ベートーヴェン・イヤー最大の収穫
昨年度は
ベートーヴェン・イヤーでした。
たくさんの興味ある録音が
新しく出されましたが、
再発売のものであれば以前取り上げた
BOX「ベートーヴェン再発見」と
双璧を成すのが当BOXだと考えます。
これまで発売されていた
ベートーヴェンの「ピアノ三重奏曲集」
「ヴァイオリン・ソナタ全集」
「チェロ・ソナタ全集」を
まとめてBOX化したものです。
それぞれ買いそびれていたため、
とてもありがたい思いです。
ベートーヴェン:
ピアノ三重奏曲第7番「大公」・6番、
ヴァイオリン・ソナタ全集、
チェロ・ソナタ全集
Disc1
ピアノ三重奏曲
・第6番変ホ長調op.70-2
・第7番変ロ長調op.97「大公」
メルニコフ(fp)
ファウスト(vn)
ケラス(vc)
2011年9月録音
Disc2-3
・チェロ・ソナタ全集
・モーツァルトの「魔笛」の主題による
12の変奏曲ヘ長調op66
・ヘンデルの主題による12の変奏曲
ト長調WoO.45
・モーツァルトの「魔笛」の主題による
7つの変奏曲変ホ長調WoO46
ケラス(vc)
メルニコフ(p)
2013年10月、12月録音
Disc4-6
・ヴァイオリン・ソナタ全集
ファウスト(vn)
メルニコフ(p)
2008年2006年録音
ヴァイオリン・ソナタ全集は、
すでに10年以上も経過していました。
買おう買おうと思っていながら、
4枚組の値段に躊躇していました。
もっと早く買うべきだったと
反省しています。
素晴らしいです。
ファウストの知的なアプローチ。
それをしっかり支える
メルニコフのピアノ。
奇を衒ったところは
何一つないのですが、
すべてが心に浸みてきます。
正統派のベートーヴェン演奏です。
これまで聴いてきた
クレーメル/アルゲリッチ盤は、
刺激的でしたが、
それがベートーヴェンの
望んだものなのかどうか、
「調和」という点において
疑問に感じていました。
ベートーヴェンの
ヴァイオリン・ソナタは、むしろ
「ヴァイオリンのオブリガード付き
ピアノ・ソナタ」というべき
性格を持っているため、
ピアノが伴奏の役割を
凌駕しているのですが、
メルニコフのピアノは、
「出るべきところはしっかり前に出て、
それ以外は決して出しゃばらない」と
いった趣があります。
これこそがベートーヴェンの
ヴァイオリン・ソナタの
在り方ではないかと感じた次第です。
チェロ・ソナタも、
話題になって久しく経ちました。
ベートーヴェンの
チェロ・ソナタについては、
ロストロポーヴィチ盤、
フルニエ/シュナーベル盤、
フルニエ/グルダ盤、
フルニエ/ケンプ盤、
デュプレ盤があれば十分だろうと
思っていたため、
購入を見合わせていました。
とんでもありませんでした。
ケラスのヴィブラートを押さえた
響きの清新さ、
メルニコフの正確無比な伴奏、
やはり新しい演奏には
それなりの発見と価値があります。
バッハの「無伴奏チェロ組曲」で
ケラスの実力は知っていたのですが、
ベートーヴェンでまさかこれほどの
演奏を生み出していたとは
知りませんでした。
ピアノ三重奏曲にいたっては、
実はカザルス・トリオのものしか
所有しておらず、
作品の良さそのものを
今回知った次第です。
クラシック音楽は
本当に奥が深いと思います。
30年聴いてきても、
まだまだ手が及んでいない分野があり、
新発見が連続します。
飽きることがありません。
なんだかんだいって、
充実した人生を
送ることができています。
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(2021.1.30)