NAXOS イタリアのドラマティック・ラメント集

音楽の立ち位置がわかればもっと愉しむことができる

古楽の世界を知りたいと思いながら、
ではどんなCDから聴けばいいのか?
まあ、いろいろ聴いていくうちに
わかってくるだろうと、かつて
当てずっぽうでいくつか手を出した
CDの一枚です。
数年前に購入し、一度聴いたきり、
棚の奥底へと追いやっていたものを
先日発掘しました。

イタリアのドラマティック・ラメント集

The Italian Dramatic Lament

モンテヴェルディ
 アリアンナの嘆き
 苦しみが甘美なものなら
ぺーリ
 泉のように、草原のように
 あなたの灯から遠くはなれて
 もしも私を置いてゆくなら
 苦痛よ、私を滅ぼせ
カプスベルガー
 スフェラッニャ(第4巻より)
 カポナ(第4巻より)
 パッサカリア(第4巻より)
カッチーニ
 私は陽をみるだろう
 麗しのアマリッリ
 愛の神よ、何故ためらうのか
ログニョーノ
 別れの時

※収録順とは異なります。
キャタクースティック・コンソート
 キャサリン・ウェブスター(S)
 マイケル・レオポルド(Theorbo)
 ベッキー・バクスター(Triple Harp)
 アンナリーサ・パッパーノ(芸術監督)
録音:2004年

演奏団体
キャタクースティック・コンソートは、
2001年に結成された
若手アンサンブルであり、メンバーは
ジャケットに写っている4人です。
3人が楽器
(テオルボ、トリプル・ハープ、
ヴィオラ・ダ・ガンバ)を担当し、
ソプラノ歌唱が入る形です。
このソプラノが清々しい限りです。
心地よい歌声が響き渡ります。

収録されている音楽「ラメント」とは、
嘆き、遺憾、哀悼を表した
詩や歌、楽曲のことです。
楽譜上ではシンプルなメロディと
伴奏の骨格だけしか
記されていないのですが、
あたかもジャズの即興のように
音楽を自由に演奏するのが特徴です。
演奏家の裁量にまかされる部分の多い
曲なのです。

収録されているのはすべて
ルネサンス終末期から
バロック初期にかけての
イタリアの作曲家たち5人の作品です。

The Italian Dramatic Lament

カッチーニ
生年が1550年頃とされています。
活躍した時代は、
ちょうどルネサンスからバロックへと
移り変わるその境目の辺りです。
リュート、ヴィオール、ハープなどの
弦楽器奏者であるとともに、
テノール歌手としての
名声を博していました。
作曲家としてのカッチーニは、
それまでのルネサンス音楽の主流である
多声部からなるポリフォニー音楽から
脱却し、独唱(または少人数の重唱)と
伴奏楽器による音楽の形式
「モノディ様式」を、ペーリとともに
確立したとされています。

そのペーリは、1561年生まれです。
1597年頃、ギリシャ神話を題材にした
「ダフネ」(Dafne)を作曲しましたが、
これが今日、オペラとみなされる
最古の作品と言われています。
台本は存在するものの
音楽は断片のみしか
伝わらなかったため、
それがどんな音楽か、
現在では知るすべはありません。
その後(1600年)に作曲された
「エウリディーチェ」(L’Euridice)は
楽譜が現存し、これが
最古のオペラ作品となっています。

1607年に作曲された
オペラ「オルフェオ」の作曲者
モンテヴェルディは、
1567年生まれです。
本番に収録された5人の中では
最も名前の知られた存在です。
「ウリッセの帰還」「ポッペーアの戴冠」に
代表される18曲のオペラ、
数多くのマドリガーレ集など、
多くの曲が現在に伝わっています。

カプスベルガー(1580)は当時、
リュートやテオルボの
ヴィルトゥオーソとして
名を馳せていました。
ドイツ貴族の父親を持つため、
ドイツ語の苗字を持つのですが、
ヴェネツィアに生まれたために
イタリア語の名で知られています。
(日本語表記としては
ドイツ語発音によるカプスベルガーと、
イタリア語のカプスペルガーが
混在しているのですが、
当サイトではドイツ語読みの方を
採用しています)。
彼は当時の最も進歩的な
リュート音楽の作曲家であり、
楽器の発展にも大きく貢献しました。

最後に残ったログニョーノは、
情報が少なく、正体不明です。
生年は1550年頃であり、
1620年頃には没していたようです。
日本語発音も統一されていないのか、
当盤では「ログニョーノ」ですが、
他のサイトでは「ロニョーノ」も
見られます。
他の録音を探してみると、
一枚だけ見つかりましたが、
それも本番の「別れの時」の一曲だけを
収めた盤であり、
もしかしたらこの曲しか
残されていないのかも知れません。

音楽の出自や身元がわからなくても、
聴いて愉しければそれでいいのです。
でも、その音楽の立ち位置がわかれば、
もっと愉しむことができます。
イタリアでオペラが胎動した頃の
5人の作曲家たちです。
次はモンテヴェルディや
カッチーニ、ペーリのオペラを
探索したいと思います。
やはり、音盤は愉し、です。

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〔モンテヴェルディのオペラ〕

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