バッハの音楽だけがそこから響いてくる
毎週取り上げている
60枚組のCD-BOX
「vivarte 60CD collection」。
古楽器の響きを愉しんでいます。
今日はチェロなのですが、
この録音で使用されているチェロは
バロック・チェロではなく
モダンチェロ。
ストラディヴァリウス「セルヴェ」という
美しい音のチェロによる演奏です。
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 全曲
Disc1
第1番ト長調 BWV.1007
第2番ニ短調 BWV.1008
第3番ハ長調 BWV.1009
Disc2
第4番変ホ長調 BWV.1010
第5番ハ短調 BWV.1011
第6番ニ長調 BWV.1012
アンナー・ビルスマ(vc)
使用楽器:
第1番~第5番:
ストラディヴァリ「セルヴェ」
(1701年・モダン仕様)
第6番:
チェロ・ピッコロ
(1700年頃・バロック・タイプ)
録音:1992年
ビルスマの2度目の
バッハ無伴奏チェロ組曲であり、
私ごときが取り上げるまでもなく
名演中の名演であり、
多くの人に愛されている
演奏だと思います。
私もこのBOXを購入する以前から
親しんでおり、
何度も繰り返し聴いてきました。
この「セルヴェ」というチェロは、
通常のものよりやや大きめのつくりで、
それによってコントラバスに
近いような深みのある低音と
品格のある美音を
創りだしているのだそうです。
この盤の前にバロック・チェロで
この作品を録音していたビルスマが、
あえてモダン楽器で
再録音した背景には、
この「セルヴェ」との出会いが
大きく影響していたのだと
推察できます。
この曲の名盤としては
カザルスの録音があげられるのですが、
私は所有しているものの、
今ではほとんど聴きません。
音が貧しく、
鑑賞には適さないからです。
よく「演奏の奥にある精神性を
聴き取るべき」などと
いわれていますが、
私はそのような聴き方は
したくありません。
録音についても本盤は優秀です。
無音の中からチェロの音だけが
立ち現れるような
素晴らしい録音です。
バッハの音楽だけが
そこから響いてくる、
だからバッハの世界に
浸ることができるのです。
CDは、
音が良くなくてはならないのです。
もっとも私は、
このビルスマ盤だけでなく、
フルニエ盤も愛聴していますし、
ロストロポーヴィチ盤もよく聴くし、
近年のケラス盤も大好きです。
これからもバッハ無伴奏の
新しい名盤が生まれてくることを
期待しています。
(2021.6.26)
【当盤鑑賞に最適のSAKE】
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