしまう一枚が、
この坂本龍一のピアノ曲集です。
20年くらい前に
出されたアルバムですが、
いつ聴いても
新鮮な響きを味わうことが出来ます。

坂本龍一 FILM MUSIC

坂本龍一:
 A Tribute To N.J.P.
 Merry Christmas Mr Lawrence
 The Fight
 The Sheltering Sky Theme
 M.A.Y. in The Backyard
 Ex-Jazz
 1919
 The Last Emperor
 Grasshoppers
 High Heels (Main Theme)
 Kisses
 Tacones Lojanos
 Plaza
 A Flower Is Not A Flower
 Distant Echo
 Parolibre

岡城千歳(p)
録音:2000年

2曲目の
「Merry Christmas Mr Lawrence」、
8曲目「The Last Emperor」、
9曲目「Grasshoppers」など、
心にじわじわと染み込んでくるような
メロディに魅了され続けます。
至福の一時間を過ごすことのできる
一枚です。

それにしても今の若い方は
坂本龍一と聞いて
ピンとくるのでしょうか。
私の世代であれば、
かつて一世を風靡したYMO
(イエロー・マジック・オーケストラ:
テクノ・ポップという音楽ジャンルを
知っていますか?)、
そして映画「戦場のメリークリスマス」
(大島渚監督:デビット・ボーイ主演:
坂本龍一・ビートたけし出演の、
今考えるとものすごい映画だった)、
なぜか流行した
CM音楽「エナジー・フロー」と、
1980年代から2000年までの
サブ・カルチャーを代表する存在です。
そのためどうしても
旋律の持つ前衛的な新鮮さとともに、
ある種のノスタルジーを感じて
やまない音楽となっているのです。

ピアニスト・岡城千歳の弾く
坂本龍一シリーズは
現在まで4つ出されていて、
本盤は第2作にあたります。
岡城の技巧は見事であり、
坂本自身が「僕より数段うまい」と
語った逸話通りといえるでしょう。
柔らかでなめらかなタッチから
展開されるピアノは、
坂本龍一の音楽の本質を捉えています。

さて、
本盤に収録されている曲の中でも、
私は「戦場のメリークリスマス」が
特に気に入っています。
購入してから何度繰り返したことか。
かつてのLPレコードであれば
とっくにすり切れていたはずです。
私にとっては
「戦場のメリークリスマス」は
この演奏以外ないと感じるほどです
(他の演奏を所有していないし、
聴く機会がなかったから
当然なのですが)。

ところが、最近YouTubeで、素人
(とは思えないくらいすごい!)による
素敵な演奏を見つけました。
元自衛官のサラリーマンという
「ヒビキ」さんの演奏です。

ストリートピアノというのでしょうか、
どこかの
コミュニティ・スペースのような
ホールに置かれたピアノで、
さりげなく演奏している様子を収めた
動画なのですが、その演奏がまるで
祈りに満ちているかのような
静謐さをたたえているのです。
おそらく楽譜通りには
弾いていないのでしょう。
自分の考えるテンポと表現で、
自由に弾き切っているのだと感じます。
もしかしたらアレンジも
施している可能性もあります
(私の耳では判断できないのですが)。
2022年5月段階で
300万回再生を超え、
フォロワーも14万人以上というのも
うなずけます。

音楽の形は
決して一つではないということが
よく解ります。
岡城千歳のピアノも素晴らしいし、
ヒビキ氏の弾くピアノも素敵です。
音楽はかくも「愉しい」のです。

(2022.5.15)

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