ゴンベール:カール5世宮廷の音楽

ウエルガス・アンサンブルの一糸乱れぬ完璧な合唱

ニコラ・ゴンベール
これまで名前すら知りませんでした。
知らない作曲家のCDを購入するのには
勇気がいります。
その点、「vivarte 60CD collection」は
素敵です。
多くの「知らない」作曲家たちと
巡り会うことができました。
本盤もそうした一枚です。

ゴンベール「カール5世宮廷の音楽」

ゴンベール:
 天の女王、喜びませ
  (12声のアンティフォナ)
 主よ、われらは御身に期待し奉りぬ
  (6声のモテトゥス)
 生涯の真中で(6声のモテトゥス)
 すべての悲しみよ(6声のシャンソン)
 私は愛する者たちに、
  いとまごいをする
  (8声のシャンソン)
 第2旋法によるマニフィカト
 復活節のミサ曲 (6声のミサ曲)

パウル・ファン・ネーヴェル(指揮)
ウエルガス・アンサンブル

ゴンベールは生没年すら
はっきりしていない作曲家です。
生まれはおおよそ1490~1500年頃、
没したのは1550~1560年頃と
みられています。
ルネサンス時代のフランドル楽派の
作曲家だそうです。
ジョスカン・デ・プレと
パレストリーナの間の世代では
最も有名かつ最も影響力のあった
作曲家といわれています。
ゴンベールは
晩年のジョスカン・デ・プレに
師事したのだそうで、
ジョスカン・デ・プレのポリフォニーの
作曲技術を伝承し、
さらに完成度を高めたような音楽が
聴き取れます。

さらにゴンベールは1526年に、
ローマ帝国皇帝カール5世の
宮廷礼拝堂に歌手として
採用されたという記録が残っています。
本盤に収録されている楽曲は、
作曲家としてカール5世の前で演奏した
音楽ということなのでしょう。

収録されている曲は
すべて無伴奏の合唱です。
透明感のある美しい音楽が
展開されます。
特に「マニフィカト」は
とりわけ美しく聴こえます。
演奏している
ウエルガス・アンサンブルは
一糸乱れぬ完璧な合唱を
繰り広げています。
録音の優秀さもあり、
音響空間に身を浸していると、
この上ない喜びを
感じ取ることができます。

この「vivarte 60CD collection」
第1集第2集で、
ウエルガス・アンサンブルの盤を
取り上げるのは
これで7枚目になりますが、
改めて合唱の愉しさ、
古楽の愉しさを満喫させてくれます。
やはりこのBOXは宝箱です。

(2022.1.15)

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