トム・チプロ&ロリ・ライトマン

心に迫ってくる現代アメリカのオペラと歌曲

新しい音楽に
出会いたいという思いから、
Amazonの安価で売られているCDを
物色しています。
当盤も最後の一枚価格で
299円(送料込み)。
チプロとライトマンという
二人の作曲家の、
オペラと歌曲を収録しています。
よくわからないまま聴き通しましたが、
わからないまでも
心に迫ってくるものを感じます。

トム・チプロ:
 アフター・ライフ 来世

・ねえ。ねえ。ああ。ああ!誰なの?
・フェルナンド、
 あなたが私をここに連れてきたの?
・だけどピカソは彼自身で生み出した
・私はわが芸術に抵抗した
・ミス・スタイン、私は覚えています
・それはガスではなかった
・そう、多くの人が死んだの
・私は一度名前を持っていたの?
デヴィッド・メイソン(台本)台本
キャサリン・クック(Ms)
ロバート・オルト(Br)
アヴァ・パイン(S)

ロリ・ライトマン:
 In Sleep The World Is Yours
  眠りの世界はあなたのもの

・第1番 子守歌
・第2番 そうです
・第3番 悲劇
メールバウム=アイジンガー(詩)
ミーガン・チェノヴィック(S)

ミュージック・オブ・リメンブランス
ミナ・ミラー(芸術監督)

一曲目の「アフター・ライフ」ですが、
レーベルのHPを見ると、
「時と場所を越えて共鳴する
2つの魂の物語」とあります。
「2つの魂」とは
パブロ・ピカソと
ガートルード・スタイン(アメリカの
詩人で美術収集家の女性)。
20世紀初頭に活躍し、
戦争に対する批判的な考えを
表明していた二人の芸術家が、
現代に甦り、対話を行うという
コンセプトのようです。
メゾ・ソプラノがスタイン、
バリトンがピカソ、
そして少女としてのソプラノが現れ、
三重唱を奏でます。
現代音楽的な響きが続きますが、
雰囲気は次第に重くなり、
ソリスト3人の歌唱は
ところどころで
沈痛なイメージを描き出します。

「アフター・ライフ」は
テキストを「台本」としてありますので、
オペラなのでしょう(ジャケットにも
「American Opera Classics」と
あります)。
しかしオペラというよりも
連作歌曲集のようでもあります。

二曲目のライトマンの歌曲は、
ルーマニアのユダヤ人、
メールバウム=アイジンガーの
詩によるものです。
18歳でウクライナの労働収容所で
亡くなったという彼女の詩は、
言葉はわからなくとも、
ライトマンの悲しい旋律を纏い、
聴き手の心に響いてきます。

世界にはまだまだ味わうべき音楽が
数多く眠っています。
J-POPやK-POPもいいのですが、
こうした音楽にこそ
耳を傾けていきたいものです。

(2021.4.25)

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