若い頃に何度も聴いたマーラー

クラシック私的名曲名盤
ベストな3枚 File-031

マーラー:交響曲第1番ニ長調「巨人」

最近こそ聴かないものの、
私がクラシック音楽を聴き始めた頃に
聴いたのは、ほとんどが交響曲でした。
それもマーラー。
30代半ばまで約30枚のCDを
聴き比べていました。
その中から今でもときどき手にする
3枚を紹介します。

アバド(指揮)シカゴ響
1981年録音

89年のベルリンフィルとの録音も
素晴らしいのですが、
この盤をクラシック音楽聴き始めの頃に
聴いてしまったせいか、
刷り込みされています。
シカゴ響のパワフルな音が
効果的に作用しています。
28歳で書き上げたという
マーラーの熱情が
伝わってくるような演奏です。

シノーポリ(指揮)フィルハーモニア管
1989年録音

あまり支持する方がいないのですが、
私はシノーポリの演奏が大好きです。
この指揮者の偏執狂的な音づくりは
マーラーの気質と
合致しているのでしょう。
この指揮者が
1992年(だったと思う)に来日し、
この曲を振ったときの演奏会が
当時NHK-BSで放送されました。
緊張感漲る素晴らしい演奏だったことを
記憶しています。
第3楽章を恍惚とした表情で終えた
次の瞬間、
表情が一転して厳しいものに変わり、
爆発するように
第4楽章に突入したのが印象的でした。
まさに鬼気迫る演奏でした。
それを録画していたのですが、
マニアックな8mmデッキであったため、
それが壊れてしまい再生できなくなり、
テープをすべて処分してしまいました。
今は観られないのが残念です。
この演奏もまた弛緩した部分の全くない
引き締まった演奏であり、
この曲の良さを
最大限に引き出しています。

ブーレーズ(指揮)シカゴ響
1998年録音

こちらは情熱的なマーラーとは
一線を画した、
精緻な構造のマーラー演奏です。
こちらも支持する方が少ないのですが、
曲の構造を徹底的に解明したような
ブーレーズの音づくりが
私は大好きです。
この指揮者のマーラーは、
第1番よりも第7番や第9番が
優れていると感じます。

かつてはマーラーの1番といえば
ワルター/コロンビア響が
名盤といわれていましたが、
私はあまり手が伸びません
(素晴らしい演奏なのですが)。
バーンスタインの新旧の演奏は
熱すぎて度々聴くのは疲れます。
テンシュテットの各種録音も
同様ですが、
EMIから出ていた映像収録盤(DVD)は
シノーポリの演奏のように
素晴らしいものでした。
ラトル盤、小澤盤、シャイー盤なども
大好きです。
マニアックなところでは若杉盤、
コンドラシン盤、リットン盤、
パイタ盤、カスプシェク盤、
マッケラス盤なども棚に並んでいます。
ワイマール版演奏の
ルード盤、ハマル盤も
時々思い出したように聴いています。

それにしても年をとると交響曲、
特にマーラーは胃にもたれる感じがして
度々聴こうとは思わなくなりました。
室内楽や器楽ばかり
最近は聴いています。
そのため私の所有するマーラーの1番は、
すべて20世紀の録音であり、
21世紀に誕生したものは
1枚もありません
(ここ20年購入していない!)。
最近はロト盤が
注目を集めているようなのですが、
食指が動かない状況です。
交響曲に関しては、
私の時計は止まったままです。

(2021.17)

コメントを残す