ラルキブデッリのモーツァルト室内楽その2

モーツァルトの喜びと悲しみが鮮烈に彩られている

宝石箱のような60枚組のCD-BOX
「vivarte 60CD collection」
その第1集に収録されている
ラルキブデッリのモーツァルト
室内楽作品CD3枚を
以前取り上げましたが、
第2集にも2枚収められています。
こちらも素敵な気分にさせてくれます。

「モーツァルト:
 行進曲集・音楽の冗談」

モーツァルト:
 行進曲ニ長調 K.445
 行進曲ヘ長調 K.248
 行進曲ニ長調 K.290
 2本の管楽器のための12の二重奏曲
  変ホ長調 K.487より
 ホルン五重奏曲変ホ長調 K.407
 2本の管楽器のための12の二重奏曲
  K.487より
 音楽の冗談 K.522
 ディヴェルティメント(断章)ヘ長調
  K.288よりアレグロ
 ディヴェルティメント ニ長調
  K.246b(K.320b)

アブ・コスター(Hr)
クヌート・ハッセルマン(Hr)
ラルキブデッリ
 ヴェラ・ベス(vn)
 ルシー・ファン・ダール(vn・va)
 ユルゲン・クスマウル(va)
 アンナー・ビルスマ(vc)
 アンソニー・ウッドロウ(b)
録音:1990年

1枚目の「行進曲・音楽の冗談」は、
やはりモーツァルトらしく
愉しめる曲ばかりです。
ホルンが活躍する曲が
収められているのですが、
アブ・コスターと
クヌート・ハッセルマンの吹く
ナチュラル・ホルンが
いい味を出しています。

中でも音楽の冗談 K.522は秀逸です。
それこそ冗談のような音楽を、
古楽器で颯爽と、そして
一音一音を明晰に演奏しています。
ラルキブデッリの名手たちの
真面目で一流の演奏が、
この曲の面白さを際だたせています。
同時代の下手な演奏家や稚拙な作曲家を
からかうために作曲されたとも
いわれている曲です。
曲の背後に見えるモーツァルトの
諧謔的精神が
十分に反映された演奏といえます。

「モーツァルト:弦楽五重奏曲」

モーツァルト:
 弦楽五重奏曲第3番ハ長調 K.515
 弦楽五重奏曲第4番ト短調 K.516

ラルキブデッリ
 ヴェラ・ベス(vn)
 ルシー・ファン・ダール(vn)
 ユルゲン・クスマウル(va)
 ヘイス・ベス(va)
 アンナー・ビルスマ(vc)
録音:1994年

2枚目の弦楽五重奏曲は、
こちらも素晴らしい演奏です。
K.515は第1楽章から
颯爽と飛ばしまくります。
他のCDと比べてみると、
この盤が最速のようです
(私の所有する盤の中では)。
速ければいいというものでは
もちろんありませんが、
この爽快感は何ともいえません。
弦楽器だけの構成は、
ともすれば地味になりがちなのですが、
まったくそうなっていません。
K.516もト短調でありながら
決して重くありません。
モーツァルトの喜びと悲しみが
鮮烈に彩られている印象を受けます。

両盤とも録音も素晴らしく、
クリアな音が
スピーカーから広がります。
モーツァルトの音楽に
どっぷりと浸ることができます。
音が良いというのは
やはり大切なことなのです。

BOX第1集の3枚と合わせて計5枚。
ラルキブデッリのモーツァルトは
最高です。

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